3 / 436
第1章 悪魔誕生編
03話 とりあえず、寝よう
しおりを挟む
微睡から目が覚めたら……知らない光景が広がっていた。
そこそこの広さ、具体的には学校の体育館程度の空洞があるだけの薄暗い洞窟。
うん、比喩でも何でもなく、本当に知らん景色だわ。
目が覚めたら突然洞窟の中って……拉致ですか? テレビのドッキリなんですか?
って、あれ? テレビ……ドッキリ……あぁ、何か記憶が混濁してるわ。
俺は確か病院で死んで神様に会って……いや、違う私は殺されたんだ。
あの国に、国民達に、勇者に、聖女に。
クズみたいな人間共に……私は大切な人達と一緒に、この世界に皆殺しにされたんだ。
「ふぅ」
……まぁ何はともあれ、取り敢えずは一旦落ち着いて現状確認!
あの時の事は今ここで考えても無駄だし……
「まずは……」
混濁してるこの記憶の整理からだな。
ノアール様……ノアール達に処刑されたのは事実として、俺が病院で死んだのもまた事実。
〝私〟じゃなくて〝俺〟ここ重要。
あぁ……色々と思い出してきた……そうか、これは私の〝前世〟の記憶なんだ。
と言う事は……うわぁ、私って結構ハードモードな人生送ってたわ。
つまりはだ、病弱だった〝俺〟は病気のベッドの上で息を引き取ったと。
享年15歳、泣いちゃいそう。
その後、ファンタジーよろしく、女神様に会って生まれつき病弱だった理由が判明。
確か……魂の不適合だったかな?
地球は空気中の魔素濃度が極端に低い。
魔素を持っている生物は一切存在せず。
人間を含め、殆どの生物は魔素が必要の無い魂になっている。
けど〝俺〟は、神様の不手際によって多少の魔素を持ったまま地球に産まれた。
当然、魔素を必要とする魂で……そりゃ不適合だわ。
初めは体内に僅かながらも魔素が存在したけど……何らかの要因で枯渇。
そう言えば、まだ倒れる以前の子供の頃は、病弱ながらもスポーツ万能で天才少年とか言われてたなぁ……
はい、これ原因。
知らず知らずのうちに、無意識で体内の魔素を使って身体能力を底上げしてたって訳ね。
そして、地球にはそもそも魔素が存在しない。
だから魔素を持つ〝俺〟の魂自体が地球に適合出来ず、欠陥を齎らした。
魔素回復不全と言う、魔素を必要とする存在にとっては死活問題となる欠陥を。
これがもし、地球ではなく〝私〟が生まれた世界なら。
他の魔素が存在する世界なら、例え魔素回復不全でも空気中から魔素を取り入れて何とかなったんだけど……
そんな訳で、享年15歳で死亡。
神様に散々謝罪されてお詫びにと転生を提案される。
最初は断ったけど、詫びをさせて欲しいと神様が泣き出しちゃった為に転生を承諾。
神様は言った。
転生特典として、どんなチート能力でも授けてあげると。
ラノベみたいなテンプレ展開! って、テンションは上がったけど……
ぶっちゃけ、〝俺〟としての人生にそんなに未練は無かった。
とは言え、健康な身体でまた空の下を走りたい気持ちはあった。
だから健康な身体と、平和に暮らしていけるだけの身分があればそれで良いと言ったら……
神様は若干困った様子で苦笑いを浮かべ……直後、神として詫びるのにも面子があると、また泣き付かれた。
神様のせめてもの償いとして、心の底から願った事が何でも1つだけ叶うと言う祝福を授かり、〝俺〟は転生を果たした。
そうして〝俺〟が転生して〝私〟になった訳だけど……結局殺されてるんですけど!?
しかも魂への負担を下げるとかで、前世の記憶が戻るのはあの世界での成人、つまりは15歳。
そんでもって、首チョンパされる直前に記憶が戻ったって事は……
転生までして享年15歳って……しかもTS……いやまぁ、それはどうでもいい。
大事なのは何処かは知らんけど、私がここにこうしているって事は……
「……とりあえず、寝よう」
そこそこの広さ、具体的には学校の体育館程度の空洞があるだけの薄暗い洞窟。
うん、比喩でも何でもなく、本当に知らん景色だわ。
目が覚めたら突然洞窟の中って……拉致ですか? テレビのドッキリなんですか?
って、あれ? テレビ……ドッキリ……あぁ、何か記憶が混濁してるわ。
俺は確か病院で死んで神様に会って……いや、違う私は殺されたんだ。
あの国に、国民達に、勇者に、聖女に。
クズみたいな人間共に……私は大切な人達と一緒に、この世界に皆殺しにされたんだ。
「ふぅ」
……まぁ何はともあれ、取り敢えずは一旦落ち着いて現状確認!
あの時の事は今ここで考えても無駄だし……
「まずは……」
混濁してるこの記憶の整理からだな。
ノアール様……ノアール達に処刑されたのは事実として、俺が病院で死んだのもまた事実。
〝私〟じゃなくて〝俺〟ここ重要。
あぁ……色々と思い出してきた……そうか、これは私の〝前世〟の記憶なんだ。
と言う事は……うわぁ、私って結構ハードモードな人生送ってたわ。
つまりはだ、病弱だった〝俺〟は病気のベッドの上で息を引き取ったと。
享年15歳、泣いちゃいそう。
その後、ファンタジーよろしく、女神様に会って生まれつき病弱だった理由が判明。
確か……魂の不適合だったかな?
地球は空気中の魔素濃度が極端に低い。
魔素を持っている生物は一切存在せず。
人間を含め、殆どの生物は魔素が必要の無い魂になっている。
けど〝俺〟は、神様の不手際によって多少の魔素を持ったまま地球に産まれた。
当然、魔素を必要とする魂で……そりゃ不適合だわ。
初めは体内に僅かながらも魔素が存在したけど……何らかの要因で枯渇。
そう言えば、まだ倒れる以前の子供の頃は、病弱ながらもスポーツ万能で天才少年とか言われてたなぁ……
はい、これ原因。
知らず知らずのうちに、無意識で体内の魔素を使って身体能力を底上げしてたって訳ね。
そして、地球にはそもそも魔素が存在しない。
だから魔素を持つ〝俺〟の魂自体が地球に適合出来ず、欠陥を齎らした。
魔素回復不全と言う、魔素を必要とする存在にとっては死活問題となる欠陥を。
これがもし、地球ではなく〝私〟が生まれた世界なら。
他の魔素が存在する世界なら、例え魔素回復不全でも空気中から魔素を取り入れて何とかなったんだけど……
そんな訳で、享年15歳で死亡。
神様に散々謝罪されてお詫びにと転生を提案される。
最初は断ったけど、詫びをさせて欲しいと神様が泣き出しちゃった為に転生を承諾。
神様は言った。
転生特典として、どんなチート能力でも授けてあげると。
ラノベみたいなテンプレ展開! って、テンションは上がったけど……
ぶっちゃけ、〝俺〟としての人生にそんなに未練は無かった。
とは言え、健康な身体でまた空の下を走りたい気持ちはあった。
だから健康な身体と、平和に暮らしていけるだけの身分があればそれで良いと言ったら……
神様は若干困った様子で苦笑いを浮かべ……直後、神として詫びるのにも面子があると、また泣き付かれた。
神様のせめてもの償いとして、心の底から願った事が何でも1つだけ叶うと言う祝福を授かり、〝俺〟は転生を果たした。
そうして〝俺〟が転生して〝私〟になった訳だけど……結局殺されてるんですけど!?
しかも魂への負担を下げるとかで、前世の記憶が戻るのはあの世界での成人、つまりは15歳。
そんでもって、首チョンパされる直前に記憶が戻ったって事は……
転生までして享年15歳って……しかもTS……いやまぁ、それはどうでもいい。
大事なのは何処かは知らんけど、私がここにこうしているって事は……
「……とりあえず、寝よう」
3
お気に入りに追加
758
あなたにおすすめの小説
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる