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第17章 聖魔大戦・宣戦布告編
305話 私! 登場っ!!
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まぁ! 私がカッコよく華麗に登場するのは、当初の予定通り2人が場を整えてくれるのを待ってるとして。
「ふふ」
2人とも別に声に出して返事する必要は無いのに。
いきなり二人揃って、かしこまりました! って言い出したからクズ勇者共が怪訝そうな顔をしちゃってるじゃん!
まぁ、そんなところが可愛いんだけど。
「フィル様」
「うん、時間みたいだね」
「時間だと……」
「あぁ、こちらの話なのでお気になさらずに結構ですよ。
その時が来れば嫌が応にもわかる事ですので。
けど、この主従間の念話にはなかなか慣れないね、ついつい返事を声に出してしまう」
「ふふっ、確かにそうですね。
私も恥ずかしながら、つい声に出して返事をしてしまいました」
「余所見をするなんて、随分と余裕だねっ!」
「っ! アリーっ!!」
つい数瞬前までの和やかな空気は消え去り焦燥に満ちたフィルの声が鳴り響く。
そして……
「っ!」
「ぇ……」
背後から腹部を貫通している剣に視線を落とし、アリーの口から唖然としたか細い声が零れ落ちる。
そんな……アリーが……
「アリーっ!!」
「大丈夫、急所は外しているからね。
リナに治療して貰えば傷も残らないから、安心すると良い」
「ふふっ、幾ら優勢だからと言って完全に気を抜いたらダメ!
やっぱりフィルもアリーちゃんも、まだまだ子供だね。
でも大丈夫! ノアの言う通りアリーちゃんの傷は後で私がちゃんと治してあげるから!」
「父上、母上……」
「さぁ、フィル。
君も降参するん……」
パリッ──
なんちゃって!
フィルに降伏する様に告げるクズ勇者の言葉を遮って、小さく雷が空気に弾け……
「これは……っ!?」
クズ勇者も気付いたようだけど、もう遅い!
「雷鳴の抱擁」
バリィィィイッ!!
「ぐっ……あ゛ぁぁあっ!!」
アリーの腹部を貫いていた剣を伝って、迸る青白い雷がクズ勇者の全身を包み込む。
「ふふっ、何をもう勝ったつもりでいらっしゃるのですか?」
「が、ぁ……そんな、バカな……」
全身を焼き焦がされ、シュゥ……っと煙をあげて膝を着くクズ勇者が唖然と自身の前に悠然と無傷で佇むアリーを見つめる。
「ウソ、どうして……」
「私は雷を司る大精霊たる雷精姫。
自分の身体を雷と化す事ができる私に、その程度の物理攻撃は効きません」
そう! 自身を雷と化し、雷鳴と共に現れる雷精姫。
雷を司る、雷の大精霊たるアリーに身体を剣で貫いた程度の物理攻撃でダメージを与えることは不可能なのだっ!!
まぁ、それでも……私のアリーを串刺しにした報いはいずれ受けてもらうけど。
「がはっ!」
「ノアっ!!」
膝を着いていたクズ勇者が、唖然としていたアバズレ聖女の元まで蹴り飛ばされる。
「アリー。
大丈夫なのは知っているけど、流石に目の前で身体を貫かれたら心配になるからやめて欲しい」
「フィル様……申し訳ありません。
お姉様にあのような仕打ちをした陛下に少し痛い目に遭ってもらいたくて」
アリー! もう! これが終わったらいっぱい撫で撫でして、お小遣いあげちゃう!
『嬉しそうだね』
ふふふ、だってあのアリーが私のために国王を足蹴にしようとしてくれたたんだよ?
もう、なんでも買ってあげるっ!!
「まぁ、それはあのお方ご自身に任せるとしよう」
「残念ですが……致し方ありませんね」
さぁ! そろそろだ!!
「陛下、皆様は私とアリーが獣魔王レオンの城にいたとお考えでしょうが。
それは違います」
「ふぅ……リナ、ありがとう、もう大丈夫だよ。
それで、違うとはどう言う事かな? フィル」
「私とフィル様は確かに最初、獣王国ビスバロニス、獣魔王レオンの居城に向かいました。
しかし、すぐに違う場所に移動し、そこで1週間を過ごしていたのです」
「違う場所?」
「えぇ、王妃陛下。
私とアリーはこの1週間、獣魔王レオンの居城ではなく我らが主人。
六魔王が一柱である悪魔の女王、魔神が統べる国。
悪魔王国にいました」
バリィィィィイッ!!!!
それまでとは比べ物にならない、空気を地面をお城そのものを揺るがす程の轟音が。
窓の外に広がる空を真っ白に染め上げるような雷鳴が鳴り響く。
「降れ! 雷霆っ!!」
ドゴォォォオッ!!!
スッと手を上に翳したアリーが腕を振り下ろした瞬間。
凄まじい轟音と共に会議室の、お城の天井を吹き飛び、昼間だと言うのに漆黒に染まった天が姿を表す。
「なんだ、これは……」
クズ勇者がその光景に唖然と呟きを漏らし。
誰もが言葉を無くして呆然と天を見つめる中……
「「お待たせ致しました」」
「ん、準備ありがと」
フィルとアリーが私に向かってスッと跪いた。
「ふふ」
2人とも別に声に出して返事する必要は無いのに。
いきなり二人揃って、かしこまりました! って言い出したからクズ勇者共が怪訝そうな顔をしちゃってるじゃん!
まぁ、そんなところが可愛いんだけど。
「フィル様」
「うん、時間みたいだね」
「時間だと……」
「あぁ、こちらの話なのでお気になさらずに結構ですよ。
その時が来れば嫌が応にもわかる事ですので。
けど、この主従間の念話にはなかなか慣れないね、ついつい返事を声に出してしまう」
「ふふっ、確かにそうですね。
私も恥ずかしながら、つい声に出して返事をしてしまいました」
「余所見をするなんて、随分と余裕だねっ!」
「っ! アリーっ!!」
つい数瞬前までの和やかな空気は消え去り焦燥に満ちたフィルの声が鳴り響く。
そして……
「っ!」
「ぇ……」
背後から腹部を貫通している剣に視線を落とし、アリーの口から唖然としたか細い声が零れ落ちる。
そんな……アリーが……
「アリーっ!!」
「大丈夫、急所は外しているからね。
リナに治療して貰えば傷も残らないから、安心すると良い」
「ふふっ、幾ら優勢だからと言って完全に気を抜いたらダメ!
やっぱりフィルもアリーちゃんも、まだまだ子供だね。
でも大丈夫! ノアの言う通りアリーちゃんの傷は後で私がちゃんと治してあげるから!」
「父上、母上……」
「さぁ、フィル。
君も降参するん……」
パリッ──
なんちゃって!
フィルに降伏する様に告げるクズ勇者の言葉を遮って、小さく雷が空気に弾け……
「これは……っ!?」
クズ勇者も気付いたようだけど、もう遅い!
「雷鳴の抱擁」
バリィィィイッ!!
「ぐっ……あ゛ぁぁあっ!!」
アリーの腹部を貫いていた剣を伝って、迸る青白い雷がクズ勇者の全身を包み込む。
「ふふっ、何をもう勝ったつもりでいらっしゃるのですか?」
「が、ぁ……そんな、バカな……」
全身を焼き焦がされ、シュゥ……っと煙をあげて膝を着くクズ勇者が唖然と自身の前に悠然と無傷で佇むアリーを見つめる。
「ウソ、どうして……」
「私は雷を司る大精霊たる雷精姫。
自分の身体を雷と化す事ができる私に、その程度の物理攻撃は効きません」
そう! 自身を雷と化し、雷鳴と共に現れる雷精姫。
雷を司る、雷の大精霊たるアリーに身体を剣で貫いた程度の物理攻撃でダメージを与えることは不可能なのだっ!!
まぁ、それでも……私のアリーを串刺しにした報いはいずれ受けてもらうけど。
「がはっ!」
「ノアっ!!」
膝を着いていたクズ勇者が、唖然としていたアバズレ聖女の元まで蹴り飛ばされる。
「アリー。
大丈夫なのは知っているけど、流石に目の前で身体を貫かれたら心配になるからやめて欲しい」
「フィル様……申し訳ありません。
お姉様にあのような仕打ちをした陛下に少し痛い目に遭ってもらいたくて」
アリー! もう! これが終わったらいっぱい撫で撫でして、お小遣いあげちゃう!
『嬉しそうだね』
ふふふ、だってあのアリーが私のために国王を足蹴にしようとしてくれたたんだよ?
もう、なんでも買ってあげるっ!!
「まぁ、それはあのお方ご自身に任せるとしよう」
「残念ですが……致し方ありませんね」
さぁ! そろそろだ!!
「陛下、皆様は私とアリーが獣魔王レオンの城にいたとお考えでしょうが。
それは違います」
「ふぅ……リナ、ありがとう、もう大丈夫だよ。
それで、違うとはどう言う事かな? フィル」
「私とフィル様は確かに最初、獣王国ビスバロニス、獣魔王レオンの居城に向かいました。
しかし、すぐに違う場所に移動し、そこで1週間を過ごしていたのです」
「違う場所?」
「えぇ、王妃陛下。
私とアリーはこの1週間、獣魔王レオンの居城ではなく我らが主人。
六魔王が一柱である悪魔の女王、魔神が統べる国。
悪魔王国にいました」
バリィィィィイッ!!!!
それまでとは比べ物にならない、空気を地面をお城そのものを揺るがす程の轟音が。
窓の外に広がる空を真っ白に染め上げるような雷鳴が鳴り響く。
「降れ! 雷霆っ!!」
ドゴォォォオッ!!!
スッと手を上に翳したアリーが腕を振り下ろした瞬間。
凄まじい轟音と共に会議室の、お城の天井を吹き飛び、昼間だと言うのに漆黒に染まった天が姿を表す。
「なんだ、これは……」
クズ勇者がその光景に唖然と呟きを漏らし。
誰もが言葉を無くして呆然と天を見つめる中……
「「お待たせ致しました」」
「ん、準備ありがと」
フィルとアリーが私に向かってスッと跪いた。
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