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第15章 魔国侵入者編

268話 別に嬉しく無いから!

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「侵入者……」

 ふ~ん、なるほどなるほど。
 それで、悪魔王国ナイトメアでお留守番してたファルニクスがわざわざこっちに来たってわけね。

「えぇ、それでは報告も済んだことですし。
 そろそろ、朝食をいただきましょうか」

「……」

「ん?  レフィー、どうかしましたか?」

 いや、悪魔王国に外界からの侵入者って結構な報告!  一大事じゃんっ!!
 何が大した事ないだよ! 

 さっき、ミリアもエレナに説明してたけど。
 悪魔王国があるのは、この大陸安息の大地の真反対に位置する異なる大陸終焉の大地

 海には強大な魔物が数多く生息してるから、我が魔国の戦艦とかでも無い限りまず沈められし。
 何より悪魔王国には外敵の侵入を阻む国土大陸結界を展開してたハズ。

 それを突破して、侵入されたとなると……
 もう!  ファルニクスが軽く言うから、危うく軽い反応でスルーしちゃうところだったじゃんかっ!!

「よ、よしよし。
 撫でてあげますから、そんなに睨まないでください。
 ほら!  後でレフィーが好きなモノを何でも買ってあげますから」

 ほう、何でもねぇ。

「本当に、何でも?」

「えぇ、本当です。
 竜神に二言はありません」

 よし!  言質は取った!!

「ん、許す」

 むふふっ!  何でもっ、楽しみだなぁ~!  何を強請ってやろうかな?
 ふふふ、強欲の悪魔たるこの私に安易な約束をした事を後悔させてやろう!!

「嬉しそうで何よりです。
 やはり、レフィーは可愛いですね」

「ん!」

 ふはっはっはっ!  もっと褒めるが良いっ!!
 もっともっと、頭を撫でろ!
 そして、私の頭を撫でられる事に感謝するのだっ!

「ふふ、良かったですね、レフィーお嬢様。
 どうぞ、朝食のパンケーキです」

「おめでとうございます!
 はい、ご主人様が好きなココアですよ」

「ん!」

 うむうむ、苦しゅうない!  苦しゅうないぞ!!
 ふははははっ!  皆んなしてもっと私を甘やかすのだっ!!

『いや、表情自体は殆ど変わってないんだけど……』

「じゃあ、私達も朝ご飯を食べようか」

「そうしましょう」

「ほら、エレナも」

「えっ、あ、はい。
 わかりました」

「まっ、エレナの気持ちもわかるけどね。
 あそこまで素直なレフィー様は珍しいもん。
 レフィー様も久しぶりにファルニクス様に会えて嬉しかったんだよ」

「む、ミリア」

 ファルニクスの相手をしてやってる私の代わりに、お客様でもあるエレナの対応をしてくれるのはありがたいけど。
 こうして相手をしてやってるのも仕方なくだし!  別に嬉しくなんか無い!

「あ、あはは。
 さぁさぁ!  早く朝ご飯にしましょう!!」

 そんな事でこの私が誤魔化されると思ったら大間違いだ。
 何やら勘違いしてるみたいだし、後でミリアとこの件についてじっくりと話し合う必要が……

「ジト目のレフィーも可愛いですが。
 はいどうぞ、あ~ん」

「んっ」

 んん~っ!!
 何たる至福~……はっ!  いかんいかん、しっかりしなければ!!

「美味しいですか?」

「ん!」

 ふっ、ファルニクス、キミは何を当然の事を言っているのだね?

「流石はシルヴィア」

「ふふ、ありがとうございます」

 シルヴィアシェフが作ったパンケーキが美味しくないわけが無いじゃんかっ!

「もっと」

「はいはい。
 まったく、レフィーは甘えん坊ですね」

 ふふふ!  楽ちんだわ~。
 自分で食べずに、配下を使って食べさせる。
 これぞ!  魔王の所業!!

『それは何か……と言うか、確実に違うと断言できるよ』

 煩いわ!
 ふふん!  そんなこと言って、何もせずとも勝手にご飯を食べさせてもらえる私が羨ましいんだろ?

『……』

 まっ!  邪神もせいぜい彼女でも作って食べさせてもらう事だな!!
 っと、そうだ、忘れる前にコレだけは聞いておかないと。

「もぐもぐ……ん。
 それで、侵入者は?」

「侵入者は全員で10名。
 国土結界の一部に穴を開ける程度の力はあるようですけど、大した事は無さそうなので今は監視だけはして泳がせています」

 いや、確かにファルニクスからすれば大した事無いかも知れないけど。
 国土結界を破れる時点で、普通なら結構な実力者なんだよなぁ。

 まぁ、流石に大陸全域の結界を展開するのは面倒……こほん!  負担が大きいし、サイズが大きくて結界自体にそこまでの強度は無い。

 どちらかって言うと防衛用と言うよりは、侵入者を感知するための結界だし。
 魔国でも中の下程度の実力者なら普通に突破できる程度なんだけど……

「ふむ」

 誰かは知らないけど、我が悪魔王国に乗り込んでくるとは面白い!
 ふふふ、悪魔王国を統べる女王としてお客様を出迎えてやるとしよう。
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