最強幼女は惰眠を求む！ 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

第７章 火炎の試練編

111話 鍛え直そうと思います

「アヴァリスも戻ってきた事ですし……ふぅ、やっと落ち着きましたね」

いきなり勇者一行が現れて、一時はどうなる事かと思いましたが。
コレールが上手く切り抜けてくれました。

今回の一件で今後、勇者達が僕に接触してくる事は殆ど無くなったと言っていいでしょう。
元クラスメイト達の事は目の上の瘤だったので、肩の荷が降りた思いです。

「さてと、邪魔者が居なくなった事ですし。
早速お願いを、と言いたいところですが……グラトニー」

「はっ！」

「魔物達の再ポップ設定を怠っていましたね？」

「はい、申し訳ございません。
１００体ものベヒーモスを突破される事を想定しておりませんでした」

僕の前に移動したグラトニーは、跪いて深く頭を下げました。
別に怒っている訳では無いので、そこまで畏まらなくてもいいのですけど……

「別に怒っている訳では無いので、謝る必要はありませんよ？
ですが、その油断は禁物です。
この世界において、油断や慢心は死に直結する可能性があるのですから」

「承知致しました」

うんうん、分かってくれた様で何よりです。
まぁでも、勇者達ですら１２階層までしか進め無かったのだから、グラトニーの言う事もあながち間違いでは無いのかも知れませんけどね。

「お嬢様はこう仰っておいでですが。
お嬢様の眷属となった以上、その身は既にナイトメアの最高幹部の一人。
グラトニー、君には色々と指導を受けて貰いますからね」

「えっ？」

「これは決定事項です」

ニッコリと微笑んでそう言うコレールの言葉を受けて、グラトニーが見る見ると青くなっていきました。
過去のトラウマは大きいと言う事ですね……

「まぁ、グラトニーの事はコレールに一任するとして。
今回、ディベルを取り逃したのは僕の失態です。
すみません……」

「いいえ、悪いのは私達です！
ルーミエル様とあの者との戦いに、勇者共の乱入を許してしまったのですから。
ですから、ルーミエル様がお気になさる必要はありません！」

「それは違いますよ、オルグイユ。
皆んなは、僕がアイツの相手をするって言う我が儘を聞いてくれていただけです。
皆んなに非は有りません、悪いのは僕です」

「ルーミエル様……」

でも、だからと言って何時迄も落ち込んでいる訳にはいきません。
僕が落ち込んでいれば、皆んなにも心配をかけてしまいますからね。

「だから決めました。
少し、本気で鍛え直そうと思います」

その方法も、もう考えてありますし。
けど、その為にはまずフォルクレス達、神に連絡を取らなければ……

「ん、エル、それ吾も手伝う？」

「フェル……ありがとうございます。
ですが、今回は僕一人でしなければなりません」

じゃないと、多分僕は皆んなに頼ってしまいますからね。

「ん、分かった。
エルが、そう決めたのなら、そうすればいい」

じぃっと、僕の顔を見つめて、僕が本気だと認めてくれたのでしょう。
何故か、僕の頭を撫でながらフェルがそう言いました。
皆んなの方に視線を向けると……

「全ては、お嬢様の御心のままに」

そう言って、コレールが胸に手を添えて一礼した後に跪く。

「ルーミエル様のご決断に私が異議を唱える事など出来ません」

オルグイユは真剣な眼差しに僅かに微笑みを浮かべて。

「オレに異論はねぇぜ。
お嬢の好きにすると良いさ」

「私も異議などございません」

リュグズールは太陽の様な笑顔を浮かべて、アヴァリスは優雅に微笑みながら。

「ボクも皆んなと同じだよ」

「私に異議などあろう筈もございません」

エンヴィーはいつもの様に軽い感じのままに、グラトニーは真面目な面持ちで。

「無論、異論はありません。
ですが、どうかご無理はなさらないで下さい」

「お嬢様のご決断のままに」

「私もお嬢様のご決断に従います！」

メルヴィーがその瞳に心配そうな色を宿しながら完璧な所作で。
ノアは軽く微笑みを浮かべながらゆっくりと、シアは元気いっぱいに。

「ん、吾も、さっき言った通り、異論はない」

そして、最後にフェルが僕の頭を撫でるのを止め、若干眠たそうにそう言って跪きました。

地面が陥没している真っ白な空間にて、幼女の前に跪く７人。
部外者が目撃すれば、思わず二度見してしまう光景ですね。

僕としては態々、ここまで仰々しくしなくてもいいと思いますが。
これも、皆んなが僕の決定を真剣に捉えてくれている証拠です。

「では、その間、皆には他の仕事を頼みます。
ディベルが持っていた血液……アレは吸血鬼のものでした。
皆はその出所を探って下さい」

「「「御心のままに」」」

皆んなは一斉にそう答えると、転移で僕の目の前から消え去りました。