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第6章 魔国進出編
114話 アクムス王ピホッグ、出陣……
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魔国による宣戦布告から一夜明け。
アクムス王国が首都、王都フェニルが誇る世界最大規模の港には大量の軍艦が鎮座していた。
その軍艦の中でも一際大きく豪華な装飾がなされた一隻。
船体に大きくアクムス王国の国紋が描かれた軍艦の甲板に立つは一人の男。
「我が親愛なる民達よ!」
でっぷりとした腹を揺らしながら、アクムス国王ピホッグは大仰な身振りで声を上げる。
「皆も知っておるだろうが、昨日我らは悪魔王国なる野蛮な愚か者どもに宣戦布告を受けた。
だが、恐れる事は無い! 見よっ!!」
両手を広げたピホッグの背後に広がるは、港の外に布陣した視界を埋め尽くす程の戦艦。
世界最強の海軍と称される、海洋商業国家アクムス王国の大艦隊。
「我らこそ大国! 我らこそが正義!!
聞いた事も無い辺境の地、他大陸の野蛮な愚か者どもに我らが叡智を! 力を!
アクムス王国の偉大さを見せつけてくれようぞっ!!」
聞いた事も無い小国に大国たるアクムス王国が一方的な宣戦布告を受けた。
その醜聞を緩和し、逆にアクムス王国の力を各国にアピールするための演出として王都中に中継された国王の演説によって王都の至る所で歓声が沸き起こる。
「陛下! ご報告いたします。
ただ今、斥候に出ております魔導索敵部隊が敵と思しき船団を南西約15キロ地点にて発見いたしました」
「うむ、では参ろうではないか」
王城にて参謀を務める宰相グランツェ公爵の代わりに側近として連れてきた男。
野心に満ちたバロン伯爵の報告を受けて、ピホッグは未だ鳴り響く歓声に満足気に頷いて踵を返す。
「参謀本部のグランツェ公に通信魔法を繋げ! 全軍出陣するっ!」
「はっ!!」
王都中に沸き立つ歓声を背に、戦艦と言うよりも豪華客船と言った方が相応しい豪奢な装飾がなされた王族専用の特別艦の船内へと向かう。
これから半日後には目の前で命乞いしながらも無様に自ら股を開く女の姿を夢想し、ピホッグは欲望み塗れた笑みを浮かべて嗤う。
「ぶひひ、愚かな女め……待っておれ、この私自ら屈服させてやるっ!!
圧倒的な戦力の差に絶望し、助けてくれと泣き縋り、そして……ぶひゃひゃっ! あの顔が恐怖と絶望に、そして快楽に歪む様が楽しみだ!!」
「えぇ、誠に仰る通りです」
「ほう、貴様わかっておるではないか!
よかろう! 私が飽きたら次は貴様に遊ばせてやるぞ」
「っ! ありがたき幸せにございます。
陛下、僭越ながら私から一つご提案がございます」
「ほう、なんだ? 言ってみるがよい」
「はっ! 此度の戦は最早我らの勝利は確約されたも同然。
蹂躙されるヤツらの姿を眺めながら、偉大なる陛下と我らがアクムス王国の勝利の祝杯というのは如何でしょうか?」
「ぶひひ、もとよりそのつもりだ。
どうせ勝つ事が約束されておるのだ、少し早く酒を飲んでも誰も文句は言わん」
船内の一室。
豪華な内装が施された船内の中でも特に豪華絢爛、船首を一望でき王宮の一室と比べても遜色がないほどに広い。
「貴様も寛ぐがいい」
「かしこまりました」
「ぶひひ、我らが勝利に」
「我らが、そして陛下の勝利に」
隊列をなし港を出港する光景を前方一面の窓から眺めつつ2人は酒の注がれたグラスを交わし、最後尾を行くピホッグが乗った専用艦が港を出た……その瞬間。
ッツーーーーーー!!!
前方を行く艦隊を隙間を縫うようにして一瞬で耳をつんざくような轟音と共に飛来した青白い閃光がピホッグが乗った専用艦を貫き……
ズドォォォオン!!!!
数瞬遅れてやって来た爆発音と共に木っ端微塵に吹き飛んだ。
アクムス王国が首都、王都フェニルが誇る世界最大規模の港には大量の軍艦が鎮座していた。
その軍艦の中でも一際大きく豪華な装飾がなされた一隻。
船体に大きくアクムス王国の国紋が描かれた軍艦の甲板に立つは一人の男。
「我が親愛なる民達よ!」
でっぷりとした腹を揺らしながら、アクムス国王ピホッグは大仰な身振りで声を上げる。
「皆も知っておるだろうが、昨日我らは悪魔王国なる野蛮な愚か者どもに宣戦布告を受けた。
だが、恐れる事は無い! 見よっ!!」
両手を広げたピホッグの背後に広がるは、港の外に布陣した視界を埋め尽くす程の戦艦。
世界最強の海軍と称される、海洋商業国家アクムス王国の大艦隊。
「我らこそ大国! 我らこそが正義!!
聞いた事も無い辺境の地、他大陸の野蛮な愚か者どもに我らが叡智を! 力を!
アクムス王国の偉大さを見せつけてくれようぞっ!!」
聞いた事も無い小国に大国たるアクムス王国が一方的な宣戦布告を受けた。
その醜聞を緩和し、逆にアクムス王国の力を各国にアピールするための演出として王都中に中継された国王の演説によって王都の至る所で歓声が沸き起こる。
「陛下! ご報告いたします。
ただ今、斥候に出ております魔導索敵部隊が敵と思しき船団を南西約15キロ地点にて発見いたしました」
「うむ、では参ろうではないか」
王城にて参謀を務める宰相グランツェ公爵の代わりに側近として連れてきた男。
野心に満ちたバロン伯爵の報告を受けて、ピホッグは未だ鳴り響く歓声に満足気に頷いて踵を返す。
「参謀本部のグランツェ公に通信魔法を繋げ! 全軍出陣するっ!」
「はっ!!」
王都中に沸き立つ歓声を背に、戦艦と言うよりも豪華客船と言った方が相応しい豪奢な装飾がなされた王族専用の特別艦の船内へと向かう。
これから半日後には目の前で命乞いしながらも無様に自ら股を開く女の姿を夢想し、ピホッグは欲望み塗れた笑みを浮かべて嗤う。
「ぶひひ、愚かな女め……待っておれ、この私自ら屈服させてやるっ!!
圧倒的な戦力の差に絶望し、助けてくれと泣き縋り、そして……ぶひゃひゃっ! あの顔が恐怖と絶望に、そして快楽に歪む様が楽しみだ!!」
「えぇ、誠に仰る通りです」
「ほう、貴様わかっておるではないか!
よかろう! 私が飽きたら次は貴様に遊ばせてやるぞ」
「っ! ありがたき幸せにございます。
陛下、僭越ながら私から一つご提案がございます」
「ほう、なんだ? 言ってみるがよい」
「はっ! 此度の戦は最早我らの勝利は確約されたも同然。
蹂躙されるヤツらの姿を眺めながら、偉大なる陛下と我らがアクムス王国の勝利の祝杯というのは如何でしょうか?」
「ぶひひ、もとよりそのつもりだ。
どうせ勝つ事が約束されておるのだ、少し早く酒を飲んでも誰も文句は言わん」
船内の一室。
豪華な内装が施された船内の中でも特に豪華絢爛、船首を一望でき王宮の一室と比べても遜色がないほどに広い。
「貴様も寛ぐがいい」
「かしこまりました」
「ぶひひ、我らが勝利に」
「我らが、そして陛下の勝利に」
隊列をなし港を出港する光景を前方一面の窓から眺めつつ2人は酒の注がれたグラスを交わし、最後尾を行くピホッグが乗った専用艦が港を出た……その瞬間。
ッツーーーーーー!!!
前方を行く艦隊を隙間を縫うようにして一瞬で耳をつんざくような轟音と共に飛来した青白い閃光がピホッグが乗った専用艦を貫き……
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