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第15章 魔国侵入者編

273話 許してあげる!

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「……っ!」

「ぐっ……」

 ふむ、だんまりか。
 ハーレム主人公は私を睨んで来るだけだし、レオンは顔を歪めるだけで喋ろうとしない。

 さっきまでは私を無視して2人で楽しそうに話してたのに。
 むぅ……そっちが何も言わないなら良いもん。
 徐々に出力を上げて吐かせてやる!

『いや、悪魔ちゃんの威圧のせいで喋れないんだと思うよ?』

「……」

 と、当然そんな事はわかってたし!
 わかっててわざと!  そう、これはハーレム主人公くんの実力を見るためにわざとやってる事なのだっ!!

『ふ~ん、そうなんだ?』

 こ、こほん!  とにかく、今はレオン達の目的を聞く方が最優先!

「レオン」

 レオンを拘束!  そんでもって……

「うおっ!?」

 浮かび上がらせて私の近くに連れて来る。
 ふっふっ~ん!  どう?  驚いた??
 魔素を支配下に置き、魔素を自由自在に操れる私にかかればこの程度は造作も無い事なのだよ!!

 とくに縛り付けられる感覚は無いのに、金縛りみたいに身動きが取れないでしょ?
 重力が無くなったかのように浮かび上がって、空中に固定された気分はどう??

「ふむ」

 まぁ、レオンの感想を聞いてあげるのは後にして。

「答えろ」

 レオンに対してのみ威圧を解いて、その首筋に魔刀を据える。

「私の国に、何の用?」

「ま、まぁ落ち着けって!
 俺は別にお嬢と闘いに来たわけでも、ましてや敵に回したわけでもねぇ」

「……」

「ただ、お嬢の創った国を見てみたかったていうか……ただの好奇心であってだな。
 ショウが悪魔王国に向かうって言うから丁度良いかなぁ……と」 

 ハーレム主人公くん達を引き連れて正式なアポもなく、国土結界をぶち破って不法入国したのにも関わらず。
 敵対の意思は無く、ただの好奇心?

 流石にその言い訳は難しいでしょうよ。
 他者の心を読む事もできるから、私にウソは通用しな……あ、あれ?  おかしいな、ウソじゃ無いんだけど。

「本当に?」

「マジだ。
 獣王国にはアクムスとの国交はねぇし、お嬢に連絡する手段が無かったんだよ」

「なるほど」

 言われてみれば確かにレオンと言うか、他の魔王達に私との連絡手段を用意してなかったわ。
 ハーレム主人公くん達の思惑は別として、レオンが悪魔王国に来た理由はわかった。

「ふぅ……納得してくれたか。
 じゃあとりあえず、この物騒なもんを下ろして、部下達も解放して欲しいんだが」

「まだダメ」

 確かにレオン達が不法入国した理由はわかった。
 けど……

「お前は罪を犯した」

「つ、罪?
 一体何の……あぁ、結界を破った事は謝る、悪かった!」

「そんな事はどうでも良い」

「えっ、違うの?
 マジで思い当たる節がねぇんだけど?」

 自覚が無いのなら仕方ない。
 ハーレム主人公にも懺悔させる必要があるから、お前だけに聞こえるように小さな声で教えてやろう。
 自分がどれほどの罪を犯してしまったのか知って、恐れ慄くが良い!

「お前は、私を無視した」

「は?」

「私の質問に答えず。
 あのハーレム主人公と」

「ハーレム主人公……」

「アイツと楽しそうに喋って、私を無視した。
 同じ魔王なのに、お前は私じゃ無くてアイツをとった」

 どうだ!  自分がどれほどの大罪を犯したのかがわかったかっ!!

「……あぁ、なるほど!  ふ~ん、そう言う事か」

 むっ、何をニヤニヤと……

『いやまぁ、仕方ないんじゃ無い?』

 はぁ?  意味わかん無いんだけど。

「悪かったな。
 別にお嬢を蔑ろにしたつもりは無かったんだ」

「ふん!」

 謝った程度で許されると思ったら大間違い。
 これはレオンの耳と尻尾をモフッた程度では到底許されざる大罪!!
 無視された私の怒りは深いのだ!

「まぁ、そうだな。
 じゃあ、お詫びに」

「レオンをモフる程度じゃ許さない」

 どうせ、好きなだけ尻尾と耳を触らせてやるとか言うつもりだったんだろうけど。
 残念だったなっ!

「クックック、まぁ耳を貸せって」

「……」

 余裕の顔がムカつく。
 これでしょうも無い事だったらぶん殴ってやるからな。

「お嬢には、俺の嫁と娘達をいつでも好きなだけモフる権利をやるよ」

「っ!?」

「本来なら、俺たち獣人族ライカンスロープの耳や尻尾は伴侶となる者以外には触らせない。
 言ってみれば胸や局部と同一な扱いなわけだが」 

 えっ、そうだったの?
 い、いや、今はそんな事はどうでもいい!  それより……

「まぁ、お嬢は神だから特別だ。
 猫、犬、狐、兎の獣人、他にもまだいるぞ?」

 猫耳っ娘に、犬耳っ娘に、狐耳っ娘に、うさ耳っ娘だけじゃ無くて他にもまだ見ぬモフモフがっ!!
 けど、流石に本人の同意もなしにそんな事は……

「酒の席で以前お嬢にモフられた時の事をついつい喋っちまってな。
 まぁ、お嬢が女だって事もあるが、興味に勝てなかったみたいで本人の同意もある」

 そのお酒の席でどんな話をしたのかが地味に気になるけど……細かい事はこの際どうでもいい!
 重要なのは本人の同意があると言う一点のみっ!!

「むふふ、仕方ない。
 特別に許してあげる!」

 ぐぶっ、ぐへへ!  モフモフ天国が私を待っているっ!!
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