104 / 436
第5章 悪魔王国編
104話 従者会議
しおりを挟む
「ふぁ~」
肺から全ての酸素を吐き出しながら、ふわっふわなベッドに大の字になって倒れ込む。
まぁ、淑女としてちょっとはしたないけど……今の私は貴族令嬢達の見本にして鏡である公爵令嬢じゃ無くて悪魔だし。
何より、いつもなら窘めてくるシルヴィアは何か用事があるらしくてここには居ない!
つまり……!!
「ふっ!」
だらし無い行動を取っても……こんな風にベッドの上で飛び跳ねて、ダイブしても怒られないのだ!!
「ご主人様、せっかく綺麗に整えた御髪が乱れてしまいますよ」
むぅ、それは非常に宜しくない。
何やら結構重要な用事らしいのに、私のお世話の方が大事と言い張るシルヴィアとお風呂に入って髪を梳いてもらったのに。
それはもう嬉しそうに満足するまで私の髪を梳いていたシルヴィアが乱れまくった私の髪を見たら……
全く笑ってない目で微笑みを浮かべたシルヴィアに怒られるっ!!
ヤバイ! これは非常にマズイっ!
ど、どどどどうすれば! シルヴィアの……大悪魔の怒りをどうにか回避せねば!!
「ふふふ、ご主人様こちらへ」
どうにかしないとヤバイけど……
微笑むミーシャの後ろでゆらゆら揺れる真っ白なモフモフの誘惑には抗えないっ……!
自然と、吸い寄せられる様に同じくベッドの上で座っているミーシャの腕の中に収まっちゃったけど……うん、まぁこれは仕方ないよね。
モフモフな魔力には誰も争う事などできないのだ!
原初の悪魔にして魔神へと至った大魔王を手玉に取るなんて……ミーシャ、恐ろしい娘!
「ん」
櫛で丁寧に梳かされるなも良いけど、手櫛でゆっくりと整えられるのもまた中々に良い。
「んぅ~」
眠い。
ミーシャに誘われるがままに膝枕で手櫛で髪を梳いて貰ってたら急激に睡魔が……
まぁ、ここ最近はあんまり寝れてなかったし。
それに加えて今日は記念すべき第一回魔国会議もあったし、眠たくなっちゃうのも仕方ない。
けど、まさか全員がクズ勇者共への復讐の協力をあの場で即決するとは。
セシリアには何故が抱き締められたし……皆んなが協力してくれる事は嬉しい。
嬉しいんだけど、勇者共関連は100パーセント私怨な訳だし。
皆んなを巻き込んじゃうのはちょっと気が引ける。
けど協力してくれるって決めたのも皆んなな訳だしなぁ。
まぁ良いか。
とりあえず、また今度スイーツでもご馳走しよう。
「さて、ご主人様もお疲れの様ですし。
そろそろ就寝致しましょう」
「ん……そう、する」
目がしょぼしょぼするし。
明日からは国力アップと戦備増強のために忙しくなるし……何よりこの睡魔に抗う意味も無い。
「では、灯りを消しますよ。
お休みなさいませ、ご主人様」
「ん、ミーシャおやすみ……」
*
「ふふふ」
灼熱の大地すらも一瞬で白銀の世界へと変える絶対零度の大聖霊。
まさしく歩く天災。
人間の国家など一夜もあれば容易く滅ぼせるであろう強大な力を持つ氷魔猫ミーシャ。
そんな彼女はすやすやと規則正しい寝息を立てながら穏やかに眠る主人の輝くような白銀の髪を優しく撫でて柔らかな微笑みを浮かべる。
「さてと……」
ひとしきり少女の頭を撫でて、部屋に結界を展開すると主人を起こさないように細心の注意を払って転移する。
「お待たせしました」
ミーシャが転移した先は、悪魔王国の首都フィーレの中心に聳え立つ白亜の城。
その城の中でも最奥に存在する会議室。
数時間前まで魔国会議が開かれていた会議室には、ミーシャの主人。
原初の悪魔であるレフィーを除く、魔国会議に出席していた全てのメンバーが真剣な面持ちで顔を揃えていた。
「では、人数が揃いましたので会議を開始します。
レフィーお嬢様の過去について聞きたい事があるのは承知しておりますが……」
ミーシャが席に着いた事を確認したシルヴィアの言葉が不意に途切れ、スッと瞳が細められる同時に凄まじいまでの重圧が会議室に舞い降りる。
誰もが息を呑み、呼吸すらままならない。
レフィーの眷属と竜神であるファルニクスだけが何事も無いかのように静かに自身の席に腰掛ける。
「もし仮に。
仮にですが、レフィーお嬢様を裏切るような事があれば……わかりますよね?」
それは圧倒的な死の気配。
この場に集うのは終焉の大地に住う魔人の中でも強大な存在達。
そんな彼らが恐怖に震える程の、絶対なる死。
「お言葉ですが。
ワタクシ共はあのお方に、我らが主君にして神であらせられるレフィー様に絶対の忠誠を誓ったのです。
そのような事はあり得ません」
死の恐怖に耐え、服が肌に張り付く程の冷や汗を流しながらも凛としたセシリアの言葉が静寂が支配する会議室に響き渡り……
「良いでしょう」
ふっと押し潰すような重圧が掻き消えた。
「ふふふ、皆様が本当にレフィーお嬢様の配下たるに相応しいのか、調べようと思っていたのですが……
その必要は無かったようですね、皆様をレフィーお嬢様の配下として認めましょう」
そう言って軽く頭下げ、全員の呼吸が整ったのを確認したシルヴィアの顔には先程とは違い聖母のような微笑み浮かぶ。
「では、改めまして。
これより従者会議を始めると致しましょう。
まず、皆様も見たレフィーお嬢様の過去についてですが……」
主人たるレフィーの預かり知らぬ場所で行われた彼女の配下達による会議は人知れず夜明けまで続けられた。
肺から全ての酸素を吐き出しながら、ふわっふわなベッドに大の字になって倒れ込む。
まぁ、淑女としてちょっとはしたないけど……今の私は貴族令嬢達の見本にして鏡である公爵令嬢じゃ無くて悪魔だし。
何より、いつもなら窘めてくるシルヴィアは何か用事があるらしくてここには居ない!
つまり……!!
「ふっ!」
だらし無い行動を取っても……こんな風にベッドの上で飛び跳ねて、ダイブしても怒られないのだ!!
「ご主人様、せっかく綺麗に整えた御髪が乱れてしまいますよ」
むぅ、それは非常に宜しくない。
何やら結構重要な用事らしいのに、私のお世話の方が大事と言い張るシルヴィアとお風呂に入って髪を梳いてもらったのに。
それはもう嬉しそうに満足するまで私の髪を梳いていたシルヴィアが乱れまくった私の髪を見たら……
全く笑ってない目で微笑みを浮かべたシルヴィアに怒られるっ!!
ヤバイ! これは非常にマズイっ!
ど、どどどどうすれば! シルヴィアの……大悪魔の怒りをどうにか回避せねば!!
「ふふふ、ご主人様こちらへ」
どうにかしないとヤバイけど……
微笑むミーシャの後ろでゆらゆら揺れる真っ白なモフモフの誘惑には抗えないっ……!
自然と、吸い寄せられる様に同じくベッドの上で座っているミーシャの腕の中に収まっちゃったけど……うん、まぁこれは仕方ないよね。
モフモフな魔力には誰も争う事などできないのだ!
原初の悪魔にして魔神へと至った大魔王を手玉に取るなんて……ミーシャ、恐ろしい娘!
「ん」
櫛で丁寧に梳かされるなも良いけど、手櫛でゆっくりと整えられるのもまた中々に良い。
「んぅ~」
眠い。
ミーシャに誘われるがままに膝枕で手櫛で髪を梳いて貰ってたら急激に睡魔が……
まぁ、ここ最近はあんまり寝れてなかったし。
それに加えて今日は記念すべき第一回魔国会議もあったし、眠たくなっちゃうのも仕方ない。
けど、まさか全員がクズ勇者共への復讐の協力をあの場で即決するとは。
セシリアには何故が抱き締められたし……皆んなが協力してくれる事は嬉しい。
嬉しいんだけど、勇者共関連は100パーセント私怨な訳だし。
皆んなを巻き込んじゃうのはちょっと気が引ける。
けど協力してくれるって決めたのも皆んなな訳だしなぁ。
まぁ良いか。
とりあえず、また今度スイーツでもご馳走しよう。
「さて、ご主人様もお疲れの様ですし。
そろそろ就寝致しましょう」
「ん……そう、する」
目がしょぼしょぼするし。
明日からは国力アップと戦備増強のために忙しくなるし……何よりこの睡魔に抗う意味も無い。
「では、灯りを消しますよ。
お休みなさいませ、ご主人様」
「ん、ミーシャおやすみ……」
*
「ふふふ」
灼熱の大地すらも一瞬で白銀の世界へと変える絶対零度の大聖霊。
まさしく歩く天災。
人間の国家など一夜もあれば容易く滅ぼせるであろう強大な力を持つ氷魔猫ミーシャ。
そんな彼女はすやすやと規則正しい寝息を立てながら穏やかに眠る主人の輝くような白銀の髪を優しく撫でて柔らかな微笑みを浮かべる。
「さてと……」
ひとしきり少女の頭を撫でて、部屋に結界を展開すると主人を起こさないように細心の注意を払って転移する。
「お待たせしました」
ミーシャが転移した先は、悪魔王国の首都フィーレの中心に聳え立つ白亜の城。
その城の中でも最奥に存在する会議室。
数時間前まで魔国会議が開かれていた会議室には、ミーシャの主人。
原初の悪魔であるレフィーを除く、魔国会議に出席していた全てのメンバーが真剣な面持ちで顔を揃えていた。
「では、人数が揃いましたので会議を開始します。
レフィーお嬢様の過去について聞きたい事があるのは承知しておりますが……」
ミーシャが席に着いた事を確認したシルヴィアの言葉が不意に途切れ、スッと瞳が細められる同時に凄まじいまでの重圧が会議室に舞い降りる。
誰もが息を呑み、呼吸すらままならない。
レフィーの眷属と竜神であるファルニクスだけが何事も無いかのように静かに自身の席に腰掛ける。
「もし仮に。
仮にですが、レフィーお嬢様を裏切るような事があれば……わかりますよね?」
それは圧倒的な死の気配。
この場に集うのは終焉の大地に住う魔人の中でも強大な存在達。
そんな彼らが恐怖に震える程の、絶対なる死。
「お言葉ですが。
ワタクシ共はあのお方に、我らが主君にして神であらせられるレフィー様に絶対の忠誠を誓ったのです。
そのような事はあり得ません」
死の恐怖に耐え、服が肌に張り付く程の冷や汗を流しながらも凛としたセシリアの言葉が静寂が支配する会議室に響き渡り……
「良いでしょう」
ふっと押し潰すような重圧が掻き消えた。
「ふふふ、皆様が本当にレフィーお嬢様の配下たるに相応しいのか、調べようと思っていたのですが……
その必要は無かったようですね、皆様をレフィーお嬢様の配下として認めましょう」
そう言って軽く頭下げ、全員の呼吸が整ったのを確認したシルヴィアの顔には先程とは違い聖母のような微笑み浮かぶ。
「では、改めまして。
これより従者会議を始めると致しましょう。
まず、皆様も見たレフィーお嬢様の過去についてですが……」
主人たるレフィーの預かり知らぬ場所で行われた彼女の配下達による会議は人知れず夜明けまで続けられた。
11
お気に入りに追加
757
あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる