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第10章 魔王会議編
178話 集いし魔王たち その2
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「ふん」
スラリとしたスレンダーな身体に、夜空に浮かぶ月を思わせる金色がかったプラチナブランドの髪。
妖艶に輝く真紅の瞳。
この大陸に存在する吸血鬼の頂点に君臨する吸血鬼が真祖にして吸血鬼の住う地、霊峰ニュクスを治める女王。
鮮血姫と恐れられる、月夜を支配する美しき少女。
ルーナはたった今目の前で起こった出来事に、その整った顔を僅かに顰める。
数日前に送りつけられた招待状。
確かにその招待状に残る魔素の残滓からは送り主がそれなりの存在である事が窺えた。
自らが従える配下の中でも上位に位置するだろう存在だ。
しかし、所詮はその程度。
わざわざ自分が手を煩わせる程の存在では無い。
ましてや、その程度の存在が私の楽しみを妨げるなど許されるハズも無い。
確かに誰にも気付かれずに招待状を自らの目の前に顕現させたと言う事実には多少の興味が惹かれるが。
彼女にとって、目の前に突如として出現した招待状など些事に過ぎない。
霊峰ニュクスにおいて。
いや、鮮血姫の名を知る全ての者達は決して彼女の、苛烈で無慈悲な女王の楽しみを妨げない。
女王が女王たる所以を、支配者たるその圧倒的な力を知っているから。
「ッ、ぬ、主様……」
「ど、どうかお鎮まりください!」
だからこそ、貴公子然とした青年と麗しき美女。
ルーナの側仕えである2人の吸血鬼は、苛立ちを隠そうともせずに膨大な魔素を滾らせる主人の姿に狼狽える。
2人の脳裏に過ぎるは、記憶に新しい数年前の事件。
一定の周期で出現する魔王が人間の勇者に討たれてしばらく。
これまでとは異なり勇者達によって大山脈の反対側にて生活する人間達のと交流が始まって間も無い頃。
友好を結ぶためとある人間の国から使節団が訪れ、霊峰ニュクスでは盛大なパーティーが催されていた。
そして、事件が起きた。
使節団に同行していた人間国家の王子が悪ふざけでパーティーに参加せず自室に篭っていたルーナの元へと押し掛け。
あまつさえ、その美貌に見惚れた王子はルーナを手籠にしようと愚行に走った。
結果として、自らの楽しみを愚か者によって妨げられた女王は当人である王子を肉塊へと変貌させ。
それでも収まることのない苛烈な怒りは王子の母国へと向かい……転移によって王都に顕現した鮮血姫の手によって、たった一夜のうちに焦土と化した。
「愚か者め!」
ルーナは2人の側仕えを無視して魔素を迸らせる。
そして、せっかくの楽しみを邪魔したであろう存在を。
「ワタシの邪魔をした罪を思い……」
椅子に腰掛ける少女とその背後に控える2人の人物をその真紅の瞳に捉え……唖然と、その美しい真紅の瞳を見開いた。
--------------------------
「まさか……」
この世界において個として、種として最強と呼ばれる存在である竜種。
高い知性を持ち、人の姿をも取る事がでる高位の竜によって造られた都市、竜の都。
高位の竜のさらに上には竜王と呼ばれる王達が存在し、そんな竜王達の頂点に君臨する漆黒の翼。
竜の都を統べる覇王、暗黒竜王セイヴァエル。
黒い髪に、金色の瞳。
中性的で、一見しただけでは女性と見紛う程に美しい容姿をしたセイヴァエルは目の前に広がるその光景にポツリと呟きを漏らす。
竜王の一角にして、この他の竜種を統べる自身が強制転移させられた。
確かにその事実も十分に驚嘆に値する。
しかし、それ以上に今目の前に広がる光景に、セイヴァエルは縦長の金色の瞳を静かに見開く。
「コレは一体……」
再び唖然とセイヴァエルが漏らす言葉に応える者は誰もいない。
何故なら従者として共にこの場に転移して来た2人の側近、火と水の竜王である両者もまた唖然とその目を見開いているから。
最強種と呼ばれる竜種には大きく分けて5つの階級が存在する。
まずは人の姿を取る事ができない下位の竜。
次に人の姿を取る事ができる高位の竜が存在し、その上に竜王が君臨する。
ここまでが、セイヴァエルを含めた現在地上に存在する竜種。
しかし、更にその上に立つ者が存在する。
それは遥か昔に何処かへと姿を消した、今や竜種の中でも伝説程度に語られる存在。
古より、永き時を生きた古竜。
そして、それら全ての竜種の頂点に座す、何名か存在する竜王とは異なりたった1人。
唯一君臨する古竜達の王たる存在……
「古竜王、グラン様……」
かつて、千年以上昔に古竜に至った竜種のみが足を踏み入れる事を許されるとされる遥か遠くの地よりこの地に舞い降りた白き竜。
まだ幼き日に見た竜種の頂点、古竜王グラン。
そして、そんな存在を当然のように背後に控えさせる美しい一人の少女……
「全く、どうなっているのですか……」
想像も付かない事態に。
暗黒竜王などと呼ばれ、恐れられている自身ですら考えすら及ばない状況にセイヴァエルは冷や汗を流しつつも苦笑いを浮かべ。
隣で同じく唖然と目を見開く少女。
自身と同じく、この場に転移させられたであろう他の者達と同様に先日魔王を僭称した鮮血姫と呼ばれる吸血鬼。
ルーナをエスコートしながら円卓を囲む席に着いた。
スラリとしたスレンダーな身体に、夜空に浮かぶ月を思わせる金色がかったプラチナブランドの髪。
妖艶に輝く真紅の瞳。
この大陸に存在する吸血鬼の頂点に君臨する吸血鬼が真祖にして吸血鬼の住う地、霊峰ニュクスを治める女王。
鮮血姫と恐れられる、月夜を支配する美しき少女。
ルーナはたった今目の前で起こった出来事に、その整った顔を僅かに顰める。
数日前に送りつけられた招待状。
確かにその招待状に残る魔素の残滓からは送り主がそれなりの存在である事が窺えた。
自らが従える配下の中でも上位に位置するだろう存在だ。
しかし、所詮はその程度。
わざわざ自分が手を煩わせる程の存在では無い。
ましてや、その程度の存在が私の楽しみを妨げるなど許されるハズも無い。
確かに誰にも気付かれずに招待状を自らの目の前に顕現させたと言う事実には多少の興味が惹かれるが。
彼女にとって、目の前に突如として出現した招待状など些事に過ぎない。
霊峰ニュクスにおいて。
いや、鮮血姫の名を知る全ての者達は決して彼女の、苛烈で無慈悲な女王の楽しみを妨げない。
女王が女王たる所以を、支配者たるその圧倒的な力を知っているから。
「ッ、ぬ、主様……」
「ど、どうかお鎮まりください!」
だからこそ、貴公子然とした青年と麗しき美女。
ルーナの側仕えである2人の吸血鬼は、苛立ちを隠そうともせずに膨大な魔素を滾らせる主人の姿に狼狽える。
2人の脳裏に過ぎるは、記憶に新しい数年前の事件。
一定の周期で出現する魔王が人間の勇者に討たれてしばらく。
これまでとは異なり勇者達によって大山脈の反対側にて生活する人間達のと交流が始まって間も無い頃。
友好を結ぶためとある人間の国から使節団が訪れ、霊峰ニュクスでは盛大なパーティーが催されていた。
そして、事件が起きた。
使節団に同行していた人間国家の王子が悪ふざけでパーティーに参加せず自室に篭っていたルーナの元へと押し掛け。
あまつさえ、その美貌に見惚れた王子はルーナを手籠にしようと愚行に走った。
結果として、自らの楽しみを愚か者によって妨げられた女王は当人である王子を肉塊へと変貌させ。
それでも収まることのない苛烈な怒りは王子の母国へと向かい……転移によって王都に顕現した鮮血姫の手によって、たった一夜のうちに焦土と化した。
「愚か者め!」
ルーナは2人の側仕えを無視して魔素を迸らせる。
そして、せっかくの楽しみを邪魔したであろう存在を。
「ワタシの邪魔をした罪を思い……」
椅子に腰掛ける少女とその背後に控える2人の人物をその真紅の瞳に捉え……唖然と、その美しい真紅の瞳を見開いた。
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「まさか……」
この世界において個として、種として最強と呼ばれる存在である竜種。
高い知性を持ち、人の姿をも取る事がでる高位の竜によって造られた都市、竜の都。
高位の竜のさらに上には竜王と呼ばれる王達が存在し、そんな竜王達の頂点に君臨する漆黒の翼。
竜の都を統べる覇王、暗黒竜王セイヴァエル。
黒い髪に、金色の瞳。
中性的で、一見しただけでは女性と見紛う程に美しい容姿をしたセイヴァエルは目の前に広がるその光景にポツリと呟きを漏らす。
竜王の一角にして、この他の竜種を統べる自身が強制転移させられた。
確かにその事実も十分に驚嘆に値する。
しかし、それ以上に今目の前に広がる光景に、セイヴァエルは縦長の金色の瞳を静かに見開く。
「コレは一体……」
再び唖然とセイヴァエルが漏らす言葉に応える者は誰もいない。
何故なら従者として共にこの場に転移して来た2人の側近、火と水の竜王である両者もまた唖然とその目を見開いているから。
最強種と呼ばれる竜種には大きく分けて5つの階級が存在する。
まずは人の姿を取る事ができない下位の竜。
次に人の姿を取る事ができる高位の竜が存在し、その上に竜王が君臨する。
ここまでが、セイヴァエルを含めた現在地上に存在する竜種。
しかし、更にその上に立つ者が存在する。
それは遥か昔に何処かへと姿を消した、今や竜種の中でも伝説程度に語られる存在。
古より、永き時を生きた古竜。
そして、それら全ての竜種の頂点に座す、何名か存在する竜王とは異なりたった1人。
唯一君臨する古竜達の王たる存在……
「古竜王、グラン様……」
かつて、千年以上昔に古竜に至った竜種のみが足を踏み入れる事を許されるとされる遥か遠くの地よりこの地に舞い降りた白き竜。
まだ幼き日に見た竜種の頂点、古竜王グラン。
そして、そんな存在を当然のように背後に控えさせる美しい一人の少女……
「全く、どうなっているのですか……」
想像も付かない事態に。
暗黒竜王などと呼ばれ、恐れられている自身ですら考えすら及ばない状況にセイヴァエルは冷や汗を流しつつも苦笑いを浮かべ。
隣で同じく唖然と目を見開く少女。
自身と同じく、この場に転移させられたであろう他の者達と同様に先日魔王を僭称した鮮血姫と呼ばれる吸血鬼。
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