最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

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第17章 地球帰郷編

307話 神滅

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「と言う訳で、皆んなと出会う事が出来たのです!」

「ルーミエルちゃん……苦労したのね……ぐすっ」

「儂は貴公が地球出身だと言う事を誇りに思うぞ」

 鼻をすすり、ハンカチで目元を拭く天照さん。
 片手で両目の目頭を押さえながら上を向き声を震わせるゼウスさん。

「お2人とも……」

「私達のせいで苦労をかけてしまって、ごめんなさい……何か困った事があったら何でも言って下さいね」

「うむ、それで罪滅ぼしとは言えんが。
 全力を以ってして力を貸すぞ」

「ありがとうございます……」

 やはりかいつまんでとは言え、聞くも涙、語るも涙の僕の経緯を話したのは間違いでしたか。
 天照さんも、ゼウスさんも優しい人ですからね。
 2人は何も悪く無いのに負い目を感じている様ですね。

「ありがとうございます。
 でも今は皆んなと一緒になれて僕は幸せなのです!」

「な、なんて健気なの……」

「本当になにかあったら儂らに言うのだぞ?」

 ここまで言われて遠慮していたら、2人の心遣いを無碍にすることになってしまいますね。

「分かりました!  
 じゃあ、もしもの時は遠慮無く頼らせて貰いますね!!」

「うむ、任せておけ!」

「ルーミエルちゃん、どら焼きは好きですか?
 もしよろしければ、後でご馳走しますよ?」

 どら焼きっ!
 あの丸く円盤型のフォルムに、食欲をそそる色合い!
 そして生地とあんこの見事な融合を実現した芸術的とも言える味わいっ!!

「好きです!  大好きですっ!!」

「それは良かったです」

 何故今まで和菓子の事を忘れていたのでしょうか?
 やっぱりネルウァクス帝国とかがヨーロッパ風の感じだからでしょうか?

 いやそんな事はどうでもいいですね。
 大切なのは後でどら焼きをご馳走になれると言うこの事実!
 とは言え……ふっふっふ、これは売れますっ!
 アニクスに帰ったら新たに和菓子を売るとしましょう!!

「フォルクレス様……あの2人は……」

「オーディン君。
 彼らはもう、あちら側の住人って事だよ」

 涙を流しまでした天照さんとゼウスさんを何とも言えない視線を向けるオーディンさん。
 何やらフォルクレスと意味深な事を喋ってますがどうかしたのでしょうか?
 気になりますね……でもまぁそれは後で聞くとしましょう。

「皆んな」

 クレーターのど真ん中で優雅なアフタヌーンティーを楽しむ事約30分。
 皆んなも当然、気づきましたか。

「クソッ!  ゼェ、はぁ……この私が……あんな小娘如きに……」

「小娘で悪かったですね」

「っ!!」

「随分と驚いてますね。
 まぁ当然ですか……」

 だってゼサータレンにとって、目の前に僕達がいる事は想定外でしょうしね。

「残念ながら、あの世界から地球への出口はそこだけに固定しています。
 あの世界を作ったのはこの僕です。
 例えお前が神能用いようと、あの世界に関する事では僕がルールです!」 

 とは言え、ゼサータレンが万全な状態なら話は別。
 無理やり空間をねじ曲げて何処かに出口を作る程度はできたでしょう。

 でも現在は僕との戦闘での消耗。
 そして何より、世界の終焉ワールド・ノヴァで相当なダメージを受けたハズです。
 そんな状態では出口を変える事はできません。

「丁度3つ目のケーキも食べ終わった所ですし……後半戦と行きましょうか」

「後半戦、だと……?
 お前は一体そこで何をしている?」

「何って……おやつタイムのアフタヌーンティーですけど?」

「おやつ、タイム……アフタヌーンティー……ククク、クックックック、クハッハッハッ!!」

 おぉ、見事な笑いの三段活用です。
 しかし、突然笑い出すとか、ちょっと怖いですね。
 情緒不安定なのでしょうか?

「巫山戯るなっ!!  私を誰だと思っている!?
 私はヴィスデロビア様が眷属にして、四魔皇が黒炎だぞっ!?」

「別に巫山戯てはいませんよ。
 ただ、お前より僕の方が強い、それだけです。
 それにお前ももう分かったハズです」

 いくらゼサータレンが強かろうが、僕1人でこの有り様。

「どうあっても。
 例えお前が僕を殺したとしても、お前に勝利はあり得ない。
 だから……降伏しなさい」

「は?」

 ネルヴィア様に頼まれたのはゼサータレンを潰す事であって殺す事では無い。
 むしろ殺すよりも捕まえて情報を聞き出した方が利益は大きいですからね。
 素直に降伏してくれればいいのですが……

「クハッハッハッ!!  巫山戯るな!!
 確かにお前が私よりも強い事は認めよう……必ずやヴィスデロビア様の障害となるとな」

 唐突に跳ね上がるゼサータレンの魔力。

「お前はここで消しておく必要がある!
 クックックック!  この地球もろとも消し飛ばしてやるっ!!
 クハッハッハッっ!!」

「っ!  まさか自爆をっ!?」

「その通りですよ、オーディン。
 さぁ、もうすぐです。
 もうすぐ、この星もろとも吹き飛ばしてやるぞっ!!」

 まぁ、当然素直に降伏なんてしませんよね。

「そうですか……残念です」

「小娘ぇ!  今更後悔してももう遅い……」

「神能〝殲滅ノ神〟」

「な、何を……」

「地球を消し飛ばされる訳にはいきませんので。
 お前が1人で消え去れ……神滅!!」

 天を衝く白き柱が、目を見開くゼサータレンを呑み込んだ。
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