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第7章 冒険者ギルド編

127話 特別推薦試験 その3

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「以上でご説明は終了ですが。
 噛み砕いて言えばこちらの魔石に魔力を流していただけるとそれで構いません。
 では、何方からなさいますでしょうか?」

 そんな事は聞くまでも無い!  当然私は……

「最後にやる」

 シルヴィアとミーシャには悪いけど、今回2人には私のための前座として場を盛り上げてもらうとしよう。
 ふふふ、そして十分に暖まったステージで登場するはこの私!  見事な大トリを飾ってやるわ!!

「かしこまりました。
 では、最初は私がやりましょう」

 最初はシルヴィアか。
 ふっ、まぁせいぜい私の前座として場を盛り上げてくれたまえ!  
 ふっふっふ……私の偉大さを思い知り、子供だの幼女だのと侮辱した事を後悔する愚か者共の顔が目に浮かぶ!!

『あんまり調子に乗らない方がいいと思うよ?
 悪魔ちゃんって調子に乗って上手くいった試しが無いじゃん』

 シャラップ!
 お前はそこで、私が畏怖の視線を集めて崇められる姿を黙って見ていろ!

「ではシルヴィアさま、こちらの魔石に手を翳して魔力を流して下さい」

「わかりました」

 クリスティアの言葉に軽く頷いたシルヴィアがスッと軽やかに魔石に手を翳したその瞬間……

「「「「「「「「「「っ!!」」」」」」」」」」

 訓練場を真っ白に染め上げる程に魔石が眩く輝き、周囲の冒険者達が息を呑む。
 まぁ、このくらいは私達にとってみれば当然なわけだけど……

 ふふふ、どうやら冒険者……と言うよりかは人間にとってはこの程度でも十分驚愕に値するらしいな!
 前座その1であるシルヴィアの時点でこの状況だ。
 果たして大トリたる私の時にはどれ程の反応を見せてくれるのか?  実に楽しみだわ!


 ピシッ


 一瞬静まり返った訓練場に、次の瞬間には魔石に亀裂が走る音が鳴り響く。
 瞬時に亀裂は魔石全体へと広がり……粉々に砕け散った。
 まぁ、いくら手加減してると言っても、あの程度の魔石じゃあシルヴィアの放つエネルギーに耐え切れるわけが無い。

 つまり魔石が砕け散ったのは至極当然な結果なんだけど……
 さっきまでシルヴィアとミーシャが綺麗だとか、私を子供だ幼女だとか騒いでた連中が全員唖然と呆けてる!!

「う、うそ……この測定機は最新式。
 最大で100万まで計測可能なのに……」

 唖然と呟くクリスティア……と言うより私達以外全員の視線の先にあるのは計測機が示す結果。
 まぁ、魔石が砕け散っちゃったわけだし、結果は当然測定不能なわけだけど……

 この程度の事でこの反応!
 いやぁ、楽しみだなぁ……ふふふ、私の番になったら私を侮辱した事を心の底から後悔しながら、魂の根幹から震えさせてやるっ!!

 とは意気込んでも、魔石が砕け散っちゃってる訳だし未だにクリスティアを筆頭に唖然としてる。
 クリスティア達の復活にはもうちょっとかかりそうだし……いた仕方ないな。

「シルヴィア、ミーシャ」

「かしこまりました」

「承知しました」

 保護者シルヴィアのお許しも出た事ですし!  
 クリスティア達が衝撃から復活して試験が再開するまで優雅なティータイムと洒落込むと……

「……っ!  も、申し訳ございません。
 すぐに準備を整えますので、少々お待ち下さい」

 ……ま、まぁ、本来の目的はそれなわけですし。
 こればっかりは仕方ない。
 うん、仕方ないけどこれが終わったら絶対にスイーツを食す!!

「では、次は私の番ですね!」

 人知れぬ私の崇高な決意を他所に、ミーシャが多少張り切った様子でモフモフな尻尾を揺らしながら補填された魔石に手を翳す。
 するとジワジワと魔石が強く輝きを放ち始め……


 ピシッ!


 先程と同様に砕け散った。
 当然表示される結果は測定不能。
 さっきと違うのはシルヴィアは殆ど一瞬で魔石を砕いたのに対し、ミーシャはジワジワと手加減してゆっくりと砕いたって感じかな?

 まぁ、何はともあれ!  時は満ちたっ!!
 シルヴィアとミーシャのおかげでギャラリー達のボルテージも上がりまくって結構な騒ぎになってるし。

「ふふん!」

 最後を飾るのは当然この私っ!


「で、ではレフィー様、始めて下さい」

「ん!」

 ふっ!  最後はこの私がシルヴィア達とは比べ物にならない程の圧倒的な力を見せつけてやるわ!!
 さぁ愚かな人間共よ私の凄さをその目にしかと焼き付けろ!
 そして、我が力と美貌の前にひれ伏すがいいっ!!

「さぁ、私の力を……思い知れ」

 ほんの一瞬だけ普段は完璧に抑え込んでる魔素エネルギーを目の前の魔石にだけ向かって解放!!
 ふっ、決まったな。
 これなら私の力を十分に見せつけつつ。人間共に影響は一切ない。

 我ながら完璧……あれ?
 お、おかしいな?
 今頃さっきとは比べ物になならない程の大騒ぎになっていてもおかしくないハズなのに……



「あれ?  今あの子何かやったか?」

「さぁ?」

「けどそんな事より」

「あぁ!  あの美女2人、ヤバすぎるだろ!!」

「2人とも絶世の美女なのに英雄級の魔力じゃねぇか!」



「っ!?」

 そ、そんなバカなっ!!
 何で私じゃなくてシルヴィア達の方が……

『そりゃあ、だって悪魔ちゃんが魔素を解き放ったのは一瞬、それもシルヴィア達レベルじゃ無いと感知すらできない程の刹那の瞬間。
 それに加えて圧倒的な魔素を受けて魔石が砕け散るどころか、光り輝く時間も音すらも無く塵になって崩れたからね。
 シルヴィア達の方が目について当然だよ』 

「っ……!?」

 そ、そんな……うぅ、これでやっと畏怖されると思ったのにっ!!

「クックック、アイツらはまだまだだなぁ」

お、お前は!

「本当、そっちのねぇちゃんだけじゃ無くてお嬢ちゃんまで化け物じゃねぇか」

「ガ、ガ……ガルン?」

「ガルドだ!!」 
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