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第9章 魔王誕生編

161話 秘蔵っ子なのだ!!

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 アクムス王国が王都フェニルの中心に聳え立つ巨大な王城の品のいい応接室。
 ふかふかなソファーに腰掛け、優雅に足を組んで背もたれに身体を沈ませ……スイーツたっぷりなタルトを一口!!

「んぅー!」

 あぁ~、美味しい!
 ふかふかなソファーで寛ぎながら美味しいスイーツを食べる。
 これぞ至福!  これぞ至高の一時っ!!

「どうぞレフィー様、ホットミルクです」

「ん、ありがと。
 ハチミツは?」

「もちろん、たっぷりと」

 流石はミリア!  わかってるわぁー。
 膝の上に乗せた子猫……ミーシャの毛並みを優しく撫でて堪能しつつ、優雅にティーカップを傾ける。
 さぁ、刮目せよ!  そして驚愕せよ!!

 商業と流通の中心地たるアクムス王国、五大国が一角に数えられる大国の重鎮。
 大貴族である公爵家の当主にして、宰相であるグランツェ公はもちろん。
 国王であるアランを前にしても非の打ち所が一切無い、美しいく気品溢れる私の所作っ!!

 アランにグランツェ公、そして何故かアランの隣に座っているエレナは苦笑いを浮かべてるけど。
 ガルドとクリスティアは私の優雅な姿に目を丸くしてるし。

 ふっ、ふふふ、ふはっはっはっ!
 例え完全に力を抜いて寛いでいたとしても、優雅でいてしなやか。
 幼い頃から公爵令嬢として、いずれ王妃となる王子の婚約者として鍛え上げられた礼儀作法は完璧なのだ!!

「ふふん!」

 まぁ私がその気になればこの程度は当然なわけだけど。
 ふっふっふ、さぁもっと驚け!  そして私を褒め称えて、この美味しいスイーツタルトをもっと献上するが良い!!

「ははは……流石はアルタイル王国の至宝と呼ばれた黄金の美姫ですね」

「ん?」

 何でアランが、公爵令嬢時代の私のちょっと恥ずかしい通り名を……?
 私の記憶が正しければ、アランとは一度も会った事は無かったはず。

 そもそも、今の私の外見は公爵令嬢時代とはかなり違う。
 確かに顔立ちは一緒だけど、髪の色も瞳の色も変わってるし。
 不本意ながら身長も低くてむ、む……胸も無いのに……

「これでも公爵家の子息でしたので当然アルタイル王国の王太子にして勇者の婚約者。
 陰で魔王との戦いを支えていらした貴女様の噂は知っています」

「噂に違わぬ完璧な所作。
 エレナにも少しはレフィー様を見習って貰いたいものです」

 なるほど……確かに五大国の重鎮であるグランツェ公や、グランツェ公爵家の令息なら私の噂を耳にする事もあったわけか。

「もっとも今は黄金の美姫と言うより、白銀の姫君と言った方が正しいようですけどね」

「美姫じゃ無くて姫君……」

 おいこら、何で美を取った?  美を!! 
 それは何か?  私がお子様だと言いたいわけですか?
 これでも一応は日本で言う女子高生くらいの身長はあるわ!!  ギリギリだけど……

『本当にギリギリ、日本の女子高生の中でも小柄な方だけどね』

「むぅ……」

 べ、別にいいもん!  これから成長するし!!

「は、ははは……弁明しますが、決してレフィー様の事を幼いと言ったわけでは……」

 ふん、今更言い訳をしても無駄だ。
 私が寛いでる間にシルヴィアとグランの2人と、戦争の打ち合わせをやってくれてたけど、そんな事は関係ない!
 後で絶対に慰謝料を!  このスイーツたっぷりなタルトを大量に請求してや……

「ん?」

「レフィー様?  如何なさいましたか?」

 この魔素と空間の歪みは……

「っ!!」

 応接室の中に突如として顕現したその存在にエレナが咄嗟にアランを庇うように立ち上がってソファーに立てかけてあった剣に手を掛ける。

 うんうん、流石はエレナ。
 今ならエレナと双璧をなして呼ばれるフェリシアよりも強いんじゃないかな?

 ふふふ!  流石は私の弟子!!  
 まぁでも……うん、めっちゃ張り詰めた空気で真剣な面持ちをして、シリアスを展開してるところ申し訳ないんだけど……

「問題ない」

 この場に転移で顕現した存在。
 漆黒のカッコいい軍服に身を包んだ、黒髪の美女が私に向かってスッと跪く。

「我らが神であらせられるレフィー様へ報告致します。
 冒険者ギルドを通じてグローリー王国、フラン帝国、アウストロ皇国の3カ国により悪魔王国ナイトメアへと宣戦布告が表明なされました」

「わかった。
 報告、ありがとう」

「みっ、身に余る光栄にございますっ!!」

 うん、まぁお礼を言っただけでここまで嬉しそうにされるのはもう慣れた!!
 シルヴィアもだけど、この子達は仲間の中でも特に反応が大袈裟なんだよなぁ。
 今も恍惚とした表情で跪いたまま器用にクネクネしてるし……

「あ、あの……レフィー様、そちらのお方は……」

 そう言えば、エレナ達には紹介した事なかったか。

「この子の名前はノワール。
 私直属の悪魔公デーモンロードの一柱」

「あ、悪魔公……」

 ふふふ、ノワール達を含め七柱の悪魔公は私の秘蔵っ子なのだ!!
 まっ、他の6人は後で紹介するとして……

「宣戦布告……ふふ、楽しくなってきた!」
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