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第5章 瀑水の試練編
78話 行くとしましょう
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唖然と見開かれるメルヴィーの視線が僕達……エンヴィーを突き刺す。
これまた、絶妙なタイミングでしたね。
やっぱり、エンヴィーは何か持っているのでしょうか?
この場面を見ると、違う女性といる所をヒロインに目撃された主人公と言った感じでしょうか。
物語ではありがちなテンプレと言えるでしょう!
もっとも、テンプレだとここでヒロインが走り去ってしまうのですが。
悲しいかな、残念な事にメルヴィーの目はスゥっと細められる。
そして、その目に比例するかの様にメルヴィーから殺気が溢れ出してきました。
「お嬢様に、何をしているのかしら?」
「ち、違うからねっ!?」
ダラダラダラっと、汗を滝のように流して苦笑いを浮かべるエンヴィー。
あたふたと慌てて両手を顔を前で振ってそう言ったのですが……
「違う?
違うってどういう事ですかっ! 後ろめたい事がある人程そう言うんです!!」
メルヴィーは、その美しい容姿を怒りに染めてそう怒鳴りつける。
目にも留まらぬスピードで、僕を守るように抱きかかえてエンヴィーから遠ざかりました。
それにしても、相変わらず凄いスピードです!
てか、リュグズールもコレールも見てないで止めてくれたらいいのに……
フェルなんて興味ないとばかりの様子でソファーで寝ていますし。
あっ、でも、これはいつものことでした!
「あらあら、どうしたのですか?」
これまた、何とも言えないタイミングで騒ぎを聞きつけたアヴァリス達が戻って来ちゃいましたね。
「おっ、面白くなってきたな」
視界の端で、リュグズールが隠しきれずにニヤニヤしていますし。
コレールも呆れたようにしているだけで止める気は無い様です。
こうなっては仕方ありませんね!
ここは僕がどうにか収めるしかない様です!!
「メルヴィーも、そんなに怒っちゃダメですよ!
僕たちは、かっ、家族なんですから! 皆んな仲良くしないとダメです!!」
あれ? な、なんでいきなり静かになるんですか!?
なんかめっちゃ恥ずかしくなってきました!!
「お、お嬢様ー!!」
気恥ずかしさが限界に達したその時。
メルヴィーがいきなり、抱っこした状態のままギュッと抱きしめてきました。
ギュッとされるのは良いのですが。
顔にメルヴィーの胸が押し付けられて、ちょっと苦しいです。
ふむ、ですがこの状況は男の人からしてみれば役得なのでは?
うん、そう思うと、ちょっと得した気分になってきますね。
「そ、それでメルヴィーが言ってた問題って何でしょうか?」
何とか自力でメルヴィーの胸から顔だけ脱出する事に成功。
この機を逃すわけにはいきません。
さっきまでの殺伐とした空気が嘘のように和やかな雰囲気が流れていますからね!
「そ、そうでした!
実は、エントランスの方に害虫がいるようでして」
「害虫、ですか?」
「はい、あれは人の形をした害虫です」
メルヴィーが、さっきよりも更に冷たい瞳に。
「優しいメルヴィーが、害虫なんて言うほどの人ですか……」
「いやー、我が君。
こう言っちゃあなんだけど、彼女は決して優しくは」
「どうか致しましたか? エンヴィー?」
「いえ、何でもありません!」
あ、メルヴィーがエンヴィーの事を呼び捨てで呼びました!
何故かエンヴィーがビシッと敬礼をしていますが、これは……良い傾向ですね!
家族たるもの、一々敬称をつけて呼ぶのはどうかと思っていたところです。
これで僕のことも、ルーミエルって呼んでくれれば良いのですけどね。
「うーん、確かにエントランスにそれなりの強さを持った魔力を感じますね」
何処か、覚えがある魔力ですけど……何処で会ったのでしょうか?
「あっ、思い出しました。
この魔力は……うん、成る程」
どうりでメルヴィーが害虫なんて呼び方する訳です。
どうやら、他のみんなも誰だか分かっちゃったみたいですね。
出来ればこのまま無視したいですけど……大浴場は一階。
そこまで行こうとすれば、どの道エントランスを避けては行けませんし。
「仕方ありませんね。
お風呂に行くついでに、挨拶でもしに行くとしましょう」
これまた、絶妙なタイミングでしたね。
やっぱり、エンヴィーは何か持っているのでしょうか?
この場面を見ると、違う女性といる所をヒロインに目撃された主人公と言った感じでしょうか。
物語ではありがちなテンプレと言えるでしょう!
もっとも、テンプレだとここでヒロインが走り去ってしまうのですが。
悲しいかな、残念な事にメルヴィーの目はスゥっと細められる。
そして、その目に比例するかの様にメルヴィーから殺気が溢れ出してきました。
「お嬢様に、何をしているのかしら?」
「ち、違うからねっ!?」
ダラダラダラっと、汗を滝のように流して苦笑いを浮かべるエンヴィー。
あたふたと慌てて両手を顔を前で振ってそう言ったのですが……
「違う?
違うってどういう事ですかっ! 後ろめたい事がある人程そう言うんです!!」
メルヴィーは、その美しい容姿を怒りに染めてそう怒鳴りつける。
目にも留まらぬスピードで、僕を守るように抱きかかえてエンヴィーから遠ざかりました。
それにしても、相変わらず凄いスピードです!
てか、リュグズールもコレールも見てないで止めてくれたらいいのに……
フェルなんて興味ないとばかりの様子でソファーで寝ていますし。
あっ、でも、これはいつものことでした!
「あらあら、どうしたのですか?」
これまた、何とも言えないタイミングで騒ぎを聞きつけたアヴァリス達が戻って来ちゃいましたね。
「おっ、面白くなってきたな」
視界の端で、リュグズールが隠しきれずにニヤニヤしていますし。
コレールも呆れたようにしているだけで止める気は無い様です。
こうなっては仕方ありませんね!
ここは僕がどうにか収めるしかない様です!!
「メルヴィーも、そんなに怒っちゃダメですよ!
僕たちは、かっ、家族なんですから! 皆んな仲良くしないとダメです!!」
あれ? な、なんでいきなり静かになるんですか!?
なんかめっちゃ恥ずかしくなってきました!!
「お、お嬢様ー!!」
気恥ずかしさが限界に達したその時。
メルヴィーがいきなり、抱っこした状態のままギュッと抱きしめてきました。
ギュッとされるのは良いのですが。
顔にメルヴィーの胸が押し付けられて、ちょっと苦しいです。
ふむ、ですがこの状況は男の人からしてみれば役得なのでは?
うん、そう思うと、ちょっと得した気分になってきますね。
「そ、それでメルヴィーが言ってた問題って何でしょうか?」
何とか自力でメルヴィーの胸から顔だけ脱出する事に成功。
この機を逃すわけにはいきません。
さっきまでの殺伐とした空気が嘘のように和やかな雰囲気が流れていますからね!
「そ、そうでした!
実は、エントランスの方に害虫がいるようでして」
「害虫、ですか?」
「はい、あれは人の形をした害虫です」
メルヴィーが、さっきよりも更に冷たい瞳に。
「優しいメルヴィーが、害虫なんて言うほどの人ですか……」
「いやー、我が君。
こう言っちゃあなんだけど、彼女は決して優しくは」
「どうか致しましたか? エンヴィー?」
「いえ、何でもありません!」
あ、メルヴィーがエンヴィーの事を呼び捨てで呼びました!
何故かエンヴィーがビシッと敬礼をしていますが、これは……良い傾向ですね!
家族たるもの、一々敬称をつけて呼ぶのはどうかと思っていたところです。
これで僕のことも、ルーミエルって呼んでくれれば良いのですけどね。
「うーん、確かにエントランスにそれなりの強さを持った魔力を感じますね」
何処か、覚えがある魔力ですけど……何処で会ったのでしょうか?
「あっ、思い出しました。
この魔力は……うん、成る程」
どうりでメルヴィーが害虫なんて呼び方する訳です。
どうやら、他のみんなも誰だか分かっちゃったみたいですね。
出来ればこのまま無視したいですけど……大浴場は一階。
そこまで行こうとすれば、どの道エントランスを避けては行けませんし。
「仕方ありませんね。
お風呂に行くついでに、挨拶でもしに行くとしましょう」
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