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第14章 悪魔姫の復讐・姫騎士編

256話 VSアーク その2

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 ギイィィィン!!


 開始の合図とともに、激しい金属音が鳴り響く。
 まぁ、私が斬りかかって来たアークの剣を魔刀で受け止めただけだけど。


 お、おぉぉ──!!


「……」

 び、びっくりしたぁ……いや!  本当にちょっとだけ、地味~にだけどな!

『そんなに必死に言い訳しなくても、表情は微動だにしてないから誰にも気付かれて無いよ』

「む」

 そうだった。
 言われてみれば、私の表情筋は死滅してたわ。
 それにしても、この会場全体がどよめくような人間共の声は何?  びっくりしたんですけど!?

「あの……いや、俺の一撃なんて、こうして当然のように受け止められるのはわかってましたけど。
 さっきまで何も持って無かったですよね?」

 あっ、なるほど、そう言う事か。
 アークの初撃を何でもないみたいに、当然のように受け止めたから観客の人間共がどよめいてるのか。

 まぁ、確かに一回戦では初撃で決着がついてたし。
 二回戦の優勝候補だったモラールも、何とかギリッギリでかわすのがやっと。
 切り返しの二撃、三撃と何とか捌いてはいたけど結局はアークの連撃を捌ききれずに負けてたからな。

 人間共からみればAランク冒険者の私に対して、アークはSランク冒険者。
 優勝候補ですら何とか避けるのがやっとなアークの初撃を、アークよりも見るからに弱そうな私が真正面から受け止めた事に驚愕したわけね。

「ふふ……」

 まぁ?  私の力の一端すら感じ取る事ができない脆弱で矮小な人間共だし?
 私がアーク如きよりも弱く見えちゃうのは仕方ないのかもしれないけど……私も随分とナメられたもんだわ。

「っ!!」

 おっと、これは失礼。
 私とした事がついつい、ちょっとだけイラッとして苛立ちが漏れ出ちゃった。

「これは魔刀。
 私の魔力を具現化した刀」

 尤も、何の属性も付与してない正真正銘、ただ魔力でできただけの普通の刀だけど。

「魔刀……ですか。
 まさかたった一撃受け止められただけで、こっちの剣が欠けてしまうとは……」

 魔刀の強度と切れ味は私の魔力の量と質によって決まる!
 ふっふっふ!  断言しよう、我が魔刀は人間風情が造った剣を凌駕すると!!

「さぁ、来い。
 変態アーク」

「イヤだから勘違いですって!!」

 ふむ、確かに鋭い斬り込みだけど……私には通じない!
 それに……むふふ!  何が勘違いだ。
 私の胸を借りるとか口走っておきながら!  この変態ロリコン野郎めっ!!

「雷鳴剣っ!」

「それで、ターニャ達は?」

「っ!  こっちは既に全力だってのに……余裕そうですねっ!!」

 まっ、いかにアークが強かろうと、所詮は人間の中ではの話だからな。
 今のアークの実力はガスターよりも低いし。
 そんな事よりも……私の質問を無視するとはいい度胸じゃんか!

「ターニャ達は?」

「ターニャなら今頃、宿で寝てますよっ!」

 寝てる?  何で?
 と言うか、アークは聖位闘技大会に参加してるのに何でターニャ達、他のメンバーは参加してないんだろ?
 いや、待てよ!  宿……ホテルで寝てるって事はまさか……

「昨日はターニャとお楽しみ?」

「違いますよっ!?
 連日、師匠とマリアナ様の晩酌に付き合わされて酔い潰れてるだけですからっ!!」

 な~んだ、つまんない。
 けどまぁ、アークの身体きはターニャの魔力の残滓があるし。
 むふふ!  2人がそう言う関係なのは間違いないみたい!!

「そう言う事にしといてあげる。
 他のメンバーは?」

「他の皆んなならっ!  アクムス王国の迷宮にっ!  向かいましたよっ!!」

 まぁ、アーク達は冒険者だしな。
 それはわかるけど、なんで別行動?

「俺とターニャだけっ!  大会初日にいきなりマリアナ様の転移魔法で拉致られたんですっ!!」

 アイツ、制限があるのにそんな事してんのか……
 なるほどね、だからアークはシードじゃ無かったわけか。
 さてと…… 今までアークと何合も打ち合ってたわけだけど、アークの今の実力とか知りたい事も知れたし!

「残念。
 まだ遊び相手には物足りない」

 そろそろ、この試合を終わらせよう。

「っ!!」

 アークの持っていた剣の刀身が砕け散る。
 目を見開いて息を呑むアークの首筋に魔刀を据えて……

「まだ、やる?」

「……ははは、参りました」


『け、決着~っ!!
 筆舌に尽くし難い凄まじい剣戟!  凄まじい攻防を制したのは……闘技場に舞い降りは可憐な純白の天使!  
 レフィー選手がSランク冒険者のアークを下して準々決勝進出を決めましたっ!!』
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