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第7章 火炎の試練編
108話 キレちゃっても良いんですよね?
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「で、ではグラトニー、早速ですが一つお願いがあるのですが……」
「お願い、ですか?
私は主人殿の眷属。
お願いなどせずとも、ご命令頂ければこの命に代えて遂行致しますが」
これまた、重たい事を言い出しましたね。
僕の言う事にそれ程までに崇高な意味は全く無いと思います。
「ダメです!
ここにいる皆んなは眷属ではありますが、グラトニーも含めて全員、僕の大切な家族です。」
僕は聖人君子では無いので、ナイトメアに所属する全員が家族だとは言いません。
大切な配下であり仲間である事は確かですが、その中には僕が名前を知らない人も必ずいます。
メルヴィーとノア、シアの3人は僕が名付け、僕の眷属となりましたが。
その他の人には直属であるコレール達が名を授けましたからね。
ナイトメアの運営をコレール達に丸投げしている様に、全てを僕一人で成す事なんて絶対に不可能です。
でも、だからこそ、僕の手の届く範囲の皆んなだけは絶対に守りたい!
「だから、〝命に代えても〟何て言わないで下さい…」
「ル、ルーミエル様っ!!」
背後から聞こえて来たオルグイユの声に咄嗟に振り返ると……突然、視界が暗転しました。
まぁ、その原因は分かっています。
原因は僕の顔に押し付けられている、この柔らかい物体でしょう。
この凄まじい破壊力。
流石は吸血鬼の始祖……戦慄を禁じ得ません、暴力的ですっ!!
「ぷはっ、わかりましたか?」
何とか自力で窒息を免れて正面を向きました。
現在進行形でオルグイユが抱きついて来ていますが、まぁ、今更ですね。
「は、はい。
承知いたしました」
グラトニーの視線が僕の後ろを見ていましたが……うん、気にしたら負けですね。
「こほん、では改めて。
僕にその…」
ドゴオッン!!
僕の細やかなお願いは、そんな轟音によって掻き消されました。
音の発生源を見ると、拉げた迷宮の扉が転がっており……
「ひゃっひゃっ! 見事に吹き飛んだねぇ!!」
そんな事を言いながら土煙の向こう側から、コツコツと靴音を鳴らし姿を現したのは……
「あららっ? こんな場所に先客ですかぁ?」
白衣を着た、ボサついた銀髪の青年が一人。
あの、これって僕、キレてもいいですよね?
なんか妙に間延びした、おちょくる様な話し方に加えてこの人を見下す様な視線。
そして何より、コイツのせいでネコ耳がっ!!
「あっ、ル、ルーミエル様、落ち着きましょう? ね?」
僕を抱きしめていたオルグイユには、僕が怒りでわなわなと震えている事がわかった様です。
ですが、アイツの犯した罪はそれだけじゃありません。
グラトニーが僕の眷属となった事により、火炎の試練のダンジョンマスターは僕に移りました。
そして、あの破壊された扉……わざわざ壊さなくても入ってこれたのに。
「僕って、面倒な事が嫌いなんです」
「んん? 誰だねキミはぁ?
まぁ、別にいいでしょう!
喜びたまえ、キミはたった今、私の新しい実験体に任命されましたよぉ!!」
ただでさえ、この人の乱入でネコ耳が先延ばしになってしまったのに。
「扉の修復で更にネコ耳が……
はははっ! 僕の邪魔をするって事は、僕キレちゃても良いんですよね?」
〝ムカついたら笑え〟
何かの格言で聞いたような気がしますが、間違いじゃありませんね。
無理やりにでも笑顔を作らないと我慢できそうにありません。
「いいねぇ、キミみたいな子が泣き叫ぶのを見るは愉快なんだよねぇ!」
それって、つまりは了承と受け取って良いって事ですよね?
そうですよね? はい、わかりました!
「終わったな、あいつ」
「ん、エル、激おこ」
そんな言葉と共にリュグズールとフェルの哀れみの篭った視線が白衣の男に注がれていますが、容赦はしません!
この世界は弱肉強食。
僕の邪魔をした報いは受けてもらいます!!
「お願い、ですか?
私は主人殿の眷属。
お願いなどせずとも、ご命令頂ければこの命に代えて遂行致しますが」
これまた、重たい事を言い出しましたね。
僕の言う事にそれ程までに崇高な意味は全く無いと思います。
「ダメです!
ここにいる皆んなは眷属ではありますが、グラトニーも含めて全員、僕の大切な家族です。」
僕は聖人君子では無いので、ナイトメアに所属する全員が家族だとは言いません。
大切な配下であり仲間である事は確かですが、その中には僕が名前を知らない人も必ずいます。
メルヴィーとノア、シアの3人は僕が名付け、僕の眷属となりましたが。
その他の人には直属であるコレール達が名を授けましたからね。
ナイトメアの運営をコレール達に丸投げしている様に、全てを僕一人で成す事なんて絶対に不可能です。
でも、だからこそ、僕の手の届く範囲の皆んなだけは絶対に守りたい!
「だから、〝命に代えても〟何て言わないで下さい…」
「ル、ルーミエル様っ!!」
背後から聞こえて来たオルグイユの声に咄嗟に振り返ると……突然、視界が暗転しました。
まぁ、その原因は分かっています。
原因は僕の顔に押し付けられている、この柔らかい物体でしょう。
この凄まじい破壊力。
流石は吸血鬼の始祖……戦慄を禁じ得ません、暴力的ですっ!!
「ぷはっ、わかりましたか?」
何とか自力で窒息を免れて正面を向きました。
現在進行形でオルグイユが抱きついて来ていますが、まぁ、今更ですね。
「は、はい。
承知いたしました」
グラトニーの視線が僕の後ろを見ていましたが……うん、気にしたら負けですね。
「こほん、では改めて。
僕にその…」
ドゴオッン!!
僕の細やかなお願いは、そんな轟音によって掻き消されました。
音の発生源を見ると、拉げた迷宮の扉が転がっており……
「ひゃっひゃっ! 見事に吹き飛んだねぇ!!」
そんな事を言いながら土煙の向こう側から、コツコツと靴音を鳴らし姿を現したのは……
「あららっ? こんな場所に先客ですかぁ?」
白衣を着た、ボサついた銀髪の青年が一人。
あの、これって僕、キレてもいいですよね?
なんか妙に間延びした、おちょくる様な話し方に加えてこの人を見下す様な視線。
そして何より、コイツのせいでネコ耳がっ!!
「あっ、ル、ルーミエル様、落ち着きましょう? ね?」
僕を抱きしめていたオルグイユには、僕が怒りでわなわなと震えている事がわかった様です。
ですが、アイツの犯した罪はそれだけじゃありません。
グラトニーが僕の眷属となった事により、火炎の試練のダンジョンマスターは僕に移りました。
そして、あの破壊された扉……わざわざ壊さなくても入ってこれたのに。
「僕って、面倒な事が嫌いなんです」
「んん? 誰だねキミはぁ?
まぁ、別にいいでしょう!
喜びたまえ、キミはたった今、私の新しい実験体に任命されましたよぉ!!」
ただでさえ、この人の乱入でネコ耳が先延ばしになってしまったのに。
「扉の修復で更にネコ耳が……
はははっ! 僕の邪魔をするって事は、僕キレちゃても良いんですよね?」
〝ムカついたら笑え〟
何かの格言で聞いたような気がしますが、間違いじゃありませんね。
無理やりにでも笑顔を作らないと我慢できそうにありません。
「いいねぇ、キミみたいな子が泣き叫ぶのを見るは愉快なんだよねぇ!」
それって、つまりは了承と受け取って良いって事ですよね?
そうですよね? はい、わかりました!
「終わったな、あいつ」
「ん、エル、激おこ」
そんな言葉と共にリュグズールとフェルの哀れみの篭った視線が白衣の男に注がれていますが、容赦はしません!
この世界は弱肉強食。
僕の邪魔をした報いは受けてもらいます!!
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