付与って最強だと思いませんか? 悪魔と呼ばれて処刑されたら原初の悪魔に転生しました。とりあえず、理想の国を創るついでに復讐しようと思います!

フウ

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第5章 悪魔王国編

104話 従者会議

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「ふぁ~」

 肺から全ての酸素を吐き出しながら、ふわっふわなベッドに大の字になって倒れ込む。
 まぁ、淑女としてちょっとはしたないけど……今の私は貴族令嬢達の見本にして鏡である公爵令嬢じゃ無くて悪魔だし。

 何より、いつもなら窘めてくるシルヴィアは何か用事があるらしくてここには居ない!
 つまり……!!

「ふっ!」

 だらし無い行動を取っても……こんな風にベッドの上で飛び跳ねて、ダイブしても怒られないのだ!!

「ご主人様、せっかく綺麗に整えた御髪が乱れてしまいますよ」

 むぅ、それは非常に宜しくない。
 何やら結構重要な用事らしいのに、私のお世話の方が大事と言い張るシルヴィアとお風呂に入って髪を梳いてもらったのに。

 それはもう嬉しそうに満足するまで私の髪を梳いていたシルヴィアが乱れまくった私の髪を見たら……
 全く笑ってない目で微笑みを浮かべたシルヴィアに怒られるっ!!

 ヤバイ!  これは非常にマズイっ!
 ど、どどどどうすれば!  シルヴィアの……大悪魔の怒りをどうにか回避せねば!!

「ふふふ、ご主人様こちらへ」

 どうにかしないとヤバイけど……
 微笑むミーシャの後ろでゆらゆら揺れる真っ白なモフモフの誘惑には抗えないっ……!

 自然と、吸い寄せられる様に同じくベッドの上で座っているミーシャの腕の中に収まっちゃったけど……うん、まぁこれは仕方ないよね。

 モフモフな魔力には誰も争う事などできないのだ!
 原初の悪魔にして魔神へと至った大魔王を手玉に取るなんて……ミーシャ、恐ろしい娘!

「ん」

 櫛で丁寧に梳かされるなも良いけど、手櫛でゆっくりと整えられるのもまた中々に良い。

「んぅ~」

 眠い。
 ミーシャに誘われるがままに膝枕で手櫛で髪を梳いて貰ってたら急激に睡魔が……

 まぁ、ここ最近はあんまり寝れてなかったし。
 それに加えて今日は記念すべき第一回魔国会議もあったし、眠たくなっちゃうのも仕方ない。

 けど、まさか全員がクズ勇者共への復讐の協力をあの場で即決するとは。
 セシリアには何故が抱き締められたし……皆んなが協力してくれる事は嬉しい。

 嬉しいんだけど、勇者共関連は100パーセント私怨な訳だし。
 皆んなを巻き込んじゃうのはちょっと気が引ける。

 けど協力してくれるって決めたのも皆んなな訳だしなぁ。
 まぁ良いか。
 とりあえず、また今度スイーツでもご馳走しよう。

「さて、ご主人様もお疲れの様ですし。
 そろそろ就寝致しましょう」

「ん……そう、する」

 目がしょぼしょぼするし。
 明日からは国力アップと戦備増強のために忙しくなるし……何よりこの睡魔に抗う意味も無い。

「では、灯りを消しますよ。
 お休みなさいませ、ご主人様」

「ん、ミーシャおやすみ……」









 *









「ふふふ」

 灼熱の大地すらも一瞬で白銀の世界へと変える絶対零度の大聖霊。
 まさしく歩く天災。
 人間の国家など一夜もあれば容易く滅ぼせるであろう強大な力を持つ氷魔猫ミーシャ。

 そんな彼女はすやすやと規則正しい寝息を立てながら穏やかに眠る主人の輝くような白銀の髪を優しく撫でて柔らかな微笑みを浮かべる。

「さてと……」

 ひとしきり少女の頭を撫でて、部屋に結界を展開すると主人を起こさないように細心の注意を払って転移する。

「お待たせしました」

 ミーシャが転移した先は、悪魔王国ナイトメアの首都フィーレの中心に聳え立つ白亜の城。
 その城の中でも最奥に存在する会議室。

 数時間前まで魔国会議が開かれていた会議室には、ミーシャの主人。
 原初の悪魔であるレフィーを除く、魔国会議に出席していた全てのメンバーが真剣な面持ちで顔を揃えていた。

「では、人数が揃いましたので会議を開始します。
 レフィーお嬢様の過去について聞きたい事があるのは承知しておりますが……」

 ミーシャが席に着いた事を確認したシルヴィアの言葉が不意に途切れ、スッと瞳が細められる同時に凄まじいまでの重圧が会議室に舞い降りる。

 誰もが息を呑み、呼吸すらままならない。
 レフィーの眷属と竜神であるファルニクスだけが何事も無いかのように静かに自身の席に腰掛ける。

「もし仮に。
 仮にですが、レフィーお嬢様を裏切るような事があれば……わかりますよね?」

 それは圧倒的な死の気配。
 この場に集うのは終焉の大地に住う魔人の中でも強大な存在達。
 そんな彼らが恐怖に震える程の、絶対なる死。

「お言葉ですが。
 ワタクシ共はあのお方に、我らが主君にして神であらせられるレフィー様に絶対の忠誠を誓ったのです。
 そのような事はあり得ません」 

 死の恐怖に耐え、服が肌に張り付く程の冷や汗を流しながらも凛としたセシリアの言葉が静寂が支配する会議室に響き渡り……

「良いでしょう」

 ふっと押し潰すような重圧が掻き消えた。

「ふふふ、皆様が本当にレフィーお嬢様の配下たるに相応しいのか、調べようと思っていたのですが……
 その必要は無かったようですね、皆様をレフィーお嬢様の配下として認めましょう」

 そう言って軽く頭下げ、全員の呼吸が整ったのを確認したシルヴィアの顔には先程とは違い聖母のような微笑み浮かぶ。

「では、改めまして。
 これより従者会議を始めると致しましょう。
 まず、皆様も見たレフィーお嬢様の過去についてですが……」 

 主人たるレフィーの預かり知らぬ場所で行われた彼女の配下達による会議は人知れず夜明けまで続けられた。
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