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第4章 竜神の神域編

89話 目が覚めたら血まみれミイラになってた……

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「ん、ぅ……」

 ……ふっ、またか。
 まぁ今更もう驚きはしないけど、また目が覚めたら知らない天井ってパターンね。

 ふぅ~む、しかしこれはどう言う事だ?
 私はファルニクスと遊……げふん、げふん!  死力を尽くした戦いをしてたハズなのに、何故にベッドの上?
 取り敢えずシルヴィア達に状況を……っ!!

「ぅ……」

 おかしい。
 身体中がバッキバキでめっちゃ痛い。
 も、もしかしてこれは!  地球での記憶に知識としてのみ存在する酷使した筋肉の修復に伴うとされる痛み。
 噂の筋肉痛というヤツでは……!!

「痛い」

 ま、まさか筋肉痛なるものがこれ程までに凄まじいモノだったなんて……てか、え?  何これ?
 何でこんなに包帯まみれ?  て言うかその包帯にも血が……

「レフィーお嬢様っ!  お目覚めですかっ!?」

 ん、この声は……

「ご主人様っ!!」

「レフィー様っ!」

「シルヴィア?  ミーシャとミリアも」

 まさかすぐ近くにいたとは。
 筋肉痛の激痛のせいで身動き取れないから気が付かなかったわ。
 まぁ、魔力感知を使えば目で見なくても視野が飛躍的に大きくなるけど……

 寝起きだったし、それは今後の課題って事で。
 そんな事より、何故に皆んなして涙声で泣きそうな顔になってるの?
 ますます状況がわからないんですけど……

「どう、したの?」

「も、申し訳ありません。
 私とした事が取り乱しました」

 いや、割と良く取り乱してると思うんだけど……まぁ、うん。
 これはシルヴィアの名誉のために黙っておこう。

「レフィーお嬢様は3日間程、ずっと意識が戻らず眠っておられたのです」

「3日……」

「覚えていらっしゃいませんか?
 レフィーお嬢様はファルニクス殿との戦闘中、突然血を流して意識を失われたのです」

 ……あ、そう言えば何故か突然身体中に力が入らなくなって。
 なるほど、シルヴィア達の焦った声を最後に気絶して現在に至るってわけか。

「詳しい事は後程、皆が揃ってからお話しいたします。
 まずはお水を、失礼いたします」

 シルヴィアが優しく上半身を起こしてくれて、その隙にミーシャとミリアがこれでもかと背中にクッションを挟んで背もたれを作ってくれる。

「ん、ありがと」

 ぶっちゃけ、筋肉痛のせいで自力で起き上がるのも厳しかったから助かったわ。
 それにしても……さっきもチラッと見えて思ったけど我ながら凄い格好だな。

 ミイラみたいに全身包帯まみれで、その包帯にも結構な量の血が染み込んで赤く滲んでるし。
 ……これって本当に筋肉痛なのかな?  

「どうぞ、いきなり冷水ではお腹を壊してしまう恐れがあるので白湯ですが、ゆっくりとお飲み下さい」 

「ありが……」


 バンッ


「っ!」

 痛いっ!  ビックリしたっ!!
 ビックリしてビクッて身体が震えたせいで全身がぁっ!!

「お嬢様が目を覚まされたと言うのは本当ですかっ!?」

「レフィーお嬢様は病み上がりなのです!
 一刻も早くレフィーお嬢様の元に馳せ参じたい気持ちはわかりますが、せめてノックくらいして下さい!!」

「シルヴィア様の言う通りですよ!
 見て下さいグラン、今のに驚いたご主人様を!!」

「レ、レフィー様!  大丈夫ですか!?」

「うっ~……」

 し、深呼吸だ。
 ゆっくり、深~く深呼吸するんだ……!

「っ!  お嬢様がお目覚めになったと聞いていても立ってもいられず……申し訳ありません」

 ふぅ……それにしてもシルヴィアと双璧を成す完璧執事なグランがノックも無しに扉を乱雑に開くとは……

「あのグランが……未だにお前の変わり様が少し怖いよ」

「失礼いたします」

 あっ、ファルニクスにアーグベル。
 身内以外の異性に寝起きを見られた……今すぐにでも布団の中に潜り込みたいけど動けないっ!!
 くっ、かくなる上は2人の記憶を抹消して……

「ではレフィーさん」

 取り敢えず俯いていたら名前を呼ばれて思わず顔を上げると……

「少し失礼しますよ」

「ぇ……」

 柔らかく微笑むファルニクスイケメンの顔が目の前にあって、思考消し飛んだ。
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