最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ

文字の大きさ
上 下
118 / 375
第8章 世界樹決戦編

118話 自作自演でした

しおりを挟む
「勇者達はどうだ?」

「先日もリーヴ商会に出向いた様ですが、取りつく島もなく追い返された様です」

 薄暗い部屋にてそんなやり取りをする2人の人物。
 一方は黄金で飾られた豪奢な玉座に腰掛け、一方はそれに控える様に隣に立つ。

「しかし、勇者達も厄介な事をしてくれたものです。
 如何いたしますか?  ルナン陛下」

 玉座に腰掛ける、ルナンと呼ばれたこの人物こそが。
 アレサレム王国の現国王であるルナン・サナスト・アレサレムその人だ。

「リーヴ商会か……どうしたものか。
 勇者達と揉め事を起こしただけならば特に問題ないが……」

「問題は、あの報告ですね」

「うむ。
  ディベルが開発したあのデモン・スライムが破られるとはな」

「尤も、何処までが本当かは怪しいものです。
 大方、ディベル殿は自身の失敗を隠したいのでしょう」

「自らの失態を隠す為にあの様な世迷言か……天才と言われたヤツも、落ちたものだ」

「その様ですね。
 おっと、来た様です」

 いつも飄々とした笑みを浮かべていた同僚を思い浮かべ、鼻で笑ったところで、部屋の扉がノックされて開かれる。

「大変お待たせして致しました。
 本日は最上級のモノを用意させて頂きました」

 カートを押して入って来た執事が一礼しつつそう告げる。
 そうして、差し出されるのは赤ワインの様な赤い液体が入ったグラスを2人に差し出す。

「この芳しい香り、若いな」

 受け取ったグラスを軽く揺らし、満足げな笑みを浮かばる宰相。

「御慧眼、恐れ入ります。
 まだ汚れの知らぬ、16の娘のモノです。
 数十時間に及ぶ拷問の直後の一品にございます」

「素晴らしい。
 これほどの一品だ、お前も味わうと良い

「ありがたき光栄に存じます」

 執事はルナンから直々に注がれたグラスを恭しく受け取り、それを見たルナンは満足そうに一つ頷くとグラスを掲げ……

「我ら、魔教団の繁栄に!」

「「魔教団の繁栄に!」」






 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「やっぱり、自作自演でしたか」

 ナイトメア本部、特別会議室の楕円形の円卓の上に映し出されるアレサレム王国、王城でのやりとり。

「世間的には魔教団と戦う正義の味方を演じ、裏では魔教団の勢力を拡大させる。
 紛う事なきクズですね」

「ええ、しかもあの口ぶり。
 国王は魔教団でもディベルと同じか上の立場にあるものと思われますね」

 あの国王が、魔教団の幹部ですか……
 魔教団を潰す為に勇者召喚を行っておきながら、その大元が魔教団とは、まさに灯台下暗しって訳ですね。

「しかも、アイツらが飲んでいるあれは……」

「吸血鬼の血液ですね」

 僕の言葉を継いで断言したオルグイユ。
 その手は硬く握り締められていて、彼女の怒りが見て取れます。

「何にせよ、これでハッキリしました。
 アレサレム王国は僕たちの敵です」

 アイツらの自作自演に付き合わされたと思うだけでもムカつきますが。
 あろう事か、吸血鬼の血を嗜好品の様に扱う……吐き気がします。

「でも、今はディベル達を確実に仕留める事に力を注ぎたい」

「では?」

「ええ」

 そう聞いてくるコレールに笑みを浮かべて頷きを返します。

「アレサレムの事は、同じ人間の国に任せるとしましょう」
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...