最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ

文字の大きさ
上 下
88 / 375
第6章 フェーニル王国編

88話 暴虐です!!

しおりを挟む
「ば、バカな……」

 唖然と呟いたのは、眼下の客席にいる騎士達か?
 はたまた、騒ぎを聞きつけて集まった文官の誰かか?

 目の前で繰り広げられるこの光景を目にすればそう思うのも無理のない事だ。
 現に、ある程度の予備知識を持っていたこの俺でさえも唖然としてしまっているのだから。

 先日、城を訪れた勇者一行を監視させていた時に起こった出来事。
 いきなりホテルの壁と地面が吹き飛んだ。
 初めに聞いた時は密偵の頭がどうかしたのかとも思ったが……

「どうりで余裕があるわけだ」

 脳裏によぎるのは、数刻前に賭けを持ちかけてきた年端もいかぬ天使のような容姿をした幼女。
 もし仮に、あの場にいた全員が、目の前の光景を作り出している存在と同程度の力を持っているのだとすれば……
 あの余裕も当然の事だ。

 それに、さっき彼女が言ったあの言葉……
 まさかとは思ったが、これ程の力を持つとなると現実味が出てきてしまう。

「失敗したか……いや」

 もし、俺の推測が正しいのであれば、下手に敵対してしまう前にこうして出会えたのは不幸中の幸いか。

「急速すぎる成長にホテルでの一件、帝国であった2つの騒動。
 だとすれば、先日の海竜の件もか?
 ハッハッ……冗談も程々にして欲しいな……」

 眼前で繰り広げられるあまりの光景に、イヴァル王の呟きを聞いていた者は誰一人としていなかった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 果たして今行われているこれは、決闘と呼んでいい代物なのでしょうか?
 断言しましょう、断じて違うと!

 オルグイユが無造作に腕を振れば、巻き起こった風圧だけで騎士団長さんの体は吹き飛ばされて宙に舞い上がる。
 次の瞬間には背後から発生した別の風圧により更に飛ばされ、その次の瞬間には……

 とまぁ、そんな感じでさっきから騎士団長さんは、踊るように宙を舞い。
 地面に下りる事すら許され無い騎士団長さんを風の刃が切り裂き、その身体と一緒に血飛沫も舞い上がる。

 そして、遂に騎士団長さんが意識を失ったかと思えば、突如糸を切られた人形のように地面に激突。
 既に意識を失い死にかけの騎士団長さんの身体を薄っすらと光が覆う。

 流石はオルグイユですね。
 外傷のみならず、失った血液までも回復させる回復魔法。
 味方なら頼もしいですが、敵に回すと末恐ろしいですね。

 回復はしても意識は失ったままの騎士団長さん。
 極限まで弱められた電撃を受けて強制的に叩き起こされ、そして再び宙に吹き飛ぶ。

 抗うことも、逃げる事も、意識を失う事すら許されずに延々と続く一方的な攻撃。
 これってもう決闘とは呼べないでしょう?
 これはもはや、ただの暴虐です!!

 強いて言うならば、これは新手の拷問ですね。
 でも、ギリギリのところでオルグイユが安全マージンを取っているので助けに入るにも入れない。

「ご愁傷様です、としか言えませんね…」

「ありゃ、人間にはしんどいだろうな」

「そうですか?
 しかし、言ってしまえば自業自得ですし、エンヴィーの時と比べれば何とも…」

 アヴァリスの言葉にリュグズールと一緒にちょっと引いてしまいました。
 一体、エンヴィーはどんな目に……

「ふふふ、冗談ですよルーミエルお嬢様」

「何言ってんの、アレはもう本当に地獄…」

「冗談、ですよ?」

 お、押し切った!
 何か言おうとしたエンヴィーも頬を引きつらせて黙ってしまいました。

「ルーミエルお嬢様は、信じてくれますよね?」

 にっこりと、とても優しい聖母のような微笑みを浮かべてますが、エンヴィーの身に何かがあった事は明白……

「は、はい!
 アヴァリスはいつも優しいですから!!」

 ごめんなさい、エンヴィー。
 僕にはこうするより他に道はありません!!


 その後、僕はオルグイユの決闘……
 ストレス発散が終わるまで、アヴァリスの包み込むような胸に抱かれてソレを見ていました。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

処理中です...