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第13章 魔教団殲滅編

207話 徹夜ですよ!?

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「ふふふ、心配そうですね」

「まぁ、それはそうですよ。
 メルヴィーは心配じゃ無いのですか?」

 温かいココアを入れてくれたメルヴィーは、柔らかな微笑みを浮かべる。

「確かに気にはなりますが、心配はありません。
 時間は掛かるかもしれませんが、あの子達なら大丈夫ですよ」

 そう言うものですかね?
 でも確かに、これはリーナとミーナの、4人の問題。
 これ以上は僕達が不用意に介入するべきではありませんね。

「それに、お嬢様はそろそろお休みなさって下さい」

「う~ん、そうですね。
 そろそろ寝るとしましょう」

 温かいココアを飲んでいたら目がしょぼしょぼして来ましたし。
 尤も、まだ眠たい訳ではありませんけど、何たって僕は大人ですからね!

「では、こちらにお着替え致しましょうか」

 メルヴィーが手に持つのはパジャマ、いわゆるネグリジェと呼ばれる物。
 しかし侮る事なかれ!  このネグリジェの性能はそこらの防具を遥かに上回る逸品なのです!!

「では、参りましょう」

「ふぁ~い」

 メルヴィーに手を引かれて歩き出す。
 このベッドまでの道のりが地味に辛い……

 それにしても、本当にリーナとミーナは大丈夫でしょうか?
 あの4人には、特にジルの娘である2人には辛い話だったでしょう。

 ハールトさんの策によって稼ぐ事が出来た僅かな時間。
 その間に、ジルが吸血鬼としての固有スキルで保管していたハールトさんの血液を使って妊娠したのがリーナとミーナ。

 高位吸血鬼になれば血液を吸う必要は無く、生物や大気に満ちる生気を吸収して糧とする。
 高位吸血鬼にとって血液とは糧では無く、万能アイテム。

 だから、原種であり高位吸血鬼であるジルはハールトさんの血液を使って妊娠できた。
 尤も、正規の方法……性行為を行なっていないので、通常以上の体力と魔力を消耗する、リスクが高い手段と言えた。

 見つからない様に結界を展開し、魔教団の手を躱すだけで精一杯だったでしょう。
 それでも、ジルは2人の愛娘と平穏な日々を送っていた……リーリスが出張って来るまでは。

 ジルは10万年前の大戦で、オルグイユの配下として戦った猛者。
 とは言え、とても万全とは言えない状況で超越者を相手に幼い娘2人を守りながら戦う事は不可能。
 斯くして、愛娘2人を人質に取られてジルは魔教団に捕まった。

 魔教団としてはジルを犯させて高位吸血鬼の実験体を量産しようと考えたみたいだけど。
 高位吸血鬼は生気を操る。

 自身よりも格下相手には、妊娠するもしないも自由自在。
 誇り高い原種、魔教団如きにジルを妊娠させる事なんて出来なかったでしょう。

 しかし、それにも当然力を使う。
 それに加えて度重なる人体実験……結果としてジルは回復出来ずに命を落とした。

「うぅ~、やっぱり心配です……」

 こんなの子供にはハード過ぎるでしょう!?
 それに、リーナとミーナにとっては突然父親が出てきたって事ですしね。
 ハールトさんの血液……DNAを使っているので、血縁関係にある訳ですしね。

「大丈夫ですよ。
 あの子達も誇り高い高位吸血鬼ですから、明日になればいつも通り笑っていますよ」

「そう、だと……良いん、ですけど……」

「ふふふ、あの子達に心配をかけない為にも、お嬢様はお休み下さい」

 マズイですね……だんだんと足元が覚束無くなってきました。

「お部屋に着きましたよ」

「ん~……」

 ベッド、ベッド、ふわふわベッド!
 心地良い微睡み、最高です!!

「あっ!」

「メルヴィー、お休みなさい」

 魔力を使って寝室の扉を閉める。
 メルヴィーがこっちに向かって手を伸ばしていましたけど……寝ぼけていて、見間違いたのでしょう。

「ふふふ、もふもふです」

 程よい温かさに包まれる。
 これはすぐにでも寝落ちしそうですね。
 そもそも、この間リーリス達を追い払ってから殆ど徹夜ですよ!?

 こんな幼気な幼女が徹夜。
 お昼寝も無しに、我ながらよく頑張ったもんです。
 ふっふっふ!  誰に何を言われようと、お昼まで寝てやります!!

 手元にあったもふもふを抱き寄せ、目を閉じる。
 ふわふわなベッドに、心地良い温かさ、そしてもふもふな抱き枕。
 完璧なこの状況に誘われ、すぐに意識が沈みました。






 翌日、起きてみると何故か僕のベッドにノアとシアがいて。
 そしてこれまた何故か、メルヴィーが少し拗ねていました。
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