最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

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第6章 フェーニル王国編

85話 僕と賭けをしませんか?

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 本当に、思わぬ良い展開ですね。
 今回、僕自身は口を挟むつもりは、ありませんでしたが……

 こうなったからには、その限りではありません。
 それに、今のコレール達ではまともに商談が出来るとは思えませんしね。

 今回の商談は全てコレールに一任していて正解でした。
 もしそうでなければ、今頃オルグイユやメルヴィーが何をしでかしていたことか……

「皆んな、落ち着いて下さい」

「しかし……承知いたしました」

 いつになく真剣な仕事モードの僕の目を見てコレールも納得してくれたようです。
 さて、今回の責任者であるコレールの了承も得られた事ですし、惜しみなく口出しさせてもらうとしましょう!

「と言うわけなので、ここからは僕が話をしますが宜しいですよね?」

「何をっ」

「よい。
 それでお嬢さん、取り敢えずお名前を教えてもらえるかな?」

 僕の高圧的とも取れる態度に騎士団長さんが声を荒げようとしましたが、イヴァル王が止めてくれました。
 こう言ったところは好感が持てますね。

 まぁ尤も、こう言った商談の席で一商会に婚約の圧力をかけてくるのはどうかと思いますが。
 それも商人の聖地を統べる国王、普通の商人であればまず断れませんからね。

「僕の名前はルーミエルと言います」

「そうか、ルーミエル嬢はこの申し出を受け入れてくれるのかな?」

 結構端的にきますね。
 まぁ、僕としても回りくどいやり取りをしなくていいのは願ったりなので構いませんが。

「いえ、お断りさせていただきます」

「なっ!?」

 僕の返答がよっぽど想定外だったのか、残念王子がさらに間抜けな顔を晒してくれました。

「ほう、どうしてかな?
 ここで、この申し出を断る意味は理解しているよね?」

 イヴァル王もこれは予想外だったらしく、軽く目を細めてそう言ってきました。

 勿論、ここで拒否することの意味はしっかりと理解しています。
 国王からの直接の申し出、それが断られたらそれはもう、国家の恥と言えるでしょう。
 そして、そんな恥をかかせた者を国は、フェーニル王家は許さない。

 そうなれば、この国で商売をするが出来なくなることは想像に難くありません。
 名乗りを上げようと志す商人にとって、聖地であるフェーニルで商売が出来ないなんてことになれば致命的ですからね。

「勿論理解しています。
 その上で言わせて頂きますが、僕とそちらの第一王子との婚姻は、僕たちリーヴ商会にとってメリット足り得ません」

「面白いことを言う。
 このフェーニルでの地位がメリット足り得ないと?」

 そう言って放たれる威圧。
 流石は大国と言われる国の王、まさに海千山千の猛者といったところでしょう。
 ですが、この程度の威圧では僕には通じません。

「そうです。
 たとえこの国で商売が出来なくとも、我々がその気になれば他国をこの国以上の商売の中心地に育て上げることも可能でしょう」

 実際、一切の自重をなくしてやりたい放題すれば、そのぐらいのことは出来ます。
 一年もあれば、貧困に苦しむ小国を世界一の経済大国に成し上げる事も容易でしょう。

「はっはっは!面白い。
 ルーミエル嬢の言う事の真偽は兎も角」

 うん、まぁこんな小娘の言う事を間に受けませんよね普通。
 本当に面倒な事をしてくれましたよあの人たち神様達は……今度会ったらもう一度くらい小言を言ってやりましょう。

「この俺の威圧を受けながらその胆力、ますますルーミエル嬢が欲しくなった。
 それに、そこまで言えるのならわかっているだろう?
 こちらとしても、そう簡単に引き下がるわけにはいかないと言う事を」

 まぁそうなりますよね。
 いくら僕たちをこの国から締め出せても、断られた、その事実だけで権力者達に付け入る隙を与えることになりますからね。

「ええ、ですから僕は妥協案を提案します」

「妥協案?」

「そうです。
 わかりやすく言えば言い訳の口実を差し上げるという事です。 
 我々の陣営とそちらの陣営の一対一による決闘。
 決闘に負けて仕方なかったといえば、口実にはなるでしょう」

 まぁそうなれば、それはそれで恥をかいたことになるでしょうけど。
 何もせずに一方的に断られるよりはマシでしょう。

「ほう、それではまるで我がフェーニル王国が騎士達に勝てると聞こえるが?」

「ええ、仮にそちらが勝利すればあなた方の要件を呑みましょう。
 ですが、それでは、ただでさえ婚姻にメリットが無い我々にとってあまりにも利益が無い」

「ふむ、確かにそうだな。
 では、そちらが勝った場合何を要求する?」

 イヴァル王のその言葉を聞いて、僕はニヤリと笑みを浮かべました。

「その時は、リーヴ商会のフェーニルにおける活動への介入の禁止。
 そして、我々の一切の利益の保障と全面的なバックアップと言ったところでしょうか。
 あ、勿論、税はしっかりと納めますし法を犯すこともしないと誓いますよ」

 僕の言葉を聞いてかなり苦い顔をするイヴァル王。
 まぁそうですよね、僕もかなり難しい事を言っている自覚はあります。

 だって僕のいってることは要約すると。
 フェーニルでする商売に文句言うなよ?
 こっちの利益を損なう事は一切するなよ?
 でも、無償で協力はしろよ?
 って事ですからね。

 うん、こう考えたら騎士団長さんやイヴァル王が声を荒げなかった事は賞賛に値しますね。
 僕がもしこんな事言われたら多分、ぷっつんしますよ?

 だって、治外法権を認めろと言っているようなものですよ?
 国王として、そう簡単には頷けませんが、国家としてのプライドから断る事も戸惑われる。

 まぁでも、最終的には絶対に頷くでしょう。
 なにせ勝って仕舞えばいいだけですからね。

「さぁ、僕と賭けをしませんか?」
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