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第15章 学園入学編

269話 乾杯ですっ!!

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「ご招待、有り難く思いますぞ」

「ご、ご招待ありがとうございますっ!」

 老練な大貴族を彷彿とさせる、余裕のある微笑みを浮かべるオシークスさんは流石ですね。
 統一神界、しいては神々の中でも重鎮なだけはあります。

 しかし、逆にアイリースさんは緊張してる事が一目瞭然!
 ふっふっふ!  ここはホストとして僕がアイリースさんの緊張を上手く解してあげなければなりませんねっ!!

「ようこそお越し下さいました。
 私はお嬢様の執事にして眷属の1人、コレールと申します、以後お見知りおき下さい」

「おぉ、貴殿が噂に聞く。
 他の皆さんもご紹介頂けますかな?」

「お客様が揃い次第、我々からご挨拶させて頂きます。
 もうすぐ皆様お越しになると思いますが、それまでこちらでお寛ぎ下さい」

 お客様であるオシークスさんを席……夜桜の下に設置した畳の会場の座布団に案内するコレール。
 この鮮やかな手腕、流石ですね……でも!  本当は僕の役 割なのにっ!
 アイリースさんは絶対に譲りませんっ!!

「アイリースさんも座って寛いで下さいね!」

「で、でも、私なんかがダブルである学園長と同じ席に着くなんて……」

 これは……これから、フォルクレスは当然として。
 ダブルであるエネトスさんに、ソシリア達が来る事は言わない方が良いですね。

「お堅いのは最初の乾杯までで、それ以降は無礼講なので、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。
 リラックスです、リラックス!」

「ぜ、善処します。
 それにしても……ルーミエルさん、その格好は……?」

「よくぞ聞いてくれましたっ!」

 うんうん、やっぱり気になりますよね。
 オシークスさんは何も言ってこないし、もしかして不評なのかと思っちゃいました。

「今宵のパーティーは所謂、お花見!
 こうして野外にお座敷を設置して、ホストである僕達が普通の服装で出迎えては面白く無い!
 風情があり、この場所に相応しい格好……それは和服!  着物なのですっ!!」

「……」

 ふっふっふ!  アイリースさんも、感嘆のあまり言葉も無いようですね。
 着付けは….ぶっちゃけ疲れましたが、頑張った甲斐がありまた!

「それに、ここだけの話ですけど。
 面白い余興も考えてるんです、楽しみにしておいて下さいね!」

 小声でアイリースさんに言ったのに、如何やら聞こえていた様ですね。
 オルグイユとアヴァリスが一瞬だけ怖い笑顔になってました。

「ほほう、それは楽しみです」

「イ、イヴァル王!  ウェルス帝も」

「やっと気づきましたか……」

 イヴァル王の隣に座って苦笑いを浮かべるウェルス帝。
 十剣の皆んなも、グラウス爺も、アレックさんまで!

「一体いつの間に……」

「ルーミエル様がそちらの方に熱弁しているところから見ていましたよ」

 ま、まぁ!  何も間違った事は言ってませんし!?
 変なところは一切無かったはずです!  

「そ、そうですか。
 こほん、今夜は楽しんで行って下さいね」

「ルーミエル様……流石に今更取り繕うのは……」

 パチン

 静かに一度指を鳴らす。
 それだけで、メルヴィーに引き摺られて、連行されて行くネロ。

「何か?」

「「何もありません!」」

 やっぱり、イヴァル王とウェルス帝は息ぴったりですね。
 もはや日常と化したやり取りに、十剣の皆んなも呆れ顔でネロを見送ってますが。
 アイリースさんは目の前で繰り広げられた一連の事態に驚かせてしまった様ですね。
 後でしっかりフォローしなければ!  でも今は……

「ようこそお越し……」

「エルちゃん!  何ですかその格好!?」

「ルーちゃん可愛いです!」

 せ、せっかく、大人のレディーとして畏った言葉遣いで出迎えようとしたのに……

「これ、ルーミエルを離さんか!
 困っておるだろうっ!」

 疾風の如く目の前に移動してニマニマと顔をニヤケさせるソシリアとアフィリスを一括する見た目少女なネルヴィア様。
 途轍もなくシュールな絵面ですね。

「ありがとうございます、ネルヴィア様。
 では気を取り直して、皆んなようこそお越し下さいました!」

 ふふん!  これでホストとして、お客様を出迎える役目は十全に果たしたと言えるでしょう!
 これで後は美味しいご飯を……っ、ニヤケない様に気をつけねばっ!!

「こほん、では全員揃った事ですし。
 皆んなグラスを持って下さい」

 ソシリア達も席に着き、ちょっとボロボロになったネロもグラスを手に持ちましたね。

「今宵は僕の学園入学及び、卒業の目処が立った事にお集まり頂きありがとうございます。
 ささやかながら、是非楽しんで行ってください!」

 口上はこれで十分でしょう。
 まぁもっと言えば、グラスでは無くて、杯が良かったのですが……まぁこの際、細かい事は気にしないっ!

「乾杯ですっ!!」
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