最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

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第7章 火炎の試練編

106話 デジャブです!!

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「まさか、ここで最後だったとは……」

 獣の王と称されるベヒーモスのバーゲンセールをコレールが容易く捌いた後、下の階層に下がってきたのですが。
 厳かで重厚感がある巨大な扉、そして……

『最終試練』

 と、書かれた旗が高々に掲げられていました。
 この迷宮を造った方は、絶対にふざけた奴なのは確定でしょう。

「お嬢様、あの者はエンヴィーとはまた違った変態ですのでお気をつけ下さい」

「変態って!?」

「わかりました」

 変態と言われて反論の叫びを挙げたエンヴィーを綺麗にスルーして頷きました。

 メルヴィーを含め、エンヴィー・リンチ事件に関わった3人の中ではエンヴィーは変態と認識されてています。
 因みに、メルヴィーはエンヴィーの事だけは絶対に敬称をつけて呼びません。

 まぁ、皆んなは文字通り一蓮托生の家族ですけど、関わらない方がいい事はあるのです!
 踏み込んではならない闇というやつです。

 それにしてもエンヴィーは兎も角、メルヴィーがここまで辛辣な評価を下すとは。
 いったい、この扉の奥に待ち受けているのはどんな人なのでしょうか?

「ご安心下さい。
 何かあれば、私が始末致しますので」

「は、はい」

 微笑んでそんな物騒な事を言うアヴァリス。
 メルヴィーもですけど、いつも温厚なアヴァリスまでも……本当に何があったんでしょうか?

「じゃあ、行きますよ」

 この扉の開け方は分かっています。
 だって、深淵の試練で散々見て来ましたからね。

 扉に手を当てると思った通り、自動的に扉が開いていき。
 両開きの扉の隙間から光がのぞく。

「こ、これはっ!?」

 今までの階層の、暗い無機質な部屋とは打って変わって、そこに広がるのは真っ白な空間。
 何処となく、神界を連想させるその場所の中心には……


 ぴこぴこ


 周囲の光景なんてどうでもいい!
 僕の視線はもう、に釘付けです!!

「どうやら、お客のようだね」

 部屋の中心にいた男の人が僕たちの方に向き直りましたが、それもこの際別に構いません。

「ね…」

「ね?」

「ネコ耳ですっ!!」

 そう!  その男の人の頭の上にある2つの白いネコ耳!!
 時々、ぴこぴこって動いてますよっ!?
 触りたい!  今すぐもふりたいっ!!

「お、お嬢様、落ち着いて下さい!」

 ネコ耳に向かってスタートを切ろうとしたところで、背後からメルヴィーに捕まってしまいました。

「あぁっ…ネコ耳が」

 メルヴィーに抱っこされてしまったので、いくら手を伸ばしてもネコ耳をもふれません……も、もどかしいです!

「メルヴィー…」

「ダメです」

 即答されました。
 まだ何も言ってないのに……

「こんな幼女に、あの数のベヒーモスがやられたと言うのか……」

 メルヴィーの腕の中で項垂れていると、そんな呆れたような声が聞こえて来ました。

 まぁ、そう思いますよね。
 自分で言うのもなんですが、僕の見た目は無力な幼女ですからね。

 でも残念。
 ベヒーモスの相手をしていたのは、僕では無くコレールです。
 無論、僕でも容易に出来ますけどね!

「貴方如きがルーミエルお嬢様の事を〝こんな〟だなんて……死にますか?」

 隣から聞こえて来たその声に、思わずビクッと震えました。
 恐る恐る隣を見ると、いつになく冷たい声のアヴァリスが、いつになく冷たい笑顔を貼り付けていました。

「ん?」

 そして、偉ぶったようにアヴァリスを見て、ネコ耳さんが驚愕に目を見開きました。

「も、もしや、貴女は九尾殿では?」

 絞り出したような、彼の声は僅かに震えていました。
 彼とアヴァリスとの間に何があったのか、気になりますね。

「あら、あれだけ躾けてあげたのに、もう私の顔を忘れてしまったので?」

 首を傾げてニッコリと微笑むアヴァリスとは対照的に、ネコ耳さんは滝の様な汗を流しながら固まりました。
 デジャブです!!
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