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第6章 フェーニル王国編
86話 見届けなければなりません
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しばらく唸っていたイヴァル王でしたが……
『今このフェーニルに来ているのは僕たちだけですから、この場にいる者であればすきな者をイヴァル王に選ばせてあげますよ?』
と言う僕の言葉で結局賭けを承諾。
やるなら早いほうがいいと言う事になり、今はお城にある騎士団の訓練場を見渡せる一室に移動したわけなのですが……
「お嬢様、我々は基本お嬢様のご意向に従います。
ですが、今回のようなご自身を蔑ろにするような事はお控え下さい」
「うぅ、だって……」
「だって、じゃありません!」
僕は今、部屋に備え付けられているソファーに座らされてお説教を受けています。
何時もあんなに優しいコレールが怖いです。
「よろしいですね?」
「はい…ごめんなさい」
コレールの有無を言わさぬ様子に素直に頷くしかありません。
これからはコレールを怒らせないようにしましょう……できるだけ。
「まぁまぁ、お嬢も反省してるみてぇだし、もう良いじゃねぇか」
リュグズール!貴女は女神ですかっ!?
「はぁ、わかりました。
元を辿ればあの場で冷静さを欠いた我々の責任ですからね。
ですが、これからはもっとご自身を大切にしてください」
「わかりました」
今にして思えば、僕を守ってくれているコレール達からすれば確かに僕の行動は軽率でした……
よかれと思ってやったのに、コレール達に迷惑をかけてしまいました。
「お、お嬢様、そんなに落ち込まないで下さい!」
「お嬢様、ほら尻尾ですよ?」
「ノア!シア!抜け駆けとは卑怯ですよ!」
尻尾…!
こ、この誘惑には抗えません、何せノアとシアの尻尾はもふもふであったかくて、最高の一言ですからね!!
フラ~っと2人の尻尾に収まった僕を見てメルヴィーが絶望的な表情になってしまいました。
でも、こればかりは仕方ありません。
僕にはどうしても、この誘惑には抗えそうにありませんからね…
「ふふ、良かったですねルーミエルお嬢様」
ノアとシアをもふってご満悦な僕にアヴァリスが優しい目で微笑みます。
よかった、アヴァリスは怒ってないようです、安心しました。
「それにしてもお嬢が自分からあそこまで言うなんて珍しいよな。
お嬢の目的は?」
「確かに気になるね。
なんか悪巧みしてるって感じだったよ?」
「いいところをついてきますねリュグズールは、あとエンヴィー、悪巧みっていうのは余計です。
う~ん、そうですね。まだ内緒です」
この決闘が終わった後、全員が揃っている時に説明することにしましょう。
これは断じて二回説明するのが面倒とか、今はもふってたいからではありません。
それにしても、この場にオルグイユが居なくて命拾いしました。
オルグイユがいれば、コレールと2人でもっと恐ろしい事に……
「どうやら始まるみたいですよ。
お二人の決闘」
オルグイユがここに居ない理由。
それは選んでしまったから、あの時あの場にいた者の中で最も苛烈な吸血鬼の支配者を。
アヴァリスの言葉で訓練場の方に視線を向けると、そこにいるのは2人の人物。
方や白銀の鎧を身に纏いその腰には見事な鞘の上からでも業物とわかる長剣を携えた騎士。
方や光り輝く黄金の髪に赤い瞳をした防具どころか武器さえ手にしていない美女。
今からこの2人が決闘を行うと言うと、誰もが耳をそして自身の目を疑う事でしょう。
ふと、少しだけ視線を上げると、僕たちとは反対側の部屋にるイヴァル王と目が合いました。
彼の目にあるのは勝利を確信した色のみ。
一切これから始まる決闘に緊張している様子がありません。
まぁ、大方イヴァル王は、僕たちがお金にものをいわせて揃えた武具を使うと考えていたのでしょう。
そうしたらオルグイユが武器も持たずに出てきたので、武具の用意が間に合わなかったとでも思っているのでしょうね。
イヴァル王から視線を切り、後ろのみんなに振り返ります。
イヴァル王がどう思っていようとも関係ありませんからね。
僕達は僕達がしなければならない事をするとしましょう。
「では、気を張っていきましょう」
僕の言葉にみんなが一斉に頷きます。
いつもは寝ているフェルもいつになく真剣な顔で頷きましたから事の重大さがわかるでしょう。
僕たちは皆んな訓練場に出てきたオルグイユの目を見て理解してしまいました。
その目の奥に燃え盛る怒りの炎を。
やる気を出してくれるのは良いのですが、あれは確実に事故に見せかけてヤル気です。
それだけは何としても止めないと……
そう、僕たちは最後までしっかりと見届けなければなりません。
これから始まるであろう、決闘と言う名の血祭りを。
『今このフェーニルに来ているのは僕たちだけですから、この場にいる者であればすきな者をイヴァル王に選ばせてあげますよ?』
と言う僕の言葉で結局賭けを承諾。
やるなら早いほうがいいと言う事になり、今はお城にある騎士団の訓練場を見渡せる一室に移動したわけなのですが……
「お嬢様、我々は基本お嬢様のご意向に従います。
ですが、今回のようなご自身を蔑ろにするような事はお控え下さい」
「うぅ、だって……」
「だって、じゃありません!」
僕は今、部屋に備え付けられているソファーに座らされてお説教を受けています。
何時もあんなに優しいコレールが怖いです。
「よろしいですね?」
「はい…ごめんなさい」
コレールの有無を言わさぬ様子に素直に頷くしかありません。
これからはコレールを怒らせないようにしましょう……できるだけ。
「まぁまぁ、お嬢も反省してるみてぇだし、もう良いじゃねぇか」
リュグズール!貴女は女神ですかっ!?
「はぁ、わかりました。
元を辿ればあの場で冷静さを欠いた我々の責任ですからね。
ですが、これからはもっとご自身を大切にしてください」
「わかりました」
今にして思えば、僕を守ってくれているコレール達からすれば確かに僕の行動は軽率でした……
よかれと思ってやったのに、コレール達に迷惑をかけてしまいました。
「お、お嬢様、そんなに落ち込まないで下さい!」
「お嬢様、ほら尻尾ですよ?」
「ノア!シア!抜け駆けとは卑怯ですよ!」
尻尾…!
こ、この誘惑には抗えません、何せノアとシアの尻尾はもふもふであったかくて、最高の一言ですからね!!
フラ~っと2人の尻尾に収まった僕を見てメルヴィーが絶望的な表情になってしまいました。
でも、こればかりは仕方ありません。
僕にはどうしても、この誘惑には抗えそうにありませんからね…
「ふふ、良かったですねルーミエルお嬢様」
ノアとシアをもふってご満悦な僕にアヴァリスが優しい目で微笑みます。
よかった、アヴァリスは怒ってないようです、安心しました。
「それにしてもお嬢が自分からあそこまで言うなんて珍しいよな。
お嬢の目的は?」
「確かに気になるね。
なんか悪巧みしてるって感じだったよ?」
「いいところをついてきますねリュグズールは、あとエンヴィー、悪巧みっていうのは余計です。
う~ん、そうですね。まだ内緒です」
この決闘が終わった後、全員が揃っている時に説明することにしましょう。
これは断じて二回説明するのが面倒とか、今はもふってたいからではありません。
それにしても、この場にオルグイユが居なくて命拾いしました。
オルグイユがいれば、コレールと2人でもっと恐ろしい事に……
「どうやら始まるみたいですよ。
お二人の決闘」
オルグイユがここに居ない理由。
それは選んでしまったから、あの時あの場にいた者の中で最も苛烈な吸血鬼の支配者を。
アヴァリスの言葉で訓練場の方に視線を向けると、そこにいるのは2人の人物。
方や白銀の鎧を身に纏いその腰には見事な鞘の上からでも業物とわかる長剣を携えた騎士。
方や光り輝く黄金の髪に赤い瞳をした防具どころか武器さえ手にしていない美女。
今からこの2人が決闘を行うと言うと、誰もが耳をそして自身の目を疑う事でしょう。
ふと、少しだけ視線を上げると、僕たちとは反対側の部屋にるイヴァル王と目が合いました。
彼の目にあるのは勝利を確信した色のみ。
一切これから始まる決闘に緊張している様子がありません。
まぁ、大方イヴァル王は、僕たちがお金にものをいわせて揃えた武具を使うと考えていたのでしょう。
そうしたらオルグイユが武器も持たずに出てきたので、武具の用意が間に合わなかったとでも思っているのでしょうね。
イヴァル王から視線を切り、後ろのみんなに振り返ります。
イヴァル王がどう思っていようとも関係ありませんからね。
僕達は僕達がしなければならない事をするとしましょう。
「では、気を張っていきましょう」
僕の言葉にみんなが一斉に頷きます。
いつもは寝ているフェルもいつになく真剣な顔で頷きましたから事の重大さがわかるでしょう。
僕たちは皆んな訓練場に出てきたオルグイユの目を見て理解してしまいました。
その目の奥に燃え盛る怒りの炎を。
やる気を出してくれるのは良いのですが、あれは確実に事故に見せかけてヤル気です。
それだけは何としても止めないと……
そう、僕たちは最後までしっかりと見届けなければなりません。
これから始まるであろう、決闘と言う名の血祭りを。
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