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第15章 学園入学編

263話 入学式です!

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 青い空に、そこまで強くない優しい日差し。
 思わず見入ってしまいそうな程に美しく、見事に咲き誇る桜の並木道。

 前方に見える広大な白亜の学園。
 統一神界学園に向かって歩く、白を基調とした学園の制服に身を包んだ少年少女達は感嘆している様ですが……

「浅はかですね」

 激辛地獄によって半泣きになりながら僕の怒りの深さを思い知り、フォルクレスに執行されたお仕置きに恐れ慄いたネルヴィア様。

 今日、この道を歩く少年少女達の新たな門出を祝う美しい桜ですが。
 実は僕の機嫌を取る為に、ネルヴィア様が日本の知識を仕入れて急遽作ったと言う事実。

「本当に、浅はかです」

「ふふふ、お嬢様、嬉しそうにニヤけてますよ?」

「そ、そんな事無いです!」

 ま、まさかポーカーフェイスが崩れて……いや!  そんなヘマをする訳がありません!
 と言う事は、メルヴィーにポーカーフェイスを見抜かれていると言う事に……

 や、ヤバいです。
 それじゃあ、内心ネルヴィア様の気遣いに喜んでいた事も筒抜け!
 非常にマズイ!  これじゃあただのツンデレじゃないですかっ!?
 ツンデレはアイリースさんで間に合ってるのに!

 い、いや!  バレたのなら、堂々とすれば良いのです!
 ネルヴィア様が態々、僕の為に日本の知識を調べてまで桜並木を作ってくれたのです。
 こんなサプライズが嬉しくない訳がない!!

「でも……桜は気に入りました。
 皆んなにも見せてあげたいですし、帰ったらお屋敷の庭園に桜の木を植えましょう。
 それで皆んなでお花見するのです!」

 朝からお花見して、夜は露天温泉に浸かりながら夜桜を楽しむ。
 絶対に楽しいですね!  夢が広がります!!

「ふふふ、それは楽しそうですね。
 では、本日を何事も無く過ごす為に私と手を繋ぎましょう」

 ……ちょっと、僕には理解できない理論ですね。
 しかしまぁ、これは昨日から既に決まっていた事ですからね。

「分かりました」

 昨日、統一神界学園の入学式に当たって、急遽開かれた緊急会議で話し合われた最重要議題。
 ナイトメアの活動を一時中断してまで開かれた会議の議題が、入学式での僕の安全確保って……

「本当はお嬢様を抱っこさせて頂きたいのですが……」

「そんなに名残惜しそうに言ってもダメです」

 会議では断固して抱っこは阻止しましたからね。
 これから同級生になる入学生達に、入学式で抱っこされているのを見られるのは流石に恥ずかしい。
 既に入試の時に見られている人もいますが、それはそれです。

「承知しました。
 ですが、この手は離さないで下さい。
 お嬢様がお眠りになった後の眷属会議で、全会一致で決定した〝学園でお嬢様を虫から守る〟と言う使命がありますので」

 過保護ですね。
 言い寄ってくる下心満載の有象無象程度、僕1人でも十分にあしらえるのに。

「お嬢様、入学式の会場に到着致しました」

「おぉ、会場はここでしたか」

 入学式の会場は入試で最初に待機していた行動の様ですね。
 しかし、入学式ってお偉いさんの話を長々と、結構面倒なんですよね。

「ご心配なさらずとも、退屈はなされないと思いますよ」

「えっ?」

「ふふふ、直(じき)にわかります」

 い、意味深な事を言いますね。
 しかも何故か楽し気ですし……もしかして学園から送られて来た書類に何か書いてあったのでしょうか?
 面倒だから読まなかった事が裏目に出るとは……

 でもまぁ、僕に何か不利益がある事ならメルヴィーがこんなにも落ち着いているはずありませんし。
 うん、サプライズを楽しみにしておきましょう!

「今回は、席を指定されているのですか」

 最後尾に座ろうと思っていたのに、最前列のど真ん中って……ついてませんね。
 いやいや、ここは前向きに考えるのです!
 最も見えやすい場所でサプライズを楽しむ事ができますっ!!

「ではこれより、統一神界学園入学式を開催します。
 まず初めに、当学園の学園長であらせられるオシークス様よりご挨拶を頂きます」

 おぉ!  何かこの感じ、久しぶりです!!
 小学校、中学、高校と、周囲の視線もあって入学式は非常に嫌な行事でしたが。
 今回は隣にメルヴィーがいますし、柄にも無くちょっとワクワクします!

「新入生の諸君。
 今日この日に、この場所に諸君らと再び顔を合わされた事、嬉しく思う」

 そんな言葉で始まったオシークスさんの挨拶。
 長過ぎず、短過ぎず、丁度良い長さの挨拶を終えてたオシークスさん拍手の中席に戻る。

 最後に目が合って、意味深なウィンクをされたのが気掛かりですね……
 あっ、考え事をしていたら在校生代表の挨拶が終わってしまった。

 在校生代表の男子生徒も去り際にこっちを見て爽やかな微笑みを浮かべていましたけど……
 何一つ話を聞いていませんでしたが、背後から黄色い悲鳴が起こりましたし。
 もしかして有名人なのでしょうか?  あとでメルヴィーに聞くとしましょう。

「では次は新入生代表ルーミエルさん。
 壇上に上がって下さい」

「……ん?」
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