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第2章 勢力拡大編

22話 キモイ、死ね

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「ふふ、そうですね」

 ……うん、何を言って取り繕ったところで、シルヴィアには見透かされてる気がするわ。
 ま、まぁ、この大陸の統一が大きな一歩となるのは紛れも無い事実だし。
 そこにちょっとした下心があっても問題ない!

 うん、うん。
 そもそもな話、公爵令嬢じゃなくなって悪魔となった今、私が欲望のために動くのは当然の事!
 何せ悪魔とは自身の欲に忠実な精神生命体な訳だし。
 ラノベとかでも悪魔ってそんなイメージだしね。

『それって、完全に開き直ってるよね?』

 否定はしない。
 けど……復讐と平穏な居場所を得ると言う目的を果たすためのプロセスをクリアしつつ、私自身の私欲も満たせる。
 これのどこに問題があるのか?

 敢えて言おう!  何の問題もないと!!
 むしろ一石二鳥どころか、一石三鳥的な?  やっぱ私って冴えてるわ!
 そんでもって、そのためには……

「強くならないと」

 やっぱりこれに帰結する訳だ。
 この大陸を統一するためにも、復讐を果たすためにも、最終目標を実現するためにも。
 そしてなにより……死なないためにも強くならねば!

「ええ、その意気です!
 では、まずは有象無象を相手に戦闘訓練を行うと致しましょう」

「わかった」

 さっきスキルも魔法も軽く確認はしたとは言え、やっぱり実戦じゃなきゃ得られないものもあるし。
 それに、色々と試したい事もあるしね。

「到着いたしました。
 レフィーお嬢様、ご覧下さい」

「あれは……」

「私が見た限り、ヤツらはこの大陸でも最弱の部類の者達です。
 まずはあの豚共を血祭りに上げて、ウォームアップをいたしましょう」

 最弱の部類……ね。

「鑑定」



 オークキング
 名前:なし
 状態:健康、従属、発情

 全てのオークを支配するオークの王。
 危険度・Aランク、厄災級に位置する魔物。



 オークキング。
 私の記憶が正しければ、大都市を単体で滅ぼした事さえあると言われていた魔物。
 これが最弱の部類かぁ……普通に引き篭もりたいわ。

 そもそも、危険度Aって言うとAランク以上の高位冒険者がレイド戦でもって挑むレベル。
 発見されたら即座に騎士団やら軍やらが派遣され、討伐するには小国並みの戦力が必要とされるまさに厄災。
 しかもだ、そんなオークキングですら従属するこの存在……



 オークエンペラー
 名前:なし
 状態:健康、発情

 オークキングすらも従える王の中の王。
 オーク達の絶対的支配者にして、特殊個体等を省きそのヒエラルキーの頂点に位置する。
 危険度・特Aランク、災禍級に位置する魔物。



 冒険者としての最高位であるSランク冒険者でないと太刀打ちできないとされる特Aランク!
 確か前回の数百年前にあった魔王との戦いで、勇者パーティーによって討伐されたとか何とか、もはや伝説にも語られる存在なんですけど……

 しかも、そんなのがオークキングを3体、さらには多数の上位種を従えた巨大な群を形成してるとは……
 小国程度なら軽く蹂躙されるんじゃない?  これ。

 とは言え、そんな事は大した問題ではない。
 最も重大な事は、奴らの状態に他ならない。
 エンペラーやキングを筆頭に群れ全てのオークが陥っているそれは……発情。

 そりゃまぁ、オークと言えば女騎士の〝くっ殺〟で有名な訳だし。
 それはこの世界でも変わらない。
 そんな奴らが女を目の前にすれば、どうなるのかは想像に難くない。

「もうヤダ、帰りたい」

「大丈夫です。
 背後には私が付いておりますので、ご安心ください」

 うぅ、まぁエルダーリッチを瞬殺できるシルヴィアが一緒だから安全だって事はわかってるけど……
 口からは涎を垂らして、血走った目で上空に浮かぶ私達を見つめるオーク達。

 多少の知恵はあるのか、魔物の毛皮とかを身に付けてる者もいるけど、数メートルにも及ぶ巨体を隠す事なんてできるはずもなく。
 つまり……その……何と言うか、反り立たせた局部を惜しみなく見せ付けてきてる訳でして……

 あっ、鳥肌が立った。
 殺される前、好き勝手に代わる代わる辱めを受けたトラウマがフラッシュバックしたじゃねぇか!
 と言うか、幼女になんちゃうもん見せ付けてくれてんのっ!?

「ブヒヒ!  オリテ、コイ、オンナドモ。
 ソウスレバ、コノ、オレサマノ、タネヲ、クレテヤロウ」

「……キモイ、死ね」
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