85 / 436
第4章 竜神の神域編
85話 例え神でも……許さない!
しおりを挟む
目優しく周囲を照らす太陽の光に、心地いい風が吹き抜ける美しい草原。
透明度の高い川が流れ、奥の方にある大きな湖の辺りには立派なお屋敷。
「……」
何か思ってたのと違う。
神域って言うからもっと真っ白な空間的なテンプレ空間だと思ってたのに……
『キミね、神と言っても生きてるんだよ?
そんな場所で生活なんてする訳ないでしょう』
まぁ、確かにそりゃそうだろうけど。
それならもっと火山みたいなところで巨大なドラゴンが鎮座してるとか色々あるじゃん!
それなのに普通に草原にお屋敷って……
まぁ竜種であるグラン達も基本的に人の姿だし、竜神もそうであっても全然不思議じゃない。
竜神のドラゴン形態を見れないのはちょっと残念だけど……まぁそれは仕方ない。
今日は別に遊びに来たわけじゃないし、ましてや竜神を見に来たわけでもない。
今回の竜神訪問はしっかりとした目的がある、悪魔王国としての歴としたお仕事!! だから……
「あの、シルヴィア……」
「はい、レフィーお嬢様。
如何なさいましたか?」
「もう下ろして欲しい」
当然のように現在進行形で抱っこされてるけど…… これから竜神と会うわけだし。
そろそろ本当に下ろして欲しい。
ただでさえ不本意ながら幼児体型気味なせいで幼く見られるのに、抱っこまでされてるとなけなしの威厳が消滅する。
今の私は仮にも一国の女王なわけだし、見た目のせいでナメられる訳にはいかない。
それに初対面でメイドに抱っこなんてされてたら流石に相手に対しても失礼だし。
とにかく! 断じて抱っこされてるのをこれ以上初対面の人に見られるのが恥ずかしいとかじゃないけど、竜神に見られる前にこの状況を脱し……
「皆さん初めまして。
私の名はファルニクス、竜神と呼ばれている者です」
僅かに魔素が揺らぎ草原に降り立った存在が柔らかな笑みを浮かべる。
この僅かながら感じられる膨大な魔素量の片鱗……流石は神と呼ばれるだけはある。
それにこの容姿。
確かにグラン達、竜種は美形揃いだけど……薄らと輝くようなプラチナブランドの髪に金色の瞳。
完成された美とも言うべき美貌。
他国にすらそのルックスで名を轟かせたクズ勇者何て比較にならないイケメンなのはまぁいいとして。
問題なのは、そのイケメンとガッツリ目が合っちゃってると言う一点のみっ!
「……」
はい、たった今、私の威厳は木っ端微塵に砕け散ったわ。
やめて! これ以上こんな子供みたいに抱っこされてる所を見ないでぇっ!!
「お久しぶりです。
ファルニクス様」
「ん?」
よし! よくやったグランっ!!
グランのおかげで竜神の……ファルニクスの視線が逸れた。
「もしかして……お前、グランか?」
「左様でございます」
「……」
おぉ、あの神の如き美貌がポカンと口を開けて呆けてる。
まぁ、グランの変貌ぶりを見れば、そうなる気持ちもわかるけど……
「いや、まぁうん。
お前にも色々とあったんだろうけど、この神域に来るなり私に勝負を挑んできたお前がここまで丸くなるとは……」
「今の私は我が主人であるお嬢様の眷属にして執事。
命を削るような勝負に飢えていたあの頃とは違います」
ちょっと前までのグランを知ってたら、誰だお前ってなるよね。
「グラン様……」
グランの右腕たるアーグベルですら未だにちょっと戸惑って……
「まさか竜神様に勝負を挑むなんて暴挙をしていたなんて……!」
いや、驚くのそこかよ!?
もっとグランの激変について思うでしょう!!
『いや、普通に考えて神に喧嘩を売った方が遥かに驚愕に値するんじゃないかな?』
何言ってんの?
たった1週間足らずで一国の王だった存在がシルヴィアと同等の執事になったんだよ?
『まぁ確かに、そう言われるとそれはそれで若干の怖さがあるけど』
でしょ! ふん、邪神も少しはわかるようになって来たじゃんか。
「しかし古竜王たるグランが敗北するだけでも驚きなのに。
グランを降し、眷属にするなんて……それもこんなにも可憐な幼女が……」
「……今なんて?」
私の聞き間違いじゃなかったら、今私の事を幼女って……
「レ、レフィーお嬢様、落ち着いて下さい!」
は、ははは……幼女? この私が幼女ねぇ……言ってくれるじゃない!
人が気にしてる事をっ!
例え神でも関係ない! コイツは絶対に許さない!!
「殺してやるっ!」
透明度の高い川が流れ、奥の方にある大きな湖の辺りには立派なお屋敷。
「……」
何か思ってたのと違う。
神域って言うからもっと真っ白な空間的なテンプレ空間だと思ってたのに……
『キミね、神と言っても生きてるんだよ?
そんな場所で生活なんてする訳ないでしょう』
まぁ、確かにそりゃそうだろうけど。
それならもっと火山みたいなところで巨大なドラゴンが鎮座してるとか色々あるじゃん!
それなのに普通に草原にお屋敷って……
まぁ竜種であるグラン達も基本的に人の姿だし、竜神もそうであっても全然不思議じゃない。
竜神のドラゴン形態を見れないのはちょっと残念だけど……まぁそれは仕方ない。
今日は別に遊びに来たわけじゃないし、ましてや竜神を見に来たわけでもない。
今回の竜神訪問はしっかりとした目的がある、悪魔王国としての歴としたお仕事!! だから……
「あの、シルヴィア……」
「はい、レフィーお嬢様。
如何なさいましたか?」
「もう下ろして欲しい」
当然のように現在進行形で抱っこされてるけど…… これから竜神と会うわけだし。
そろそろ本当に下ろして欲しい。
ただでさえ不本意ながら幼児体型気味なせいで幼く見られるのに、抱っこまでされてるとなけなしの威厳が消滅する。
今の私は仮にも一国の女王なわけだし、見た目のせいでナメられる訳にはいかない。
それに初対面でメイドに抱っこなんてされてたら流石に相手に対しても失礼だし。
とにかく! 断じて抱っこされてるのをこれ以上初対面の人に見られるのが恥ずかしいとかじゃないけど、竜神に見られる前にこの状況を脱し……
「皆さん初めまして。
私の名はファルニクス、竜神と呼ばれている者です」
僅かに魔素が揺らぎ草原に降り立った存在が柔らかな笑みを浮かべる。
この僅かながら感じられる膨大な魔素量の片鱗……流石は神と呼ばれるだけはある。
それにこの容姿。
確かにグラン達、竜種は美形揃いだけど……薄らと輝くようなプラチナブランドの髪に金色の瞳。
完成された美とも言うべき美貌。
他国にすらそのルックスで名を轟かせたクズ勇者何て比較にならないイケメンなのはまぁいいとして。
問題なのは、そのイケメンとガッツリ目が合っちゃってると言う一点のみっ!
「……」
はい、たった今、私の威厳は木っ端微塵に砕け散ったわ。
やめて! これ以上こんな子供みたいに抱っこされてる所を見ないでぇっ!!
「お久しぶりです。
ファルニクス様」
「ん?」
よし! よくやったグランっ!!
グランのおかげで竜神の……ファルニクスの視線が逸れた。
「もしかして……お前、グランか?」
「左様でございます」
「……」
おぉ、あの神の如き美貌がポカンと口を開けて呆けてる。
まぁ、グランの変貌ぶりを見れば、そうなる気持ちもわかるけど……
「いや、まぁうん。
お前にも色々とあったんだろうけど、この神域に来るなり私に勝負を挑んできたお前がここまで丸くなるとは……」
「今の私は我が主人であるお嬢様の眷属にして執事。
命を削るような勝負に飢えていたあの頃とは違います」
ちょっと前までのグランを知ってたら、誰だお前ってなるよね。
「グラン様……」
グランの右腕たるアーグベルですら未だにちょっと戸惑って……
「まさか竜神様に勝負を挑むなんて暴挙をしていたなんて……!」
いや、驚くのそこかよ!?
もっとグランの激変について思うでしょう!!
『いや、普通に考えて神に喧嘩を売った方が遥かに驚愕に値するんじゃないかな?』
何言ってんの?
たった1週間足らずで一国の王だった存在がシルヴィアと同等の執事になったんだよ?
『まぁ確かに、そう言われるとそれはそれで若干の怖さがあるけど』
でしょ! ふん、邪神も少しはわかるようになって来たじゃんか。
「しかし古竜王たるグランが敗北するだけでも驚きなのに。
グランを降し、眷属にするなんて……それもこんなにも可憐な幼女が……」
「……今なんて?」
私の聞き間違いじゃなかったら、今私の事を幼女って……
「レ、レフィーお嬢様、落ち着いて下さい!」
は、ははは……幼女? この私が幼女ねぇ……言ってくれるじゃない!
人が気にしてる事をっ!
例え神でも関係ない! コイツは絶対に許さない!!
「殺してやるっ!」
10
お気に入りに追加
757
あなたにおすすめの小説

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる