付与って最強だと思いませんか? 悪魔と呼ばれて処刑されたら原初の悪魔に転生しました。とりあえず、理想の国を創るついでに復讐しようと思います!

フウ

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第2章 勢力拡大編

36話 この私が騙されただとっ!?

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「レフィーお嬢様、私の側を離れないでください」

 離れるも何も、現在進行形で髪を整えられてる途中だから動けないんだけど。
 それに、まだまだ焦る必要はない。

 確かに……あのエルダーリッチは例外として、初めての侵入者だけど、侵入者が現在いるのは迷宮のスタート地点である地表階層だし。

「まだ問題ない」

 まぁ、事前に点検できなかったのは悔やまれるけど。
 私が作り上げた自信作が、果たして実戦で通用するのかを試すいい機会だ。

「それよりも、終わった?」

 生まれて数日しか経ってないからか。
 殺される前……冤罪で捕まってから、バッサリと切られた影響なのか。
 今の私の髪は、そんなに長くない。

 元々は美しかった金髪も、捕まってから受けた拷問やら何やらのストレスで色素が抜け落ちて白くなったし。
 あの時は既に精神が死んでたから何も思わなかったけど、今にして思い出すとムカつくわ。

 まぁ、今は白って言うよりは白銀だけども……とまぁ、今はそんな事はどうでもいい。
 とにかく!  多少の寝癖があろうとも、肩口程度までしかない髪をとかすのに時間はあまり掛から無い!!  ハズなんだけど……

「シルヴィアはいつも長過ぎる」

「っ!?  そんな……レフィーお嬢様は、私の楽しみを奪うと仰るのですか……?」

 そ、そんな悲しそうな顔をしても、表情を作ってるって事はわかってるんだからなっ!
 何年一緒にいると思ってんの!?
 私に嘘泣きでの泣き落としは通用しな……

「そう、ですか。
 レフィーお嬢様は、私に御髪を整えられるのは嫌なのですね……」

「べ、別にそんな事は無いけど」

 あ、あれ?
 シルヴィアの声が若干震えて……え?  嘘でしょ?
 マジなの?  嘘泣きじゃなくて??
 や、ヤバイ!  涙を隠すように後ろを向いちゃったから鏡越しから表情は見えないけど、肩が小さく震えてる!!

「あ、あの……シルヴィア?
 別にシルヴィアに髪を整えられるの嫌じゃないよ?」

「ほ、本当ですか?」

「本当だよ!
 シルヴィアなら幾らでも整えてくれていいよ!!」

 テンパって自分でも何言ってんのか意味がわからん。
 何だよ幾らでも髪を整えていいって……けどまぁ、仕方ないな。
 だって、シルヴィアが泣いちゃうなんて予想外過ぎるもん。

「ふふふ、ありがとうございます」

 あれ……?
 ま、まさか……!!

「では、お言葉に甘えて、レフィーお嬢様の御髪を整えさせてもらいます。
 っと、言いたいところですが。
 侵入者がおりますし、お着替え致しましょうか」

 この私が騙されただとっ!?

「シルヴィア~」

「ふふ、申し訳ございません。
 レフィーお嬢様の反応があまりに可愛らしかったので、ついふざけてしまいました」

「うぅ……」

「さて、レフィーお嬢様。
 時間も余りありませんし、そんな目で睨んでいないで、早くこちらにいらしてくださいませ」

 せめてもの抵抗としてジト目で睨んだのに、それすらも軽く受け流すこの余裕。
 おかしい!  シルヴィアはメイドで私は主のハズなのに!!

「はい、終了致しました。
 今日も大変お可愛らしいですよ!」

 むぅ……なんか釈然としない。

『簡単に騙されてテンパる悪魔ちゃん、結構可愛かったよ』

 コノヤロウ。
 文句を言われる前に逃げたと思ってたら、黙ってコソコソ覗いてやがったのか!

「まぁいい」

 邪神に文句言って、賠償金を毟り取るのは後回しだ。
 なんたって、今は我がダンジョンに侵入者が……初めてのお客様がいる!

 本来ならダンジョンマスターとして、魔王の如く最下層で待ち構えておくべきなんだろうけど。
 相手は記念すべき1人目!!

「じゃあ、ご挨拶に向かうとしよう」

「かしこまりました」

 さぁ、記念すべき最初の侵入者とご対面だー!!
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