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第13章 魔教団殲滅編
206話 4人の関係 その3
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「リ、リリアーナ、それは本当なんですか?」
ハールトさんは明らかに狼狽した様子ですね。
けどまぁ、彼の事情からすればこの反応も当然ですか。
「全てルーミエル様の仰る通りよ」
「し、しかし、貴女は人間のはずだ。
魔教団で吸血鬼が最高幹部になれるはずが……」
ハールトさんの気持ちも分かります。
到達者たるハスルートや、超越者であるリーリスを騙すのは至難の技ですからね。
「それがリリアーナさんの力だからです」
「力、ですか?」
これって、僕が勝手に言っちゃっていいんでしょうか?
あっ、リリアーナさん頷いてますね……これは僕に言えって意味ですね!!
「こほん、では説明します。
リリアーナさんが魔教団の目を騙せたのはユニークスキル〝千変万化〟の権能です」
千変万化の主な権能は、変装・ステータス改竄・認識阻害・意識誘導など。
隠密や潜入などの諜報は勿論、戦闘にも活かせる万能型のユニークスキル。
「確かに同等のユニークスキルを持つ者なら見破る事は可能です。
しかし、ハスルートやリーリスは到達者や超越者であると言う事で他者を見下していました。
自身が騙されている何て考えた事も無かったんじゃないでしょうか?」
事実、ハスルートは到達者である事を神とすら豪語してましたし。
「では、本当に……」
「はい、リリアーナさんは貴方の婚約者だったジルさん配下の吸血鬼です」
「お嬢様、1つ宜しいでしょうか?」
唖然と目を見開くハールトさんを横目に見るリーナとミーナ。
まぁ、気になりますよね。
何たって亡き母の婚約者だった人ですからね。
「ハールトさんの事ですね?」
「はい。
この方は一体……」
「先程も言った様に、ハールトさんは今は無きハハーレン王国の王子だった人です。
そして、2人の母であるジルを救う為に……」
「お言葉を遮ってしまい失礼致します。
ですが、そこから先は私自身にご説明させては頂けないでしょうか?」
そう、ですね。
これは当事者だった彼の口から直接説明した方がいいでしょう。
「構いませんよ」
「ありがたく。
ルーミエル様の仰る通り、私はハハーレンと言う小国の王子で、お2人の母親であるジルの婚約者だった」
それは哀れな王子の物語。
ハールトさんの母国、ハハーレン王国は小国ながらも平等を謳い、平和で活気溢れる国だった。
……魔教団を背後に持つアレサレム王国に目をつけられるまでは。
広大な国土と幾つもの属国を持つ超大国とハハーレン王国では戦争にすらならない。
仮に戦端を開けば、待っているのは蹂躙と滅亡の未来のみ。
しかし、ハールト王子は周辺各国に名を轟かせる程の逸材
彼はアレサレム王国の影に見え隠れする魔教団の事に気づく。
ハハーレン王国のハールト王子は、アレサレム王国としても彼を殺すのは勿体ないと考える程の逸材だった。
自身の価値を理解していたハールトさんは自身と知り得た秘密をチップに交渉を持ちかける。
国民達に、人間以外の種族に手を出さ無いと約束するのならば。
裏で魔教団が行なっている実験を止めるのならば、降伏すると……
それは苦肉の策だった。
国民達を、実験体にされている被害者達を。
そして何より、魔教団が捕獲しようとしていた高位吸血鬼である自身の婚約者を守る為の……
絶対に守らなければなら無い秘密を握られた魔教団はその提案を呑んだ。
斯くして、ハールトさんは魔教団の一員となり、ハハーレン王国はアレサレム王国の属州となって滅亡を迎えた。
「しかし、魔教団はハールトさんとの約束なんて初めから守るつもりなんて無かった。
2人の母であるジルは実験体として捕まり、魔教団の実験もハールトさんの預かり知らぬ所で続けられた」
確かにハールトさんは逸材だった。
剣も魔法も勉学も超一流……しかし、平和な国で育ったが為に甘かった。
握り締めた手には血が滲み、流れ落ちる涙を咎める者は誰もいなかった。
ハールトさんは明らかに狼狽した様子ですね。
けどまぁ、彼の事情からすればこの反応も当然ですか。
「全てルーミエル様の仰る通りよ」
「し、しかし、貴女は人間のはずだ。
魔教団で吸血鬼が最高幹部になれるはずが……」
ハールトさんの気持ちも分かります。
到達者たるハスルートや、超越者であるリーリスを騙すのは至難の技ですからね。
「それがリリアーナさんの力だからです」
「力、ですか?」
これって、僕が勝手に言っちゃっていいんでしょうか?
あっ、リリアーナさん頷いてますね……これは僕に言えって意味ですね!!
「こほん、では説明します。
リリアーナさんが魔教団の目を騙せたのはユニークスキル〝千変万化〟の権能です」
千変万化の主な権能は、変装・ステータス改竄・認識阻害・意識誘導など。
隠密や潜入などの諜報は勿論、戦闘にも活かせる万能型のユニークスキル。
「確かに同等のユニークスキルを持つ者なら見破る事は可能です。
しかし、ハスルートやリーリスは到達者や超越者であると言う事で他者を見下していました。
自身が騙されている何て考えた事も無かったんじゃないでしょうか?」
事実、ハスルートは到達者である事を神とすら豪語してましたし。
「では、本当に……」
「はい、リリアーナさんは貴方の婚約者だったジルさん配下の吸血鬼です」
「お嬢様、1つ宜しいでしょうか?」
唖然と目を見開くハールトさんを横目に見るリーナとミーナ。
まぁ、気になりますよね。
何たって亡き母の婚約者だった人ですからね。
「ハールトさんの事ですね?」
「はい。
この方は一体……」
「先程も言った様に、ハールトさんは今は無きハハーレン王国の王子だった人です。
そして、2人の母であるジルを救う為に……」
「お言葉を遮ってしまい失礼致します。
ですが、そこから先は私自身にご説明させては頂けないでしょうか?」
そう、ですね。
これは当事者だった彼の口から直接説明した方がいいでしょう。
「構いませんよ」
「ありがたく。
ルーミエル様の仰る通り、私はハハーレンと言う小国の王子で、お2人の母親であるジルの婚約者だった」
それは哀れな王子の物語。
ハールトさんの母国、ハハーレン王国は小国ながらも平等を謳い、平和で活気溢れる国だった。
……魔教団を背後に持つアレサレム王国に目をつけられるまでは。
広大な国土と幾つもの属国を持つ超大国とハハーレン王国では戦争にすらならない。
仮に戦端を開けば、待っているのは蹂躙と滅亡の未来のみ。
しかし、ハールト王子は周辺各国に名を轟かせる程の逸材
彼はアレサレム王国の影に見え隠れする魔教団の事に気づく。
ハハーレン王国のハールト王子は、アレサレム王国としても彼を殺すのは勿体ないと考える程の逸材だった。
自身の価値を理解していたハールトさんは自身と知り得た秘密をチップに交渉を持ちかける。
国民達に、人間以外の種族に手を出さ無いと約束するのならば。
裏で魔教団が行なっている実験を止めるのならば、降伏すると……
それは苦肉の策だった。
国民達を、実験体にされている被害者達を。
そして何より、魔教団が捕獲しようとしていた高位吸血鬼である自身の婚約者を守る為の……
絶対に守らなければなら無い秘密を握られた魔教団はその提案を呑んだ。
斯くして、ハールトさんは魔教団の一員となり、ハハーレン王国はアレサレム王国の属州となって滅亡を迎えた。
「しかし、魔教団はハールトさんとの約束なんて初めから守るつもりなんて無かった。
2人の母であるジルは実験体として捕まり、魔教団の実験もハールトさんの預かり知らぬ所で続けられた」
確かにハールトさんは逸材だった。
剣も魔法も勉学も超一流……しかし、平和な国で育ったが為に甘かった。
握り締めた手には血が滲み、流れ落ちる涙を咎める者は誰もいなかった。
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