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第8章 世界樹決戦編
118話 自作自演でした
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「勇者達はどうだ?」
「先日もリーヴ商会に出向いた様ですが、取りつく島もなく追い返された様です」
薄暗い部屋にてそんなやり取りをする2人の人物。
一方は黄金で飾られた豪奢な玉座に腰掛け、一方はそれに控える様に隣に立つ。
「しかし、勇者達も厄介な事をしてくれたものです。
如何いたしますか? ルナン陛下」
玉座に腰掛ける、ルナンと呼ばれたこの人物こそが。
アレサレム王国の現国王であるルナン・サナスト・アレサレムその人だ。
「リーヴ商会か……どうしたものか。
勇者達と揉め事を起こしただけならば特に問題ないが……」
「問題は、あの報告ですね」
「うむ。
ディベルが開発したあのデモン・スライムが破られるとはな」
「尤も、何処までが本当かは怪しいものです。
大方、ディベル殿は自身の失敗を隠したいのでしょう」
「自らの失態を隠す為にあの様な世迷言か……天才と言われたヤツも、落ちたものだ」
「その様ですね。
おっと、来た様です」
いつも飄々とした笑みを浮かべていた同僚を思い浮かべ、鼻で笑ったところで、部屋の扉がノックされて開かれる。
「大変お待たせして致しました。
本日は最上級のモノを用意させて頂きました」
カートを押して入って来た執事が一礼しつつそう告げる。
そうして、差し出されるのは赤ワインの様な赤い液体が入ったグラスを2人に差し出す。
「この芳しい香り、若いな」
受け取ったグラスを軽く揺らし、満足げな笑みを浮かばる宰相。
「御慧眼、恐れ入ります。
まだ汚れの知らぬ、16の娘のモノです。
数十時間に及ぶ拷問の直後の一品にございます」
「素晴らしい。
これほどの一品だ、お前も味わうと良い
「ありがたき光栄に存じます」
執事はルナンから直々に注がれたグラスを恭しく受け取り、それを見たルナンは満足そうに一つ頷くとグラスを掲げ……
「我ら、魔教団の繁栄に!」
「「魔教団の繁栄に!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やっぱり、自作自演でしたか」
ナイトメア本部、特別会議室の楕円形の円卓の上に映し出されるアレサレム王国、王城でのやりとり。
「世間的には魔教団と戦う正義の味方を演じ、裏では魔教団の勢力を拡大させる。
紛う事なきクズですね」
「ええ、しかもあの口ぶり。
国王は魔教団でもディベルと同じか上の立場にあるものと思われますね」
あの国王が、魔教団の幹部ですか……
魔教団を潰す為に勇者召喚を行っておきながら、その大元が魔教団とは、まさに灯台下暗しって訳ですね。
「しかも、アイツらが飲んでいるあれは……」
「吸血鬼の血液ですね」
僕の言葉を継いで断言したオルグイユ。
その手は硬く握り締められていて、彼女の怒りが見て取れます。
「何にせよ、これでハッキリしました。
アレサレム王国は僕たちの敵です」
アイツらの自作自演に付き合わされたと思うだけでもムカつきますが。
あろう事か、吸血鬼の血を嗜好品の様に扱う……吐き気がします。
「でも、今はディベル達を確実に仕留める事に力を注ぎたい」
「では?」
「ええ」
そう聞いてくるコレールに笑みを浮かべて頷きを返します。
「アレサレムの事は、同じ人間の国に任せるとしましょう」
「先日もリーヴ商会に出向いた様ですが、取りつく島もなく追い返された様です」
薄暗い部屋にてそんなやり取りをする2人の人物。
一方は黄金で飾られた豪奢な玉座に腰掛け、一方はそれに控える様に隣に立つ。
「しかし、勇者達も厄介な事をしてくれたものです。
如何いたしますか? ルナン陛下」
玉座に腰掛ける、ルナンと呼ばれたこの人物こそが。
アレサレム王国の現国王であるルナン・サナスト・アレサレムその人だ。
「リーヴ商会か……どうしたものか。
勇者達と揉め事を起こしただけならば特に問題ないが……」
「問題は、あの報告ですね」
「うむ。
ディベルが開発したあのデモン・スライムが破られるとはな」
「尤も、何処までが本当かは怪しいものです。
大方、ディベル殿は自身の失敗を隠したいのでしょう」
「自らの失態を隠す為にあの様な世迷言か……天才と言われたヤツも、落ちたものだ」
「その様ですね。
おっと、来た様です」
いつも飄々とした笑みを浮かべていた同僚を思い浮かべ、鼻で笑ったところで、部屋の扉がノックされて開かれる。
「大変お待たせして致しました。
本日は最上級のモノを用意させて頂きました」
カートを押して入って来た執事が一礼しつつそう告げる。
そうして、差し出されるのは赤ワインの様な赤い液体が入ったグラスを2人に差し出す。
「この芳しい香り、若いな」
受け取ったグラスを軽く揺らし、満足げな笑みを浮かばる宰相。
「御慧眼、恐れ入ります。
まだ汚れの知らぬ、16の娘のモノです。
数十時間に及ぶ拷問の直後の一品にございます」
「素晴らしい。
これほどの一品だ、お前も味わうと良い
「ありがたき光栄に存じます」
執事はルナンから直々に注がれたグラスを恭しく受け取り、それを見たルナンは満足そうに一つ頷くとグラスを掲げ……
「我ら、魔教団の繁栄に!」
「「魔教団の繁栄に!」」
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「やっぱり、自作自演でしたか」
ナイトメア本部、特別会議室の楕円形の円卓の上に映し出されるアレサレム王国、王城でのやりとり。
「世間的には魔教団と戦う正義の味方を演じ、裏では魔教団の勢力を拡大させる。
紛う事なきクズですね」
「ええ、しかもあの口ぶり。
国王は魔教団でもディベルと同じか上の立場にあるものと思われますね」
あの国王が、魔教団の幹部ですか……
魔教団を潰す為に勇者召喚を行っておきながら、その大元が魔教団とは、まさに灯台下暗しって訳ですね。
「しかも、アイツらが飲んでいるあれは……」
「吸血鬼の血液ですね」
僕の言葉を継いで断言したオルグイユ。
その手は硬く握り締められていて、彼女の怒りが見て取れます。
「何にせよ、これでハッキリしました。
アレサレム王国は僕たちの敵です」
アイツらの自作自演に付き合わされたと思うだけでもムカつきますが。
あろう事か、吸血鬼の血を嗜好品の様に扱う……吐き気がします。
「でも、今はディベル達を確実に仕留める事に力を注ぎたい」
「では?」
「ええ」
そう聞いてくるコレールに笑みを浮かべて頷きを返します。
「アレサレムの事は、同じ人間の国に任せるとしましょう」
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