上 下
256 / 375
第15章 学園入学編

256話 見せてあげましょう

しおりを挟む
「「「「……」」」」

 あれ?  おかしいですね。
 計画ではここで今日最大の大歓声が巻き起こるハズなのに。
 こ、これではメルヴィーが……

 パチパチパチパチ

「流石でございます、お嬢様!」

 な、なんか嬉しそうです!
 笑顔まで浮かべて拍手してくれてますし、どうやら納得してくれた様ですね。
 ふっ!  流石は僕ですね、これで入学前の身内による受験生血祭り事件は回避なされましたっ!!

 あ、安心したら、皆んなの視線が……
 と言うか、何で体育館中の人が唖然と見つめてくるんですかっ!?
 一刻でも早くこの視線から逃げなければ!  

「……」

 早くメルヴィーに隠れたいけど、他の人達は試験官さんの評価を貰ってから、壇上から降りてましたし……
 なんで何にも言ってくれないんですか!?

「あ、あの……試験官さん?」

「も、申し訳ありません。
 ルーミエルさん、過去例を見ない程に凄まじい記録です。
 この水晶は1つにつき、10億まで計測可能なのですが……」

 うん、10個全部が砕け散り、塵となって消滅しましたね。
 ふっふっふ!  オシークスさんの慌てふためいた困り顔が目に浮かぶ様ですっ!!

「ルーミエルさんの魔力総量は少なくとも100億以上!
 正確な数値は申し訳ありませんが、本日の設備では測定不能です」

「分かりました。
 ありがとうございました」

 よし、これで壇上から降りられる!
 試験官さんに一礼し。落ち着きが無いと思われない程度の速度でメルヴィーに抱きつく。
 まだ背中に多くの視線を感じますが、取り敢えずはこれで安心ですね。

「ふふ、このメルヴィー、お嬢様の凄まじいお力に感動致しました」

「頑張りました」

 主に精神的に。
 受験生血祭り事件に発展する可能性がありましたからね……

「っ!  し、仕方ありませんね。
 帰ったらスイーツをたくさん用意いたしましょう」

「本当ですかっ?」

 ショートケーキ、チョコレートケーキ、ガトーショコラ、チーズケーキ。
 他にもパフェにシュークリーム……夢が広がりますっ!!

「コホン、えー、これで魔力量計測試験は終了です。
 申し訳ありませんが、皆さん少し待機をお願いします」

 引率の試験官さんを含め、この場にいた全ての教員が集まって何やら話し合いを始める。
 教員の皆さんには悪い事をしてしまいましたね。
 けど、これも全てはオシークスさんとフォルクレスのせいなのです……

 目下の人を苦しめるとは、ひどい人達です!
 帰って存分にスイーツを楽しんだら、注意しておいてあげましょう!

「エッグタルトとかも……何か騒ついて来ましたね」

 とは言え、未だにチラチラと視線も感じますね。
 フィフスの神でも不可能な事を容易くやってのけた謎の受験生……ちょっとテンション上がってきましたっ!  

「ちょっと貴女っ!」

 あ、危なかった……突然話しかけられたからビックリしました。
 しかしメルヴィー同様に、僕はカッコイイ女性!  突然話しかけられても取り乱したりはしないのですっ!!

「ん?  おぉ!  貴女は5億のアイリースさん!
 あの時は助かりました、ありがとうございました」

「えっ?」

「それで、僕に何か用ですか?」

 ニッコリと爽やかな笑顔を浮かべて見せる。

「そうだったわ!
 貴女、不正なんてして恥を知りなさいっ!!」

 ……分かってましたよ。
 僕にカッコいい女性たる魅力が無い事は、受付嬢さんの時に分かってましたよっ!

「はぁ……」

「っ!  貴女ねっ!!」

 かなり怒った様子のアイリースさんが僕へと手を伸ばし……

「っ!?」

「頭に乗るな」

 メルヴィーにその腕を掴まれる。
 至近距離でメルヴィーの殺気を向けられて青くなっちゃってますね。

「小娘風情が、お嬢様を侮辱して……そんなに死にたいのですか?」

 アイリースさん、もうガクブルです。
 頭ごなしに不正と決めつけられるのは僕としても不愉快ですが。
 自業自得とは言え、これはちょっと可哀想ですね……仕方ありません、助け舟を出してあげましょう。

「メルヴィー、構いません」

「お嬢様……かしこまりました」

 メルヴィーの視線が外され、緊張が解けたアイリースさんが膝から地に沈む。
 周囲も何事かと騒ぎ始めましたし、大事になる前に治めなければ!

「申し訳ない、アイリースさん、大丈夫ですか?」

「っ!  神王様の推薦者って貴女ねっ?
 神王様の伝手で高位の神であるこのお方のお力を借りたんでしょうっ!?」

 懲りませんね、この人も。
 メルヴィーの事を高位の神って言ってますが、そのメルヴィーの前で再び不正呼ばわりするとは。
 気が強いと言うか、おバカと言うか……

「はぁ、別に貴女がどう思おうが構いませんが。
 流石に頭ごなしに不正と決めつけられるのは僕としても不愉快です」

「虎の威を借りる狐のくせにっ!
 貴女みたいな子供にこの私が負けるハズが無いのよっ!!」

「今は何とでもどうぞ。
 次の実技試験でアイリースさんを納得させる結果をお見せしょう。
 楽しみにしていて下さい」
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

最弱スキルも9999個集まれば最強だよね(完結)

排他的経済水域
ファンタジー
12歳の誕生日 冒険者になる事が憧れのケインは、教会にて スキル適性値とオリジナルスキルが告げられる 強いスキルを望むケインであったが、 スキル適性値はG オリジナルスキルも『スキル重複』というよくわからない物 友人からも家族からも馬鹿にされ、 尚最強の冒険者になる事をあきらめないケイン そんなある日、 『スキル重複』の本来の効果を知る事となる。 その効果とは、 同じスキルを2つ以上持つ事ができ、 同系統の効果のスキルは効果が重複するという 恐ろしい物であった。 このスキルをもって、ケインの下剋上は今始まる。      HOTランキング 1位!(2023年2月21日) ファンタジー24hポイントランキング 3位!(2023年2月21日)

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜

平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。 途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。 さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。 魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

処理中です...