最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ

文字の大きさ
上 下
162 / 375
第10章 アレサレム戦争編

162話 謁見の間です

しおりを挟む
 扉の先、そこは僕が追放された場所、すなわち謁見の間。
 僕が扉を勢いよく押し開いた事で、騒然となっていた室内が静まり返る。

 うん、忌々しい声が途絶えてちょっとだけ苛つきが収まった気がします。
 先程からずっと謁見の間にいる人達の喚き声が煩かったですからね……超越者に至った僕の五感は伊達では無いのですっ!!

 謁見の間には大勢の人物。
 いやぁ~、謁見の間が馬鹿みたいに広くて非常に助かりました。
 事前の予定通り、王城に居た全ての人をここに集めてくれた様です。

 文官に多数の貴族達は総騎士団長であるアレックさん率いるフェーニル王国の騎士に見張られ身動きが取れず。
 王宮に勤めている侍女や執事さん達は突然の事態に困惑し、騎士達に包囲されて恐怖に震え。
 そして、現在既に判明している元凶たる魔教団である重鎮と王族は手足を拘束されて地面に転がされていますね。

 まぁ皆さん今は扉を開いた僕に注目している訳ですけど。
 いつもなら人見知りが発動するでしょうけど、今は苛つきが大きすぎてそれすら無い。

 謁見の間に一歩踏み入れた僕に対し、転がされた王族と重鎮達の前に立っていたイヴァル王とウェスル帝の両名が中央の道を開けて頭を下げる。

 その事実に再び室内が騒然となりかけるも、ダンっ!  というアレックさんの地面を叩く音によって静まり返る。

 流石はアレックさん。
 イヴァル王と言う自由人に振り回されて来た苦労人なだけあって、非常に空気を読めていい働きをしてくれますね。

 僕の進行方向に転がされていた王族および魔教団員達はフェーニル王国の騎士達によって脇へと退けられる。
 その扱いに不満を覚えたのか口を塞がれているにも関わらずに喚き散らしていますね。

 非常に滑稽であり無様なその姿でちょっとは溜飲が下がるかと思って一瞥したら、見たくも無い顔を見て逆に不快感が増しました。

 視線を前に戻すとたった今、転移で移動して来たコレール達が玉座の左右に分かれて立ち並ぶ。
 制圧したとは言え敵地と言う事もあって、感知能力を全開で展開していたのに、僅かな歪みしか確認出来ない程の技量。
 流石はコレール、さすコスですね!

 ノアとシアの2人はいませんね。
 まぁ2人は今回、ナイトメアの戦闘員を指揮してもらってるので当然ですが。

 さっきまで一緒に歩いていたフェルも当然の様な顔をして立ってますし。
 ナイトメアの武威を示す演出としては十分でしょう。

 あまり公の場に出るつもりはありませんでしたけど……後々、僕達の事を知って敵対されても迷惑ですからね。
 別に、全く目立てなかったから、とかじゃ断じてありません!!

「い、一体、何者なんだ……」

 突然現れたコレール達を見て俄かに騒つき始めました。
 どうやら、アレサレム王国勢もコレール達の存在に気が付いた様ですね。
 まぁ、当然無視しますけど。
 どの道もうすぐ大騒ぎになるでしょうし。

 騒然とする貴族や文官達を丸っと無視して階段を上り、座り心地の悪い玉座に腰掛ける。
 アレサレム王が物凄く暴れてますけど、気にしません。
 僕が着席すると同時に、十剣の面々が謁見の間に姿を現し……

「な、何故……」

「どう言う事だっ!?」

 十剣の後ろに付き従って入室して来た勇者達の姿を目にして、ある者は唖然と、ある者は驚愕の声を上げる。
 もうそう簡単には収拾が付かないほどの大混乱、ハッキリ言って煩いですね……

「黙りなさい」

 騒然とした中でも凛と響く一言。
 魔力と言う物理的な圧力を伴って放たれたオルグイユの言葉によって自然と全員が押し黙る。
 皆がオルグイユに視線を向け、隠しもしないその苛立ちを感じとり、謁見の間を押し潰す様な重圧が支配する。

 イヴァル王とウェスル帝、2人の主君の後ろに十剣達が整列して立ち並び、全員が跪く。
 その光景に、全員が驚愕に目を見開くも声を発する者は誰もいない。
 まぁ、オルグイユの威圧のせいで喋れないと言う方が適切でしょうけど。

「面を上げ、立ち上がる事を許そう」

 静かに、しかし厳かにそう告げるコレール。
 確かに大々的にやりましょうって、連絡しましたけど……これはちょっと予想外です!

 ここまで格式張った大仰な事になるなんて……多分この中で一番びっくりしてるの僕ですよっ!?
 驚きで溜飲がちょっと下がった程です!!

 でも、こうなったらもう、最後までやるしかありません!
 えぇ!  やってやりましょうとも!!

「さて、初めまして。
 僕達は秘密結社ナイトメア、深淵から世界を覗く者。
 そして、対魔教団同盟の盟主です」

 皆の愕然とした視線が集まり、目を丸くしたアレサレム王と目が合い。
 ふつふつと湧き出してくる殺意を押し殺しながら、努めて無表情で言い放ちました。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...