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第17章 聖魔大戦・宣戦布告編
298話 理由
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「ダメだ」
何ともなさそうな2人の姿を見てひとまず安堵したのか、さっきまでの張り詰めたような空気は綺麗に霧散。
いつも通りの胡散臭い柔らかな笑みを浮かべてノアールがセラフィルの申し出を却下する。
「何故ですか?」
「一見外傷がなくても、精神的なダメージが無いとは限らない。
フィル達がいたのは魔王の居城なんだ、気付かないうちに何かを仕込まれている可能性も十分にある」
ほほう、昔は何も考えずに敵軍に突っ込んでいくバカだったのに国王になって多少は頭が回るようになったか。
まぁ、この状況下で温泉旅行に行ってるくらいだし、アバズレの事になると昔と変わらず……と言うか、昔以上に単細胞のバカみたいだけど。
「それに、フィルはともかくアリシア嬢は疲れているだろう?
アリシア嬢はフィルの大切な婚約者なんだから休ませてあげないとね」
「ふふっ、ノアの言う通りです!
2人はいつか私とノアに変わってこの国を引っ張っていく存在なんだから、小さい頃から絆を紡いで、愛を育まないと!
だからアリーちゃんに無理をさせたらダメだよ?」
うん、まぁ間違った事は言ってないよ?
ましてや2人は将来の国王と王妃なわけだし、どっちかが不貞行為でもしたら大事になるからな。
だからこそ小さい頃からしっかりとした絆を構築して愛を育む。
全くもってそのとおり!
このアバズレ聖女は別に何も間違った事は言ってない。
言ってないんだけど……
「母上、貴女がそれを言いますか……」
「えっ?」
それなっ!
お前がそれを言っちゃう?
私を家族ごと排除して、幼い頃からノアールの婚約者だった私からノアールを奪ったお前が!?
いやまぁ、ノアールを寝取ったこと自体は全然良いんだけど。
寧ろ良くやってくれた! って褒めてあげても良いくらいなんだけど。
凄まじい特大ブーメランじゃん!
「フィル?」
まさか息子にそんな事を言われるとは思ってなかったみたいだな。
ぷぷっ! 間抜けな顔で唖然としちゃって!
これが超大国の王妃だって言うんだから嘆かわしいわ。
「両陛下、恐れながら私のご心配は無用です。
これでも王子妃教育に王妃教育、そしてそれらの一環として訓練も受けている身です。
休養を必要とする程、疲れてはいませんので」
「アリー! 両陛下に対して無礼だぞ!!」
「お父様は黙っていてください」
「っ……」
し、辛辣な言葉が父親のメンタルにクリティカルヒットっ!!
アリシアの蔑むような冷たい視線もあって、宰相ヘルヴィール公爵に100のダメージ!
しかし、国の重鎮を集めた会議の場にて王妃と宰相が揃って唖然と間抜けな顔をしてるって相当な事だと思う。
ふふん! 流石は我が眷属であるセラフィルとアリシア!
そのバカ共にもっと言ってやれ!!
まぁでも、アバズレ聖女はともかく宰相があんな顔になっちゃう気持ちもわからなくはない。
今までアリシアは父親と母親には結構甘えてたらしいし。
愛娘に黙ってろって言われるなんて、宰相からすればまさに青天の霹靂だろうからな。
「父上、母上……いえ、両陛下。
私達は貴方達の……この場にいる皆様はもちろん、この国に住う全ての人々の罪を知っています」
「……フィル、何が言いたいのかな?」
「陛下、何故私とアリーが獣王国へ向かったのかおわかりですか?」
「それは……」
「そんな事はどうでも良いの!
フィル、お願いだからもうそんな危ない事はしないで」
「そんな事、ですか。
王妃陛下、私達は危険を犯してでもそんな事を知る必要があったのです。
この国では知ることのできない事ですから」
「フィル、さっきから何を言ってるの?
やっぱり何処か具合が悪いんじゃ……」
「私達は6年前に何があったのか、その事実を知るために獣王国ビスバロニスに行ったのです」
ビシッと決まったぁーっ!!
何ともなさそうな2人の姿を見てひとまず安堵したのか、さっきまでの張り詰めたような空気は綺麗に霧散。
いつも通りの胡散臭い柔らかな笑みを浮かべてノアールがセラフィルの申し出を却下する。
「何故ですか?」
「一見外傷がなくても、精神的なダメージが無いとは限らない。
フィル達がいたのは魔王の居城なんだ、気付かないうちに何かを仕込まれている可能性も十分にある」
ほほう、昔は何も考えずに敵軍に突っ込んでいくバカだったのに国王になって多少は頭が回るようになったか。
まぁ、この状況下で温泉旅行に行ってるくらいだし、アバズレの事になると昔と変わらず……と言うか、昔以上に単細胞のバカみたいだけど。
「それに、フィルはともかくアリシア嬢は疲れているだろう?
アリシア嬢はフィルの大切な婚約者なんだから休ませてあげないとね」
「ふふっ、ノアの言う通りです!
2人はいつか私とノアに変わってこの国を引っ張っていく存在なんだから、小さい頃から絆を紡いで、愛を育まないと!
だからアリーちゃんに無理をさせたらダメだよ?」
うん、まぁ間違った事は言ってないよ?
ましてや2人は将来の国王と王妃なわけだし、どっちかが不貞行為でもしたら大事になるからな。
だからこそ小さい頃からしっかりとした絆を構築して愛を育む。
全くもってそのとおり!
このアバズレ聖女は別に何も間違った事は言ってない。
言ってないんだけど……
「母上、貴女がそれを言いますか……」
「えっ?」
それなっ!
お前がそれを言っちゃう?
私を家族ごと排除して、幼い頃からノアールの婚約者だった私からノアールを奪ったお前が!?
いやまぁ、ノアールを寝取ったこと自体は全然良いんだけど。
寧ろ良くやってくれた! って褒めてあげても良いくらいなんだけど。
凄まじい特大ブーメランじゃん!
「フィル?」
まさか息子にそんな事を言われるとは思ってなかったみたいだな。
ぷぷっ! 間抜けな顔で唖然としちゃって!
これが超大国の王妃だって言うんだから嘆かわしいわ。
「両陛下、恐れながら私のご心配は無用です。
これでも王子妃教育に王妃教育、そしてそれらの一環として訓練も受けている身です。
休養を必要とする程、疲れてはいませんので」
「アリー! 両陛下に対して無礼だぞ!!」
「お父様は黙っていてください」
「っ……」
し、辛辣な言葉が父親のメンタルにクリティカルヒットっ!!
アリシアの蔑むような冷たい視線もあって、宰相ヘルヴィール公爵に100のダメージ!
しかし、国の重鎮を集めた会議の場にて王妃と宰相が揃って唖然と間抜けな顔をしてるって相当な事だと思う。
ふふん! 流石は我が眷属であるセラフィルとアリシア!
そのバカ共にもっと言ってやれ!!
まぁでも、アバズレ聖女はともかく宰相があんな顔になっちゃう気持ちもわからなくはない。
今までアリシアは父親と母親には結構甘えてたらしいし。
愛娘に黙ってろって言われるなんて、宰相からすればまさに青天の霹靂だろうからな。
「父上、母上……いえ、両陛下。
私達は貴方達の……この場にいる皆様はもちろん、この国に住う全ての人々の罪を知っています」
「……フィル、何が言いたいのかな?」
「陛下、何故私とアリーが獣王国へ向かったのかおわかりですか?」
「それは……」
「そんな事はどうでも良いの!
フィル、お願いだからもうそんな危ない事はしないで」
「そんな事、ですか。
王妃陛下、私達は危険を犯してでもそんな事を知る必要があったのです。
この国では知ることのできない事ですから」
「フィル、さっきから何を言ってるの?
やっぱり何処か具合が悪いんじゃ……」
「私達は6年前に何があったのか、その事実を知るために獣王国ビスバロニスに行ったのです」
ビシッと決まったぁーっ!!
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