200 / 375
第13章 魔教団殲滅編
200話 叩き潰します!
しおりを挟む
「外しましたか」
自分でも驚く程、全く感情が伴っていない冷たい声。
これじゃあ、十剣の皆んな達が恐怖を宿した目を向けて来るのも仕方ありませんね。
しかし、今はこうして無理矢理にでも感情を押し殺さ無いと自分でも何を仕出かすか分から無い。
落ち着かなければ。
「……」
あの女、リーリスが去った事で、ノアとシアを拘束していた魔力が解ける。
2人は重力に従って落下し始めますが……当然、地面に落とされる事なんて許しません。
ゆっくりと。
出来るだけ刺激しない様に魔力で包み込んで勢いを殺し、その間にふかふかで清潔な毛布を神能から取り出して地面に広げる。
この2人を地べたに下ろす事なんて絶対にしません。
細心の注意を払って2人をふかふかな毛布の上に寝かせました。
「神能、並列起動」
〝神獣ノ王〟で眷属たるノアとシアとの繋がりを強化し、〝殲滅ノ神〟の神速再生の効果を付与する。
温かな白い光が一瞬で2人の傷を癒して完治させる。
荒く、浅かった呼吸が落ち着き始めましたし、これで大丈夫ですね。
多分以前よりもスベスベ、モチモチなお肌になっている事でしょう。
尤も、魔力が枯渇しそうになってましたし、身体的なダメージを回復させただけなので直ぐには目を覚さないでしょうけど。
「ルーミエル様……」
「私達が油断したせいです」
「お嬢様……申し訳ありません」
オルグイユが心配そうに眉を下げ、メルヴィーが泣きそうな顔で頭を下げました。
アヴァリスに至っては苦虫を噛み潰した様な面持ちで自分を責めています。
「皆んなのせいじゃありません。
これは敵を甘く見ていた僕の責任です」
僕は眷属である皆んなの、ナイトメアと言う巨大組織のトップに立つ者です。
上に立つ者には、相応の責任が生じますからね。
今回も、僕が敵である魔教団を甘く見たせいでノアとシアはこんな事になってしまったのです。
「決して自分の力を慢心せず、油断せず、敵を侮らない。
この世界に来て、初めに誓ったはずだったんですけどね……」
魔教団の支部を潰せたからか、はたまた超越者に、神に至ったからか。
いつの間にか僕は自分の、自分達の力を過信していた様ですね。
その結果が、この様とは……本当に嫌になります……とは言え、泣き言ばかりを言っている訳にもいきません。
幸い2人は無事でしたし、今後に活かせる様にしましょう。
「3人ともそんな顔をしないで下さい。
ほらアヴァリス、手から血が出てるじゃ無いですか」
「ルーミエルお嬢様……」
血が滴るアヴァリスの手を取って包み込む。
きっとノアとシアを人質に取られて、何も出来ない悔しさに握り締めてしまったのでしょう。
「アヴァリス、そんなに自分を責めないで下さい。
オルグイユとメルヴィーもです!」
「はい、わかりました」
「ふふふ、そうですね」
「承知いたしました」
さ、3人から向けられる視線が妙に生暖かい気が……てか、3人とも落ち込んで無さそうですね。
せっかく、努めて明るく振る舞ったのに……
「うっ……」
「お嬢、様?」
「っ! 気が付きましたかっ!?」
よかった……これで、本当に一安心です。
「そ、そうだ、私達……」
「申し訳ありません、とんだご迷惑を……」
泣きそうな顔で目を伏せ、白く大きな耳をペタンと倒す。
はうっ!? ……こ、これは凄まじい破壊力です!!
とりあえず、もふもふしたいっ!
「あっ!」
ふらっと倒れ込みそうになった2人を何とか支える事が出来ました。
危ない、危ない。
「傷は全快させたとは言え、魔力は枯渇寸前ですし体力までは回復していません。
今はゆっくりと休んで下さい」
「申し訳、あり、ま……」
「ご迷惑を…おか、けしま、す……」
気絶する様に眠ってしまいました。
もふもふは……まぁ、仕方ありません、我慢しましょう。
「それにしても……」
至る所が裂け、赤黒く血が滲んだ2人が着ているメイド服。
そして脳裏にチラつく血塗れになった2人の姿。
「ルーミエル様っ!!」
「ルーミエルお嬢様っ!?」
「お嬢様っ!!」
3人の悲鳴の様な声をあげる。
噛み締めた唇の端が切れて口の中に血の味が広がり、握り締めた手からは血が地面に滴る。
ダメですね。
さっきアヴァリスに偉そうに語ったばかりなのに、これじゃあ僕も人に言えませんね。
「大丈夫です」
僕達は強い。
それは紛れも無い事実です。
しかし、それを驕ってはいけない、それに慢心してはいけない。
物語でも弱者が圧倒的強者である悪を倒すのはセオリーですからね。
「フェル。
コレール。
オルグイユ。
リュグズール。
アヴァリス。
エンヴィー。
グラトニー」
振り返ると、そこには跪く7人の姿。
「僕の眷属に……僕達の家族に手を出した事の愚かさを、奴らに教えてあげますよ」
この世界では慢心を抱き、油断した者から死んで行く。
だからこそ……全力を持って容赦無く叩き潰します!
自分でも驚く程、全く感情が伴っていない冷たい声。
これじゃあ、十剣の皆んな達が恐怖を宿した目を向けて来るのも仕方ありませんね。
しかし、今はこうして無理矢理にでも感情を押し殺さ無いと自分でも何を仕出かすか分から無い。
落ち着かなければ。
「……」
あの女、リーリスが去った事で、ノアとシアを拘束していた魔力が解ける。
2人は重力に従って落下し始めますが……当然、地面に落とされる事なんて許しません。
ゆっくりと。
出来るだけ刺激しない様に魔力で包み込んで勢いを殺し、その間にふかふかで清潔な毛布を神能から取り出して地面に広げる。
この2人を地べたに下ろす事なんて絶対にしません。
細心の注意を払って2人をふかふかな毛布の上に寝かせました。
「神能、並列起動」
〝神獣ノ王〟で眷属たるノアとシアとの繋がりを強化し、〝殲滅ノ神〟の神速再生の効果を付与する。
温かな白い光が一瞬で2人の傷を癒して完治させる。
荒く、浅かった呼吸が落ち着き始めましたし、これで大丈夫ですね。
多分以前よりもスベスベ、モチモチなお肌になっている事でしょう。
尤も、魔力が枯渇しそうになってましたし、身体的なダメージを回復させただけなので直ぐには目を覚さないでしょうけど。
「ルーミエル様……」
「私達が油断したせいです」
「お嬢様……申し訳ありません」
オルグイユが心配そうに眉を下げ、メルヴィーが泣きそうな顔で頭を下げました。
アヴァリスに至っては苦虫を噛み潰した様な面持ちで自分を責めています。
「皆んなのせいじゃありません。
これは敵を甘く見ていた僕の責任です」
僕は眷属である皆んなの、ナイトメアと言う巨大組織のトップに立つ者です。
上に立つ者には、相応の責任が生じますからね。
今回も、僕が敵である魔教団を甘く見たせいでノアとシアはこんな事になってしまったのです。
「決して自分の力を慢心せず、油断せず、敵を侮らない。
この世界に来て、初めに誓ったはずだったんですけどね……」
魔教団の支部を潰せたからか、はたまた超越者に、神に至ったからか。
いつの間にか僕は自分の、自分達の力を過信していた様ですね。
その結果が、この様とは……本当に嫌になります……とは言え、泣き言ばかりを言っている訳にもいきません。
幸い2人は無事でしたし、今後に活かせる様にしましょう。
「3人ともそんな顔をしないで下さい。
ほらアヴァリス、手から血が出てるじゃ無いですか」
「ルーミエルお嬢様……」
血が滴るアヴァリスの手を取って包み込む。
きっとノアとシアを人質に取られて、何も出来ない悔しさに握り締めてしまったのでしょう。
「アヴァリス、そんなに自分を責めないで下さい。
オルグイユとメルヴィーもです!」
「はい、わかりました」
「ふふふ、そうですね」
「承知いたしました」
さ、3人から向けられる視線が妙に生暖かい気が……てか、3人とも落ち込んで無さそうですね。
せっかく、努めて明るく振る舞ったのに……
「うっ……」
「お嬢、様?」
「っ! 気が付きましたかっ!?」
よかった……これで、本当に一安心です。
「そ、そうだ、私達……」
「申し訳ありません、とんだご迷惑を……」
泣きそうな顔で目を伏せ、白く大きな耳をペタンと倒す。
はうっ!? ……こ、これは凄まじい破壊力です!!
とりあえず、もふもふしたいっ!
「あっ!」
ふらっと倒れ込みそうになった2人を何とか支える事が出来ました。
危ない、危ない。
「傷は全快させたとは言え、魔力は枯渇寸前ですし体力までは回復していません。
今はゆっくりと休んで下さい」
「申し訳、あり、ま……」
「ご迷惑を…おか、けしま、す……」
気絶する様に眠ってしまいました。
もふもふは……まぁ、仕方ありません、我慢しましょう。
「それにしても……」
至る所が裂け、赤黒く血が滲んだ2人が着ているメイド服。
そして脳裏にチラつく血塗れになった2人の姿。
「ルーミエル様っ!!」
「ルーミエルお嬢様っ!?」
「お嬢様っ!!」
3人の悲鳴の様な声をあげる。
噛み締めた唇の端が切れて口の中に血の味が広がり、握り締めた手からは血が地面に滴る。
ダメですね。
さっきアヴァリスに偉そうに語ったばかりなのに、これじゃあ僕も人に言えませんね。
「大丈夫です」
僕達は強い。
それは紛れも無い事実です。
しかし、それを驕ってはいけない、それに慢心してはいけない。
物語でも弱者が圧倒的強者である悪を倒すのはセオリーですからね。
「フェル。
コレール。
オルグイユ。
リュグズール。
アヴァリス。
エンヴィー。
グラトニー」
振り返ると、そこには跪く7人の姿。
「僕の眷属に……僕達の家族に手を出した事の愚かさを、奴らに教えてあげますよ」
この世界では慢心を抱き、油断した者から死んで行く。
だからこそ……全力を持って容赦無く叩き潰します!
10
お気に入りに追加
2,156
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる