最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

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第4章 神聖の試練編

53話 驚きです

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 神様であり何故か友達となった皆んなと、お喋りして現実世界に返して貰ったのですが……
 どう言う訳か、見慣れないベットの上に寝転んでいました。

「んっ……んっ~」

「お嬢様、お目覚めですか?」

 どうやら僕は眠っていたらしいですね。
 あくびと共に軽く伸びをすると、ベットの傍からコレールが姿を表しました。

 寝起きの寝室に突然人が現れる……転移魔法と原理が分かっているとは言え、多少のホラー感は否めませんね。

「はい、たった今起きました。
 それにしても、どうして僕は眠っていたのでしょうか?」

 以前、神様達と邂逅した時は現実世界では一瞬しか経っていませんでした。
 今回のように眠ってしまう事は無かったのに……

「実は……」

 そんな僕の質問にコレールが何かを言おうとした瞬間。
 この寝室の扉が勢いよく開け放たれました。

「お嬢がお目覚めって本当かよっ!」

 扉を壊す勢いでリュグズールが入ってきたかと思うと、開口一番で笑みを浮かべながらそう言いました。

「あっ!  お嬢、ったく心配させやがって」

 そんな元気いっぱいな彼女の様子をベットの上から半身を起こして眺めていると。
 リュグズールと目が合った途端に目端に、薄っすらと涙を浮かべながら安堵した様にため息を漏らしました。

「リュグズール、走るなんてはしたないですよ。
 それにルーミエルお嬢様の寝室をノックもなしに開けるなんて」

「お加減はどうでしょうか?」

「ん、エルは、お寝坊」

 突然、涙を浮かべたリュグズールにあたふたしていると、そんな事を言いながらアヴァリス、オルグイユ、フェルが姿を表しました。

「くっ、だ、だがなアヴァリス。
 それを言うといきなり転移したコレールはどうなんだっ?」

 アヴァリスの軽い叱責に、思わずたじろいだリュグズール。
 簡単にコレールを売りましたね。

 まぁ、確かにそうですよね。
 しかしそんなリュグズールの意見は軽く受け流され、お説教が始まってしまいました。

 こう言う時は口出しをするのは悪手です。
 僕にも飛び火し兼ねませんからね。
 それにしても、フェルにだけはお寝坊とは言われたく無いです……

「何やらご心配をかけしてしまった様ですね……すみません」

「ん、気にする、必要はない」

 そう言いながらフェルがモゾモゾとベットに入って来る。
 そして何故か。僕の背中に潜り込む。

 次の瞬間にはその身体が大きくなっていき……超キングサイズと言えるベット一杯のサイズまで大きくなりました。

「えっ?」

 その光景に思わず驚きの声を漏らす。
 霊鳥の姿に戻ったフェルは何処か誇らしげに翼を軽く広げました。

 僕が驚いた理由……それはフェルの大きさ。
 幾らベットが大きいとは言え、霊鳥の姿に戻ったフェルはこのベットよりも大きいのです。

 しかし、フェルは今、そのベットより一回り程小さいサイズで僕の後ろに寝転んでいます。
 それが意味する事は、つまり……

「大きさを操れる様になったのですか?」

「吾は遂に、成し遂げた」

 一度頷き、誇らしげに肯定しました。
 フェル曰く、本来のサイズから狼ほどの大きさまで自由自在に自身の大きさを操作出来るとの事。

「おぉ、フェルが小さくなったぞっ!」

 その事実に感心していると。
 アヴァリスのお説教から解放されたリュグズールが身を乗り出して声をあげました。

「貴女の気持ちも分からなくは無いですが。
 リュグズール、貴女はもう少し礼節を身につけなさい」

「アヴァリスの言う通りです。
 ルーミエル様の眷属として恥ずかしく無い行動を心がけて下さい」

 う~ん、残念バージョンのオルグイユもあまり強くは言えないと思うのですが……まぁこれは言わぬが花ですね。

「お嬢様、本当にお加減はよろしいのですか?」

 女性3名のそんなやり取りに対し完全なるスルーを決めたコレールが、ベット横からそう聞いてきました。

「ん、エルは、もう少し、寝てる、方がいい」

 そのコレールの言葉に同調する様に気だるげにもたれ掛かって来るフェル。
 布団の上から優しく翼で包み込まれました。

「いえ、本当に大丈夫です。
 それよりも、あの後どうなったのか教えて欲しいのです」

 何とか、フェルの翼から顔を出せた。
 危なかったですね、あの心地良さは最早凶器ですっ!!

「承りました。
 あの後直ぐにお嬢様は一お眠りになられました」

 その後、気絶する様に眠ってしまった僕をオルグイユとアヴァリスがこの寝室まで運んでくれたそうです。

 因みに、コレールは男だから。
 フェルは不安だから。
 リュグズールは乱雑だから、と言う理由で待機させられていた様です。

 オルグイユとアヴァリスにより可及的速やかにベッドメイキングと僕の就寝準備が成され。
 僕はこのベットにて眠っていたと言う訳ですね。

 確かにそう言われてみれば、記憶にある服装と変わっていますね……これは中々に迷惑をかけてしまった様です。

「しっかしよ、まさかお嬢が4日間も目覚め無いとなると流石に心配したぜ」

 ……4日、ですか?  えっと、聞き間違いでしょうか?

「ええ、ルーミエル様がお眠りになっていたこの4日間生きた心地がしませんでしたね」

 リュグズールに頷き同意するアヴァリス。
 まさかと思いつつ……コレールを見ると、静かに頷きその事実を肯定しました。

 う~ん、まさか本当に4日間も眠ってしまっていたとは驚きです。
 何故、僕は4日間も眠ってしまっていたのでしょうか?

 以前あの空間に行った時は、フォルクレスが現実世界の時間を限りなく遅くしていると言っていました。

 まぁ、現実世界の時間が遅くなっていると言うよりは、あの空間の時間が止まっているといった方が正解でしょうけど。

 あっ!……まさか、僕がフォルクレスを殴ってしまったせいでしょうか?
 う~ん、何故だかそんな気がしますね。
 まぁ、また今度直接フォルクレスに聞いてみるとしましょう。

 そんな事を考えながら、フェルの暖かい翼を布団の代わりにしていると、目がしょぼしょぼして来ました。

「そうです、ルーミエルお嬢様……あら」

 アヴァリスの声が遠くでうっすらと聞こえる気がします。
 しかし、襲いくる眠気に抗うことが出さず。
 僕はその睡魔に誘われるがままに意識を手放しました。
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