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第19章 神魔大戦編
348話 黒龍
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血で赤く染まっていた地面は土の色に戻り、代わりにこの地に流れた血を全て集めた真っ赤な血の池が出現した荒野。
血の池の中央には血液でできた林のオブジェが鎮座し、その奥からアースローのくぐもった悲鳴が木霊する。
「あら、これは……
ここが片付いたら手助けに行こうと思っていたけど、どうやらその必要は無さそうね」
静かに林の奥を見つめていたオルグイユが、ふと統一神界へと視線を向けて微笑み浮かべる。
ちょうどその時、絶えず響いて来ていた悲鳴が止まり、静寂の中を血が跳ねる音だけが鳴り響く。
ドサッ……
一瞬にして異様な光景を作り出していた血の池と林のオブジェが消え去り、アースローが地面へと落下する。
「ふふふ、ご馳走様でした」
チロリと覗かせたピンクの舌で軽く唇を舐めたオルグイユがアースローを一瞥する事もなく踵を返し……
「フォルクレスも動いているし、コレールも出て来ましたからね。
私も負けていられません! ルーミエル様のお手を煩わせない様に、邪魔者共を狩りに行くとしましょう」
そう呟くと同時に、オルグイユの姿が掻き消える。
オルグイユが去ったその場には何も……地面に落下したハズのアースローの身体すらも綺麗に消滅していた。
*
「ぐっ……」
ポタポタ……っと、地面へと血が滴る左腕を押さえながらダブル最上位であるナンバーズ序列10位、ジバルが地面に膝を着く。
「あ~あ、頑張っていらしゃったのに、ついに膝を着いてしまいましたね」
着物を着崩して身に纏い、胸元をはだけさせた妖艶な美女が微笑みを浮かべて、ジバルの前に静かに佇む。
「しかし、10名も集まっておいて期待外れでしたね……残念です」
自身の頬に右手を添えて、悲しみ、憂う様に視線を伏せたその瞬間……
ガギィッン!!
ジバルの身体が左方向へと吹き飛び、数瞬遅れて耳をつんざく凄まじい音が鳴り響き、生じた衝撃波が空気を震わす。
「ぐっ……クソッ!」
吹き飛ばされ、地面をバウンドして転がりつつも何とか勢いを殺し。
呻き声を漏らしながら、立ち上がろうとするジバルを見下す冷たい視線。
「本当に残念です。
私1人を相手に不甲斐ない……もう殺してしまいましょうか?」
妖艶な美女はボロボロなジバルと、周囲に倒れ伏す9名を見渡しコテンと首を傾げる。
その貌に浮かぶのは獲物を前にした肉食獣を彷彿とさせる獰猛な笑み。
「眠りなさい」
放たれる殺気と膨れ上がる圧倒的なエネルギーによって、地面が割れて大気が、空間そのものが震え出す。
凄まじいプレッシャーと殺気が重圧を持ってジバルを押し潰す様にのし掛かる。
ジバル達が10人がかりでこの様なのに対して美女が無傷なことからも、その力量の差は歴然。
だが……それでも……
「ウォォォオッっ!!」
自身の魂を奮い立たせる雄叫びを上げながら、ジバルは重圧に逆らって立ち上がる。
確かに以前までの自分ならばこの局面で立ち上がれたかは分からない、しかし……
「ナンバーズ序列10位、このジバルが貴様を討つ!!」
ジバルを声を張り上げてニヤリと笑う。
思い出すのは昨日の出来事、間近で向けられた正しく次元が違う重圧。
「あら?」
隔絶した力の差がある事は歴然だと言うのに、未だに戦意を漲らせて鋭い視線を向けて来る。
予想外の出来事にキョトンと目を見開き……
「ふふふ……面白い! 特別に貴方は全力で殺して差し上げます」
戦意と殺意を迸らせて楽しげに嗤う。
それは一瞬の出来事。
瞬時に敵へと切迫したジバルの手に握られる黄金に光り輝く一振りの長剣によって放たれる一閃。
完璧な軌道でその刃は敵の首へと吸い込まれて行き……空を切った。
当然の様にジバルの背後を取った女のハイキックがジバルの側頭部へと放たれ、ジバルの身体が吹き飛んで宙に舞う。
「貫け」
吹き飛ばされながらもニヤリと笑みを浮かべたジバルがポツリと呟き……女の足元に展開される魔法陣による拘束魔法。
幾ら魔法陣にを用いて威力を高めていようとも、そんなモノは一瞬で破られる。
だが……その一瞬を稼げればそれで良い。
一瞬動きが止まった女の頭上から広範囲に渡って無数の剣が降り注ぐ。
最初の一閃をフェイクにもう片方の手で地面に魔法陣を刻み。
敵の攻撃を受けて離脱しつつ、超広範囲の攻撃を放つ。
降り注ぐ剣はジバルの魔力を多分に含んだ神剣、例え歴然としと力量差があっても無事では済まない……
「今のは、なかなか良かったですよ」
「チィッ、この化け物め……」
すぐ背後から聞こえた声にジバルは苦笑いを浮かべながら、思わず悪態を漏らす。
「ふふふ、期待外れと言った事を訂正しましょう。
思いの外、楽しかったです」
美女の手にいつの間にか握られていた漆黒の刀が振り上げられ……
「っ!」
美女が僅かに目を見開く。
その視線の先には……
「見事でしたよ、ジバル殿。
ここから先は私が引き受けましょう」
振り下ろされた黒刀を、美しい光沢のある漆黒の鱗に覆われた手で掴み受け止めた男の姿。
「コ、コレール殿……」
ルーミエルの眷属の一角にしてナイトメア総司令が、黒龍が戦場に降り立った。
血の池の中央には血液でできた林のオブジェが鎮座し、その奥からアースローのくぐもった悲鳴が木霊する。
「あら、これは……
ここが片付いたら手助けに行こうと思っていたけど、どうやらその必要は無さそうね」
静かに林の奥を見つめていたオルグイユが、ふと統一神界へと視線を向けて微笑み浮かべる。
ちょうどその時、絶えず響いて来ていた悲鳴が止まり、静寂の中を血が跳ねる音だけが鳴り響く。
ドサッ……
一瞬にして異様な光景を作り出していた血の池と林のオブジェが消え去り、アースローが地面へと落下する。
「ふふふ、ご馳走様でした」
チロリと覗かせたピンクの舌で軽く唇を舐めたオルグイユがアースローを一瞥する事もなく踵を返し……
「フォルクレスも動いているし、コレールも出て来ましたからね。
私も負けていられません! ルーミエル様のお手を煩わせない様に、邪魔者共を狩りに行くとしましょう」
そう呟くと同時に、オルグイユの姿が掻き消える。
オルグイユが去ったその場には何も……地面に落下したハズのアースローの身体すらも綺麗に消滅していた。
*
「ぐっ……」
ポタポタ……っと、地面へと血が滴る左腕を押さえながらダブル最上位であるナンバーズ序列10位、ジバルが地面に膝を着く。
「あ~あ、頑張っていらしゃったのに、ついに膝を着いてしまいましたね」
着物を着崩して身に纏い、胸元をはだけさせた妖艶な美女が微笑みを浮かべて、ジバルの前に静かに佇む。
「しかし、10名も集まっておいて期待外れでしたね……残念です」
自身の頬に右手を添えて、悲しみ、憂う様に視線を伏せたその瞬間……
ガギィッン!!
ジバルの身体が左方向へと吹き飛び、数瞬遅れて耳をつんざく凄まじい音が鳴り響き、生じた衝撃波が空気を震わす。
「ぐっ……クソッ!」
吹き飛ばされ、地面をバウンドして転がりつつも何とか勢いを殺し。
呻き声を漏らしながら、立ち上がろうとするジバルを見下す冷たい視線。
「本当に残念です。
私1人を相手に不甲斐ない……もう殺してしまいましょうか?」
妖艶な美女はボロボロなジバルと、周囲に倒れ伏す9名を見渡しコテンと首を傾げる。
その貌に浮かぶのは獲物を前にした肉食獣を彷彿とさせる獰猛な笑み。
「眠りなさい」
放たれる殺気と膨れ上がる圧倒的なエネルギーによって、地面が割れて大気が、空間そのものが震え出す。
凄まじいプレッシャーと殺気が重圧を持ってジバルを押し潰す様にのし掛かる。
ジバル達が10人がかりでこの様なのに対して美女が無傷なことからも、その力量の差は歴然。
だが……それでも……
「ウォォォオッっ!!」
自身の魂を奮い立たせる雄叫びを上げながら、ジバルは重圧に逆らって立ち上がる。
確かに以前までの自分ならばこの局面で立ち上がれたかは分からない、しかし……
「ナンバーズ序列10位、このジバルが貴様を討つ!!」
ジバルを声を張り上げてニヤリと笑う。
思い出すのは昨日の出来事、間近で向けられた正しく次元が違う重圧。
「あら?」
隔絶した力の差がある事は歴然だと言うのに、未だに戦意を漲らせて鋭い視線を向けて来る。
予想外の出来事にキョトンと目を見開き……
「ふふふ……面白い! 特別に貴方は全力で殺して差し上げます」
戦意と殺意を迸らせて楽しげに嗤う。
それは一瞬の出来事。
瞬時に敵へと切迫したジバルの手に握られる黄金に光り輝く一振りの長剣によって放たれる一閃。
完璧な軌道でその刃は敵の首へと吸い込まれて行き……空を切った。
当然の様にジバルの背後を取った女のハイキックがジバルの側頭部へと放たれ、ジバルの身体が吹き飛んで宙に舞う。
「貫け」
吹き飛ばされながらもニヤリと笑みを浮かべたジバルがポツリと呟き……女の足元に展開される魔法陣による拘束魔法。
幾ら魔法陣にを用いて威力を高めていようとも、そんなモノは一瞬で破られる。
だが……その一瞬を稼げればそれで良い。
一瞬動きが止まった女の頭上から広範囲に渡って無数の剣が降り注ぐ。
最初の一閃をフェイクにもう片方の手で地面に魔法陣を刻み。
敵の攻撃を受けて離脱しつつ、超広範囲の攻撃を放つ。
降り注ぐ剣はジバルの魔力を多分に含んだ神剣、例え歴然としと力量差があっても無事では済まない……
「今のは、なかなか良かったですよ」
「チィッ、この化け物め……」
すぐ背後から聞こえた声にジバルは苦笑いを浮かべながら、思わず悪態を漏らす。
「ふふふ、期待外れと言った事を訂正しましょう。
思いの外、楽しかったです」
美女の手にいつの間にか握られていた漆黒の刀が振り上げられ……
「っ!」
美女が僅かに目を見開く。
その視線の先には……
「見事でしたよ、ジバル殿。
ここから先は私が引き受けましょう」
振り下ろされた黒刀を、美しい光沢のある漆黒の鱗に覆われた手で掴み受け止めた男の姿。
「コ、コレール殿……」
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