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第11章 深淵の試練攻防戦編
174話 致命的なミスです!
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「王都も深淵の試練内に転移させた事ですし、もう結界は必要ありませんね」
パチンと指を鳴らして、王都を包み込んでいた結界を消すと王都を包囲していた魔教団の軍勢から響めきがあがりました。
「あの結界は強度こそそれなり程度ですが、機密性に優れています。
外からは一切内部が見えず、魔力も完全に遮断されているので、彼らからすればあるハズの王都が消滅した様に見えるでしょう」
尤も、一兵卒はという言葉付きますけど。
最高幹部は勿論、一定以上の地位にいる者は驚きはしても一兵卒の様に困惑する事は無く。
彼は認識を改めるでしょう。
数十万の軍勢で容易く蹂躙できる敵では無く、侮れない敵だと。
そして、それは致命的なミスに繋がる……
「あっ、イヴァル王、気をつけた方がいいですよ」
「どう言う……」
鳴り響くイヴァル王の言葉を掻き消す轟音。
まぁ、音が凄いだけで衝撃すら全く感じない快適さ!
「攻撃されましたね。
もう、一応戦場なんですから油断したらダメじゃないですか!」
何せ王都を転移させましたからね。
結界が無くなった今、深淵の試練の入り口があるだけのだだっ広い草原ですよ?
ポツンと空に浮かんでる僕達に気付かないはず無いじゃないですかっ!!
「う~ん、どうやらあのやたら豪華な天幕の所にいる黒髪の子が攻撃してきた様ですね」
この魔力の感じからして、アレがルナン王を連れ去った魔教団の最高幹部の1人でしょう。
見た感じただの子供じゃないですか。
ふっ! 最高幹部ともあろう者が威厳が無いですね。
「あの子が……ルーミエル様よりは年上に見えますけど、子供にしか見えませんね」
うぐっ!?
ユ、ユリウスさん、さり気無く僕の心を抉ってきますね……今のは結構効きましたよ。
「じゃあ、本部に戻るとしましょう」
既にここにいる必要もありませんし。
何より、僕の自尊心がズタズタです。
美味しいお菓子でも食べてモフモフに癒されるとしましょう!
*
「う~ん、逃げられちゃったか。
まさか、今の一撃を防がれるとはね」
消えたアレサレム王国王都の上空を飛んでいた人を乗せた絨毯を尻目に黒髪の少年は楽しげに笑みを浮かべる。
「ハスルート殿、これはもしや」
「うん、確定だね。
道理であのプレゼントをどうにかできた訳だよ」
ルナン王にハスルートと呼ばれた少年は納得がいったという様子で腕を組んで、うんうんと頷く。
「対魔教団同盟はどうやら我々、魔教団と同じ事をしていると見て間違いない。
八大迷宮の……眠っている神の力を抜き取り、膨大な魔力の利用。
やっぱり世界樹を取られたのは痛手だったなぁ」
「その魔力を用いて王都を別の場所に転移させ、深淵の試練内で我らを迎え撃つ。
迷宮内であれば魔物達も利用でき、王都に対する被害も考慮する必要が無く。
魔物の脅威がある為、大きく布陣する事もできないので数的優位も崩せる。
なかなか理に適った戦術と言えますな」
「そうだね。
対魔教団同盟、愚かではあるけどバカでは無かったって訳だね」
更地となった王都。
その中にポツンと佇む深淵の試練の入り口である大きな扉に隊列を成して進軍する兵士達を眺めつつ、ハスルートはニヤリと広角を釣り上げた。
パチンと指を鳴らして、王都を包み込んでいた結界を消すと王都を包囲していた魔教団の軍勢から響めきがあがりました。
「あの結界は強度こそそれなり程度ですが、機密性に優れています。
外からは一切内部が見えず、魔力も完全に遮断されているので、彼らからすればあるハズの王都が消滅した様に見えるでしょう」
尤も、一兵卒はという言葉付きますけど。
最高幹部は勿論、一定以上の地位にいる者は驚きはしても一兵卒の様に困惑する事は無く。
彼は認識を改めるでしょう。
数十万の軍勢で容易く蹂躙できる敵では無く、侮れない敵だと。
そして、それは致命的なミスに繋がる……
「あっ、イヴァル王、気をつけた方がいいですよ」
「どう言う……」
鳴り響くイヴァル王の言葉を掻き消す轟音。
まぁ、音が凄いだけで衝撃すら全く感じない快適さ!
「攻撃されましたね。
もう、一応戦場なんですから油断したらダメじゃないですか!」
何せ王都を転移させましたからね。
結界が無くなった今、深淵の試練の入り口があるだけのだだっ広い草原ですよ?
ポツンと空に浮かんでる僕達に気付かないはず無いじゃないですかっ!!
「う~ん、どうやらあのやたら豪華な天幕の所にいる黒髪の子が攻撃してきた様ですね」
この魔力の感じからして、アレがルナン王を連れ去った魔教団の最高幹部の1人でしょう。
見た感じただの子供じゃないですか。
ふっ! 最高幹部ともあろう者が威厳が無いですね。
「あの子が……ルーミエル様よりは年上に見えますけど、子供にしか見えませんね」
うぐっ!?
ユ、ユリウスさん、さり気無く僕の心を抉ってきますね……今のは結構効きましたよ。
「じゃあ、本部に戻るとしましょう」
既にここにいる必要もありませんし。
何より、僕の自尊心がズタズタです。
美味しいお菓子でも食べてモフモフに癒されるとしましょう!
*
「う~ん、逃げられちゃったか。
まさか、今の一撃を防がれるとはね」
消えたアレサレム王国王都の上空を飛んでいた人を乗せた絨毯を尻目に黒髪の少年は楽しげに笑みを浮かべる。
「ハスルート殿、これはもしや」
「うん、確定だね。
道理であのプレゼントをどうにかできた訳だよ」
ルナン王にハスルートと呼ばれた少年は納得がいったという様子で腕を組んで、うんうんと頷く。
「対魔教団同盟はどうやら我々、魔教団と同じ事をしていると見て間違いない。
八大迷宮の……眠っている神の力を抜き取り、膨大な魔力の利用。
やっぱり世界樹を取られたのは痛手だったなぁ」
「その魔力を用いて王都を別の場所に転移させ、深淵の試練内で我らを迎え撃つ。
迷宮内であれば魔物達も利用でき、王都に対する被害も考慮する必要が無く。
魔物の脅威がある為、大きく布陣する事もできないので数的優位も崩せる。
なかなか理に適った戦術と言えますな」
「そうだね。
対魔教団同盟、愚かではあるけどバカでは無かったって訳だね」
更地となった王都。
その中にポツンと佇む深淵の試練の入り口である大きな扉に隊列を成して進軍する兵士達を眺めつつ、ハスルートはニヤリと広角を釣り上げた。
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