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第6章 魔国進出編

116話 悪魔族の真相……

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「何だって?」

 今や大陸に於いて最大の国土を誇る超大国。
 栄華を極めるアルタイル王国の王城の中でも特に煌びやかであり、格式高い謁見の間にて玉座に腰掛ける青年。

 魔王を討伐し、諸悪の根源たる巨悪を討ち滅ぼした勇者。
 世界を救ったという実績を持って王位を継承した英雄王ノアール・エル・アルタイルはたった今聞かされた報告に思わず唖然と声を漏らす。

 ノアールの隣に座る王妃、心優しき聖女であるリナ・エル・アルタイルも同様にその報せに唖然とし。
 2人の息子、第一王子セラフィル・エル・アルタイルは驚愕に目を見開く。

 家臣達の前でこうも感情を露わに唖然と目を見開くなど、王族としてあるまじき態度であるがそれを咎める者は誰もいない。

 何故ならば、謁見の間に集結したアルタイル王国の重鎮達もまた誰もがその報せに驚愕して唖然と目を見開いているのだから。
 一瞬にして謁見の間は騒然とした喧騒に包まれた。

 いくら五大国と呼ばれる5つの国の中でも特に強大であり、超大国と称されるアルタイルの重鎮達とは言え取り乱すのも無理はないか。

「皆んな落ち着いて」

 魔王との戦いを通して並大抵の事では動じなくなった自身が思わず唖然としてしまった程だし。
 内心苦笑いを浮かべながら、ノアールは精神強化のバフスキルを発動させる。

 一兵卒であっても魔王が率いる大軍勢を前に怯む事なく立ち向かえるようになる程に強力な勇者ノアールのスキル。
 謁見の間にいた全ての者が平常心を取り戻し、騒然と化していた謁見の間が静まり返る。

「すまないが、詳しく説明を頼む」

「はっ!  アクムス王国からの魔導通信によると。
 昨日、アクムス王国へと宣戦布告したナイトメアなる他大陸の新興国家を迎え撃つべく、ピホッグ王自ら100を超える大艦隊を率いて出陣」

 報告を述べる騎士の言葉を受けて、国王が自ら100以上の大艦隊を率いて出陣したと言う事実に……

「その直後……港を出た瞬間に遠方からの攻撃によって乗船していた巨大戦艦は木っ端微塵に吹き飛ばされ、ピホッグ王が死亡。
 突如として王都フェニルの周囲に敵艦隊が出現し、昨日の宣戦布告と同様に降伏勧告を受け、アクムス王国は降伏したとの事です」  

 海上戦に於いては五大国の中でも抜きん出た戦力を有し、世界最強の海軍と称されるアクムス王国海軍が……
 100以上のもの大艦隊を国王が自ら率いたにも関わらず、宣戦布告よりたった1日で敗北を喫した。

 そんなとても信じ難い事実に、謁見の間は再び喧騒に包まれる事すらなく静寂が舞い降りる。
 誰も声を発する事なく、誰もがただ唖然と目を見開き言葉を失った……しかし……

「し、失礼します!」

 事はそれだけでは終わらない。

「何事だ!  御前会議の途中と知っての事か!!」

「も、申し訳ありません。
 しかしながら、アクムスからの魔導通信より緊急のご報告が」

 突然、扉を開け放ち謁見の間に現れた騎士に怒鳴り声を上げる貴族に対し、騎士は息を切らしつつも国王であるノアールに向かって跪く。

「聞こう」

「はっ!  
 真偽の程は不明ですが、悪魔王国ナイトメアとはその名の通り悪魔の王が治る国であり……」 

 悪魔とは目撃例は少ないものの、ここ数年で突如として姿を現し始めた存在であり。
 アルタイル王国にとって……全世界にとって忌むべき存在。

 しかしながら、確かに魔法をも使う魔物ではあるものの、どう言う訳かすぐに姿をくらますので大きな被害も無く。
 討伐も比較的容易、と言うのが悪魔族に対する一般的な評価。

 魔法を使うと言う一点以外は特筆すべき点は無い存在ではあるが、悪魔の王と言う言葉に謁見の間に動揺が走る。
 誰もが固唾を飲んで騎士の報告の続きを待つ中……

「悪魔とは……約5年前。
 冤罪によって処刑された、悪魔と呼ばれた一人の少女の怨念によってこの世界に誕生した種族との事です」 

 国王たるノアールに……玉座に座るノアールや聖女リナ達王族に向かって跪く騎士はそう言い放った。
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