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第12章 悪魔姫の復讐・教皇編

207話 何これ、カッコいい!!

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「ふむ……」

 まぁ、ちょっと釈然としないし、ちょっと物申したい気分はあるけどそれは置いておくとして。
 そんな事よりもこれ以上2人に怒られて主人としての威厳を損なう事を阻止する方が遥かに重要!!

 シルヴィアとグランは私がお酒を飲もうとしたから先行して来ただけであって、ミーシャ達もここに来る予定だし。
 幸いな事に皆んながこの場所に来るのにはちゃんとした理由がある。

「よし」

 いける!
 元々の予定を使ってシリアスで真剣な雰囲気を醸し出しつつ、上手いこと私の飲酒未遂から話をシフトさせれば……
 ふっふっふ!  我ながら完璧な作戦だわ~!!

 もうこれ以上怒られないし。
 何より私の威厳が保たれるどころか、皆んなを指揮する私の姿をマリアナに見せつける事で高まる可能性すらある!

「ご主人様の眷属が一柱ヒトリ
 ミーシャ、御前に」

「レフィー様の眷属が一柱ヒトリ
 ミリアーナ、御前に」

「陛下の眷属が一柱ヒトリ
 リリィー・カーディナル、御前に」

 な、何コレ!?
 転移して顕現すると同時にミーシャ達3人が跪いて……何これ、カッコいい!!

 と言うか、こんなの聞いてないんですけど!
 見るからに一朝一夕の所作じゃ無いし……いつの間にこんなの練習してたんだろ?

 いや、落ち着け、落ち着くんだ私!
 皆んなに詰め寄って、ミーシャのモフモフ尻尾に抱きついて思う存分にモフりながら根掘り葉掘り話を聞きたいところだけど……流石に今はまずい。

 そんな事をすれば、私の完璧な計画。
 シリアスかつ真剣な雰囲気で上手いこと私の飲酒未遂から話を逸らして、ついでに私の威厳を見せつける事ができなくなる。

 それが意味する事はつまり、確実にシルヴィアとグランの2人から飲酒未遂の事でお説教されるってわけで……
 くっ、仕方ない。
 皆んなに話を聞くのは後にして、とりあえず今はこの状況を利用しなければ!!

「ん、ご苦労様、楽にして」

「「「はっ!」」」

 おぉー!  ここまでピッタリと息が揃ってるとちょっと感動だわ!!
 って、危ない危ない!  今は集中しないと。

「こほん、さてマリアナ」

「っ……!」

 ふふっ、凛々しく美しいミステリアスな美女として名高いのに、恐怖と絶望に歪んだ情けない表情!
 あぁ、この心地いい魂からの絶望と恐怖の波動……ゾクゾクしちゃうわー!

「ふふっ」

『うわぁ、めちゃくちゃ邪悪な貌……』

 煩いぞ、邪神!
 恐怖と絶望に染まった魂に興奮しちゃうのは、言ってしまえば悪魔としての本能みたいなもんだから仕方ないの!!

「お前にはこれから魔導契約で縛りを与える」

 ふむ、恐怖と絶望に染まってるのは良いとして。
 失禁までしちゃってるし……流石に汚いからこれは浄化してやるとしよう。
 これじゃあ下手に近づけないし。

「お前が知り得た私や、私に関する情報の一切。
 これからお前が目撃する事の一切を他者へと手段は問わず伝える事を……」

 さぁ!  我が威厳溢れる姿を刮目せよ!!
 結構自慢の純白の翼を軽く広げ、腰を抜かして地面へと倒れ伏すマリアナを見下ろして……

「この私、魔王が一柱ヒトリにして始まりたる原初の悪魔。
 全ての魔を統べる魔神レフィーの名に於いて禁ずる」

 ふっふっふ~ん!  完璧だわ!!
 これ以上ない程に威厳たっぷりに、カッコよくビシッと決まった。
 これはもう自他共に認める、自画自賛しちゃうレベルだわー!

「こほん、レフィーお嬢様、少々よろしいでしょうか?」

「ん?  なに?」

 たった今、完璧に完遂されたミッションの出来の良さに自画自賛して、悦に浸ってるところなんだけど?

「悦に浸っていらっしゃるところ申し訳ありませんが、お忘れになられる前に一応お伝えしておきます。
 レフィーお嬢様、帰ったら私とグランから少しお話がございます」

「ぇ……」

 そ、それってつまり……?

「もちろん、私共とのお約束を破り、お酒を飲もうとなされた件です」

 ご、誤魔化せて無かったっ!!
 にっこりと優しそうに微笑んでるけど……うぅ、逆に怖いんですけどっ!?
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