付与って最強だと思いませんか? 悪魔と呼ばれて処刑されたら原初の悪魔に転生しました。とりあえず、理想の国を創るついでに復讐しようと思います!

フウ

文字の大きさ
上 下
291 / 436
第16章 若き探求者編

291話 対価は……

しおりを挟む
「「えっ……」」

 流石のセラフィルもこれは想定してなかったようだな。
 ぷぷっ!  アリシアと一緒にポカンと間抜けな顔をしちゃって!  やっと年相応の反応を見れたわ。

「対価、ですか……?」

「ん」

 醸し出してた大団円の雰囲気をぶち壊して申し訳ないけど……

「何の対価も無く、教えてもらえると思ってたの?」

 それなら、その考えは甘いと言わざるを得ない。
 そもそも、一切の見返りもなく他人の願いを叶えてやるヤツ何て皆無と言って良いほどに殆どいない。
 私は聖人君子じゃ無いし、それ以前に……

「ふふっ、私は原初の悪魔。
 悪魔に何かを願うなら、相応の対価を覚悟しないと」

「「っ!!」」

 悪魔を呼び出して願いを叶えてもらった対価に、召喚者が殺されたとか、国が滅んだとか。
 そんな話は山ほど有る……まぁ、この世界では悪魔族は6年前に誕生したばかりだし、この世界にはそんな話は無いだろうけど。

 とにかく!  
 この私を!  悪魔を相手に何の対価も無く、自分の願いだけを叶えてもらおうとか、そんな虫の良い話は許されないのだよっ!!

「ただで教えてもらおうなんて、私達が甘かったと言う事ですか……しかし」

「対価……い、一体何を差し出せば……」

 うむうむ、流石は6歳児には見えない早熟で聡明なセラフィルとアリシア。
 ちゃんと自分の置かれてる状況と立場はわかってるようで何よりだわ。

 確かに、セラフィルは五大国が一角である超大国アルタイル王国の第一王子。
 アリシアはアルタイル王国の大貴族であるヘルヴィール公爵家の御令嬢だけど……

 所詮はまだ子息と令嬢に過ぎない。
 まぁ王子のセラフィルはそれなりの権力は持ってるだろうけど、それでも大きな権力を持ってるのも、莫大な資金を持ってるのも2人の両親であって子供の2人じゃない。

「ふふっ!」

 レオンは私を蔑ろにした罪を許して欲しいって願いのために、モフモフの対価を差し出して支払った!

「さぁ、セラフィル、アリシア。
 お前達は私に何を対価に支払う?」

「っ!  アリー、私の後ろに」

「フィ、フィル様?
 一体何を……」

 息を呑み、アリシアを守るようにセラフィルが身構え。
 突然のセラフィルの行動に困惑し、若干不安そうな顔を表に出しながらも魔力を高めるアリシア。

 セラフィルって実は私と一緒で転生者とかなんじゃ……何この主人公みたいな行動。
 ハーレム主人公はショウだけで十分なんですけど。
 まぁ、セラフィルはショウとは違ってまだハーレムじゃ無いけど。

「ふむ」

 顔だけのクズ勇者とアバズレ聖女の子供なだけあって顔立ちは整ってるし、超大国の第一王子。
 今はハーレムじゃ無いけど、将来はわからないな。
 とまぁ、それはさておき……何この状況?

「勇者と聖女の子供である私。
 そして私の大切な人である婚約者のアリシアも死して償え、という事ですか……」

 あ~、なるほどね。
 だからセラフィルは守るためにアリシアの前に出たってわけか。

「ふふ、そうだと言ったら?」

 油断なく周囲を警戒し、真っ直ぐに私を見据えるセラフィルが……

「っ!  フィル様!?」

 ほほう……いきなり膝を着いて、頭を地面に擦り付けて土下座しちゃったんですけど。
 何のつもりだろ?  アリシアみたいに声を出さなかった自分を褒めてあげたい!!

「確かに、貴女にとってあの2人の子供である私は殺したい程に憎い存在でしょう。
 しかし、アリシアは違う」

「フィ、フィル様!  何をっ!!」

「この期に及んでこのような事を口にするのは、虫のいい話だとは理解しているつもりです。
 ですが……どうか、アリーの事は助けてください」

「ふむ」

 ……なるほど、これは完全に勘違いされてるな。
 いくらセラフィルがクズ勇者共の子供だろうと、アリシアが私の処刑に関与している大貴族の令嬢だろうと。

 それだけで当時の事に直接関係のない2人を私が殺すと?
 私がされたのと同じようにクズ勇者共の大切な人を殺して、復讐すると?

「失礼な……」

「「えっ?」」

「お前達は勘違いしてる。
 別に2人を殺すつもりは無い」

 確かに必ずクズ勇者共に復讐するけど、私は復讐者であって殺戮者では無いのだっ!

「それに、お前達に要求する対価はもう決めてる。
 ふふっ!  対価は……お前達自身。
 私はお前達をもらう」
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...