上 下
117 / 436
第6章 魔国進出編

117話 ……え?

しおりを挟む
 降伏勧告を受けたアクムス王国が降伏してから約1時間。
 アクムス王国が首都、王都フェニルが誇る巨大な港に降り立った私は今……

「んっ!  んん~!!」

 我が魔国ナイトメアの軍艦が数隻入港している港に急遽建設した拠点にて優雅なティータイムを満喫……

「レフィーお嬢様、口元にクリームがついていらっしゃいますよ」

「……」

 お、落ち着け!  落ち着くんだ私。
 この程度の事で取り乱す私ではない!
 ここは焦らずゆっくりと足を組んで、何事も無かったような態度でミーシャ特製の黒い飲み物を一口。

 ふっ、完璧!
 これぞ魔国を統べる大魔王たる女王として、威厳ある大人の女性としての優雅な所作!!
 これで、子供みたいに口元がケーキのクリームで汚れてた事は誤魔化せたはず!

『嬉しそうにケーキを口いっぱいに頬張って、口元をシルヴィアにハンカチで拭われる。
 カップの中身もココアだし……悪魔ちゃん、流石にそれで優雅ってのは無理があると思うよ?』 

 シャラップ!  黙れ邪神!!
 そ、そもそもだよ?  これは今回色々と頑張ったご褒美!  
 昨日、シルヴィアが好きなだけスイーツを食べて良いって言ってたわけだし……

 うん、どんな食べ方をしようと。
 例え子供みたいにケーキを口いっぱいに頬張ろうとも、誰にも文句を言われる筋合いは無いっ!!
 てな訳で!  いただき……

「はっ!」

 ま、まずいっ!
 この光り輝くスイーツの山に気を取られて油断した!
 は、早く!  早く片付けないとっ!!

 とりあえず、スイーツは後で美味しくいただくから亜空間になおして。
 身嗜みは……よし、間に合った!!  皆んなは……

「さぁ、レフィーお嬢様こちらへ」

「……」

 これ、絶対に気付いてたのに黙ってたやつだ。

「むぅ」

 今気づいたけど、いつの間にかグランが居なくなってるし。
 多分出迎えに行ったんだろうけど……気付いてたんだったら教えてくれても良いのに!!

「レフィー様、ちょっとだけムッとしたお顔も可愛いですけど。
 そろそろ、来ちゃいますよ?」

 うぅ……仕方ない。
 大魔王である悪魔の神に相応しい漆黒の玉座……じゃ無くて何故か純白で清楚な感じな玉座に座ってっと。
 よし、ギリギリ間に合った!

「今し方ご到着なされたアクムス王国の代表者の方々をお連れいたしました」

「入りなさい」

 扉をノックするグランの言葉にシルヴィアが凛とした声で言葉を返す。
 さぁ、準備万端!  バッチ来いやっ!!

「失礼いたします」

 グランに先導されてゾロゾロと入ってくるアクムス王国の代表者達。
 堂々と玉座に腰かけ、眷属であるシルヴィア達を背後に従えた状態で出迎えて……

「アクムス王国の代表者達よ、私はお前達を歓迎しよう」

 爽やかに軽く微笑む!
 ふっ、決まったな。
 我ながら完璧!  完全にイメージ通りだわ!!

 代表者達も私の超絶かっこよくて威厳たっぷりな姿に声も出ないみたいだし。
 うんうん、魔法陣の演出まで加えて私の威厳を見せつけた甲斐があったな。

 これは流石にドヤって良いのでは?
 ドヤって良いよね?  と言うかコレはドヤるべきだわ!!
 ふっ、どうよ邪神?  私のこの威厳を見たかっ!!

『いや、それはどうかと思うよ?』

 ふっふっふ自分に威厳が欠片も無いからって嫉妬は良く無いぞ。
 確かに魔国では私の威厳は無いに等しい……

 しかし!  ことこの大陸!  人間達の間では私の威厳は健在なのだよっ!!
 さぁ、私の威厳と美貌に恐れ慄き、崇め讃えるが良い!!

「子供?  何故このような場所に子供が?」

「……え?」
 
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~

平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。 三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。 そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。 アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。 襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。 果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

自重をやめた転生者は、異世界を楽しむ

饕餮
ファンタジー
書籍発売中! 詳しくは近況ノートをご覧ください。 桐渕 有里沙ことアリサは16歳。天使のせいで異世界に転生した元日本人。 お詫びにとたくさんのスキルと、とても珍しい黒いにゃんこスライムをもらい、にゃんすらを相棒にしてその世界を旅することに。 途中で魔馬と魔鳥を助けて懐かれ、従魔契約をし、旅を続ける。 自重しないでものを作ったり、テンプレに出会ったり……。 旅を続けるうちにとある村にたどり着き、スキルを使って村の一番奥に家を建てた。 訳アリの住人たちが住む村と、そこでの暮らしはアリサに合っていたようで、人間嫌いのアリサは徐々に心を開いていく。 リュミエール世界をのんびりと冒険したり旅をしたりダンジョンに潜ったりする、スローライフ。かもしれないお話。 ★最初は旅しかしていませんが、その道中でもいろいろ作ります。 ★本人は自重しません。 ★たまに残酷表現がありますので、苦手な方はご注意ください。 表紙は巴月のんさんに依頼し、有償で作っていただきました。 黒い猫耳の丸いものは作中に出てくる神獣・にゃんすらことにゃんこスライムです。 ★カクヨムでも連載しています。カクヨム先行。

処理中です...