上 下
257 / 436
第14章 悪魔姫の復讐・姫騎士編

257話 アソビの時間

しおりを挟む
「ふぅ~」

 アークを下してから数時間。
 準々決勝でもあった3回戦の全4試合を終えてのお昼休憩が終わるまであと10数分。

 あぁ~、もうちょっとだ。
 もうちょっとでフェリシアを叩き潰せる!  そしてフェリシアの屈辱と恐怖に歪んだ表情……
 まだかな?  早く、早く早く早くっ!!

「ふふふ!」

 あともうちょっとでフェリシアをって考えると今すぐにでもぶちのめしたい衝動に駆られるけど……我慢しないと!
 何たってもうすぐ公衆の面前でフェリシアを叩き潰せるわけだし!
 昂ってる気持ちを落ち着かせないと。

「ふぅ~」

 深呼吸、深呼吸。
 深く息を吸って~、吐いて~。
 よし、ちょっとだけ今すぐにでもって衝動が収まった。

 とは言っても、こんなのは一時的なもの。
 どうにかして昂って逸る気持ちを落ち着かせて、気を逸らさないと……ってな訳で……

「もふもふ、もふもふ」

「ご主人様、少しは落ち着けましたかにゃ?」

「ん、もふもふ~」

 膝にミーシャを乗せて、そのモフモフを堪能しつつ!  優雅にお茶を飲んでケーキを一口。
 むふふ!  素晴らしいっ!
 これぞ!  昂った心を、我が魂を落ち着かせる鎮魂の儀式!!

『……』

 ね、念のために……万が一に愚かな人間共が私のこの姿を見て勘違いするかも知れないから言っておくが。
 これは神聖な儀式であって断じてケーキを食べたいからとか、フェリシアに復讐する前にモフモフ成分を補充しようとか、そんな事は一切ない!!

『はいはい、そう言う事にしておいてあげるよ』

 ほ、本当だからなっ!?
 た、確かにちょっと大袈裟かも知れないけど、これは昂った気持ちを落ち着かせるために必要な儀式であってだな。

『そんな事よりもさ』

 そんな事よりもって、結構重要な事なんですけど?
 ケーキが食べたいとか、モフモフなミーシャをモフりたいとか、そんな子供っぽい口実のための言い訳とか思われるのは心外なんだけど。

『フェリシアとはどうして準決勝?  決勝じゃなくて良かったの?』

 無視か、このヤロウ……ふん!  決勝はフェリシアよりも強いエレナとやった方が相応しいし。
 それにだ、このヴァリエ騎士王国を統べる騎士王である姫騎士フェリシアが!  決勝にすら出れずに準決勝で敗退する!!

 ふふふっ!  いい歳して未だに純真無垢でバカなガキとは言え、フェリシアも武を尊ぶヴァリエ騎士王国の騎士。
 救世の六英雄って呼ばれて、自分は世界最強の一角だと思い込んでるコイツにその事実を!  現実を見せつけて、自身は自惚れていただけの愚か者だと思い知らせる!

 そして……自分が正義だと。
 世界を、人々を守るために正しい事をして来たと心の底から信じ、その事に誇りを持っているコイツに本当の真実を教えてやるっ!!


『大変長らくお待たせしました!』


 おっ、やっと始まるみたいだな。


『皆さん、お昼はしっかりと食べたか~っ!?  ここから先は小腹が空いても決して見逃せない激戦だ!』


 さぁ、始めようっ!


『これより聖位闘技大会5日目、闘聖位戦の後半戦!  準決勝第一試合を開始しますっ!!』


「ふふっ……じゃあ、行ってくる」


『果たしてこの光景を誰が想像できたでしょうか!?
 Sランク冒険者すら退けた新星!  闘技場に舞い降りた純白の天使、レフィー!
 そして我らが騎士王陛下にして、誰もが認める最強の一角!  救世の六英雄が1人、姫騎士フェリシア!』


「いぇーい!!」

「ふふ……」


『今この聖位闘技大会の準決勝の舞台に!  むさ苦しい男共ではなく、可憐なこの2人が立って対峙するっ!!』


 楽しい愉しい、復讐アソビの時間だ。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

異世界グランハイルド・アレンと召喚獣-守護魔獣グランハイルド大陸物語ー

さん
ファンタジー
アレンは5才、母親と二人で叔父夫婦の牧場に居候している。父親はいない。いわゆる私生児だ。 虐げられた生活をしている。 そんな中、アレンは貴族にしか手に入れる事のできない召喚獣ー『守護魔獣』を手に入れる。 そして、アレンの運命は大きく変わっていく・・ グランハイルド大陸は4つの地域にほぼ分かれそれぞれの環境に合った種族が暮らしている。 大陸の北は高い山々が聳え立ちドラゴン等の魔獣や大型獣の生息地であり、人族が住むには非常に厳しい環境だ。   西も灼熱の砂漠が大きく広がり、砂漠にはワームが蔓延り地底人(サンドマン)と呼ばれる種族やドワーフ、コボルトがそれぞれに棲み分けている。 東から南東にかけて大きな森林地帯や樹海が広がり、エルフやリザードマン等、亜人と呼ばれる種族達が住んでいて大型獣も跋扈している。   大陸のほぼ中央から南には温暖な気候に恵まれ人族がそれぞれの4つの国家を形成している。しかしながら、種族的には一番劣る人族が一番温暖で豊かな大地を支配しているには訳が有る。  それは彼らが守護魔獣と呼ばれる大型魔獣を使役し、守護魔獣を使役した貴族がそれぞれの領地や民を守っているのである。 2頭の守護魔獣である獅子を使役し、その獅子の紋章を持つエイランド王家がライデン王国として、長年に渡って統治して来た。 そのライデン王国の東方地域を領地に持つフォートランド伯爵領に生を受けたアレンと言うの名前の少年の物語である。  

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...