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第6章 魔国進出編

112話 宣戦布告 その3

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 隠蔽魔法よし!  喉の調子よし!  準備よしっ!!

「ふぅ……」

 閉じていた目をゆっくり開いて魔法を展開。
 アクムス王国が王都フェニルの上空に浮かび上がるは、王都を覆い尽くす程に巨大な五重の積層魔法陣!

 突如として現れた空を覆い尽くし光り輝く魔法陣を唖然と見上げる人々。
 ふっふっふ、決まった!

 ぶっちゃけ、魔法陣はただの演出で大した意味は無い。
 でも、魔法に精通している者ならともかく、一般市民にはそんな事はわからない!

 つまり!  王都フェニルに住む人々にとって、私はこれ程の魔法陣を展開できる謎の強者に見えるハズ!!
 ふふふ、昨日夜更かしして考えた甲斐があったな。

 さぁ、アクムス王国が首都フェニルの民よ!  
 隠蔽魔法を使ってるけど……とにかく、私の威厳ある姿を刮目せよ!!

『全く演出にそんな魔法陣を使うなんて悪魔ちゃんは非常識だね』

 邪神なんて非常識の塊みたいな存在のお前に言われたくないわ。
 まぁ今は邪神の事なんてどうでもいい。

 認めたくは無いけど……今や魔国での私の立ち位置は女王や女帝じゃ無くてお姫様ポジション。
 実際に何故か姫様って呼ばれてるし、皆んなの私に向ける目は明らかに微笑ましものを見る視線!

 だがしかしっ!  アクムス王国の人間達は違う!  
 彼らにとって私は突如として現れた謎の強者にして魔国の王っ!!
 ふふふ、こっちでは絶対に威厳をある、畏怖の対象になってやるっ!!

『アクムス王国に住う人間達よ、お前達は愚かにも我らの申し出を無碍にした。
 よって我ら悪魔王国、ナイトメアは貴国アクムス王国に対し宣戦布告をここに宣言する』

 さぁ!  魔法陣から映し出されるイメージ映像。
 影になって隠れているけど、玉座に腰掛けている事はわかる私の姿を見て畏怖するが良いっ!!

『え……これが悪魔ちゃん?  
 いや、まぁ確かに顔も体型もわからないけど、流石に少し誇張し過ぎなんじゃ……』

 ふっふっふ!  邪神が何やら言ってるけど細かい事は気にしないっ!
 あとは最後にカッコよく締め括らないと……

『我が温情を無碍にした愚かで罪深き人間共よ。
 我が国、悪魔王国ナイトメアと敵対すると言う事がどれ程の愚行か思い知るがいい』

 そう告げると同時に、魔法陣を輝かせて空を白く染め上げ、王都上空を覆っていた魔法陣が消え失せた。
 ……ふっ、我ながら完璧な演出!
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