付与って最強だと思いませんか? 悪魔と呼ばれて処刑されたら原初の悪魔に転生しました。とりあえず、理想の国を創るついでに復讐しようと思います!

フウ

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第6章 魔国進出編

111話 宣戦布告 その2

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『ふふ、本当にお嬢様が来なくて正解だわ。
 まさか、醜い豚の盛った光景だけじゃ無く、欲情した穢らわしい姿を直接見るハメになるだなんて……』

 ……うん。
 まぁ、なんて言うか……ごめんなさい。
 明からさまな嫌悪感を浮かべながら安堵のため息を吐いてるセシリアには悪いけど、ガッツリ観ちゃったわ。

「レフィーお嬢様!  観てはなりません!!」

「あんな穢らわしい光景は即座に脳内から消し去って下さい!」

 ふっ、全くシルヴィアもミリアも大袈裟だな。
 私は蝶よ花よと育てられた、ただの世間知らずの深窓のお嬢様じゃあ無い。
 この程度で動じる私では無いのだよ!!

『そう言う割にはしっかりと鳥肌が立ってるよ?』

「……」

 だって、太ったオッサンが欲情してる光景なんてハッキリ言って気持ち悪かったし。
 冤罪で殺される前、拷問の一環として恥辱された時の事をちょっと思い出して……

『悪魔ちゃん……』

「っ!」

 いやいやいや!
 断じて!  断じて、未だに欲情してる男が怖いとかそう言うわけじゃないからね!?

 ちょっと感傷に浸ってただけだし。
 そう!  これはだたの生理現象で、いわば不可抗力!
 うんうん、不可抗力だから仕方ないな。

 そもそも、この5年間で多少は人目に晒される事にも慣れたし。
 人前でもそれなりに喋れるようにもなって、他人恐怖症は克服済み!

 その証拠に魔国の皆んなとは初対面でもそれなりに話せるようになったし。
 他人恐怖症を克服したこの私が、大した力も無い弱者。
 欲情しただけの男に恐怖を抱くなんてあり得ない。

「っ!  大丈夫です。
 この場所にはレフィーお嬢様を傷付ける者など誰一人として存在しませんよ」

「こんなにも真っ青に……身体も震えてっ……!
 大丈夫ですっ!  レフィー様は私達がこの命に変えてもお守りします!」

 命に変えてもって……シルヴィアも何故か抱き締めてくるし。
 やっぱりミリアもシルヴィアも大袈裟だな。

 まぁ、それだけ私の事を大事に思ってくれてるって事だし、嬉しいけど。
 命をかけてってのは後で注意しとかないと。
 何事も自分の命が第一!  2回死んだ私が言うと説得力が違うわ。

 それに別に欲情してる男が怖いなんて事実は断じて無い。
 無いけど……とりあえずは落ち着けたし、本当にそんな事実は無いけど、お礼を言っておこう。

「ほら、ご主人様がお好きなモフモフですよ!」

「っ!」

 ぴょんって!  ぴょんって、子猫ミーシャが膝の上にっ!!
 はっ!  そうじゃ無くてシルヴィアとミリアにお礼を……

「さぁご主人様!
 好きなだけ私をモフってあんな穢らわしい光景は忘れましょう!!」

 ころんと私の膝の上で転がって。
 お腹を見せて。
 手をこっちに伸ばして……

「も……モフモフだぁっ!!」

『……キミねぇ、2人にお礼するんでしょう?』

 お礼はちゃんと言う……後で。
 だって目の前にモフモフな子ネコが、ミーシャがいるんだよ!?

 誰がこの誘惑に抗えようか?
 断言しよう!  このモフモフ子ネコの誘惑には誰も逆らえないとっ!!

『……』

 まぁ、とにかく認めたくは無いけど生理的に受け付けない太ったオッサンの欲情シーンを見てほんの少しだけ動揺しちゃってたみたいだし。
 今はモフモフを堪能して落ち着かないと。

 そもそも、今回の目的はアクムスとの国交樹立。
 ちょっとしたアクシデントはあったけどセシリアの役目は我が悪魔王国ナイトメアの使者。

 セシリアがアクムス王国に、対等な立場での国交の樹立を書いた趣旨の書状を渡し。
 アクムス側がこちらの要求を呑むのならそれで良し。

 その場合は隠蔽魔法で本当の姿を見られないように偽装した上で魔国の王として出向き調印を交わす。
 ただし、仮にアクムス王国が要求を呑まないのなら……

『それが貴国の判断ですか。
 残念ですが、承知しました……ではこれより我が国、悪魔王国ナイトメアは貴国、アクムス王国に対し宣戦布告致します』

 魔国の王として、アクムス王国に宣戦布告の口上を述べる事。

『では、ワタクシはこれで失礼致します』

『待て! 貴様は儂のモノだっ!!』

 空間魔法を応用して開発した監視魔法で、リアルタイム映像を皆んなで観てたわけだけど……
 セシリアは転移して、ローブで身体を隠した豚……こほん、国王が何やら叫んでるし。

 ちょっと観てない間に交渉は決裂したみたいだな。
 どうせこうなるとは思ってたけど。
 何たってアクムスは世界でも有数の大国なのに対して、私達は全くの無名なわけだし。

「まぁ、仕方ないか」

 念のため。
 そう、念のために、こうしてアクムス王国が首都フェニルの近海に戦艦に乗って待機してて正解だったわ。

『念のため、ね』

 うん、念のためだよ?
 私だって無駄に戦力を見せて各国に警戒されたくは無かったし。

「ふふふ」

 あの豚が私が処刑された時のパーティーに参加して、私が殺されるのを楽しんでた事なんて一切関係無い。

「レフィーお嬢様、大丈夫でしょうか?」

「ん、もう問題ない。
 ミーシャもありがと」

 本音を言えばもうちょっとモフモフを堪能していたかったけど……

「始めよう」

 ふふふ、派手に名乗りを上げてやるっ!
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