最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

フウ

文字の大きさ
上 下
46 / 375
第4章 神聖の試練編

46話 で、デカイです!!

しおりを挟む
 切実かつ尤もな訴え。
 確かにと内心相槌を打っていると、見事な庭園の中央にある石畳の上に人影が空から降って来ました。

「なぁ、お前ら分かってんのか?
 オレ達が、どれだけ苦労してこの迷宮を作り上げたのかよぉ!?」

 チンピラみたいな口調で姿を現したのは、紫の髪を後ろで束ねた1人の女性。
 しかも、その胸には自ら主張しまくっている双丘が……

「しかも、お前らこの城まで転移して来やがったな?
 折角オレ達が作り上げた、芸術とも言えるあの橋を渡りもしねぇ!
 ちょっとはこっちの苦労も考慮してくれよ……」

 いきなり現れて、愚痴って、最後は疲れた様に項垂れてしまいました。
 まぁ、その気持ちは分からなくもないです。
 しかし気になるのは……項垂れる瞬間も油断なく主張してくるその巨乳!!

 こんな事を自分で言う時が来るとは思ってもいませんでしたが……負けました。
 それも完膚無きまでの惨敗。

 いえ、そもそも勝負という舞台にも立たずに終わったのかもしれませんね……
 ま、まぁ!  僕はまだまだ成長期前ですけどねっ!!

「せめて、せめて普通に扉と門は開いて来てくれよ……」

 酷く落ち込んだ様子で呟く巨乳さん。
 その気持ちが分かるだけに可哀想です……悪い事をしちゃいましたね。

 巨乳さんの口ぶりからして、彼女がこの迷宮のダンジョンマスターでしょう。
 多分この迷宮を作り出した大神は、内部の構造までは着手せずに後続のダンジョンマスターに一任したのでしょう。

 つまり、この迷宮の内部構造を作り上げたのは彼女……いえ、オレ達と言っている事から彼女達と言う事になります。

 この迷宮は深淵の試練とは全く違う。
 挑戦者を暖かく受け入れ、穏やかに和やかに挑戦者と言う名の客をもてなす。

 だからこそ、客が楽しめる様に色々な工夫を凝らしたのでしょう。
 そんな手の込んだ一つの作品と言える場所を入り口は壊され、道中は無視され、城の門も壊される……

 うん、これは悪い事をしてしまいましたね。
 何と言うか……もう、ごめんなさいとしか言いようがありません。

 と言うか、僕は悪くないです。
 まぁ、確かに道中は転移で無視してしまいましたが……最初の扉もこのお城の門も壊す気は全くなかったですからね!

「お久しぶりですね、セルケト殿」

 そしてその元凶たるコレールはと言うと……扉や門の事など無かったかの様に普通に巨乳美女に挨拶していますね。

 ……ん?  
 普通に今聞き捨てなら無い言葉が……

 セルケトと言うと確か、地球の神様の中にそんな名前の神様がいた様な気がします。
 つまり今、目の前で項垂れている巨乳さんは神様と言う事でしょうか?

「ん?  その声にこの魔力は……お前、黒龍かっ!?」

「ええ、大戦以来ですから、およそ10万年ぶりですね」

「それに、そっちは霊鳥の嬢ちゃんに吸血鬼の女王様じゃねぇか!
 久しぶりだなおいっ!!」

「ん」

「お久しぶりですね、セルケト。
 元気にしていましたか?」

 巨乳美女にフェルは頷き、オルグイユも親しそうに挨拶を返す。
 この巨乳美女さんとコレール達3人が顔見知りである事は確実ですね。

 しかも10万年ぶりの再会ともなると積もる話もあるでしょう。
 激しく場違いな気がします。

 こんな時、コミュ力が高い人ならあの輪の中に入って打ち解ける事が出来るのでしょう。
 しかし!  コミュ力ゼロに等しい僕からすれば、それは神の御技も同じです!!

 いつもであればこんな時は空気になっているのですが。
 今回は迷宮の件があるのでそう言う訳にもいかないんですよね……さて、どうしましょうか?

「ふふふ、私もお話に混ぜてくださいな」

 一人で頭を悩ませていると、不意に何処からかそんな声が聞こえて来ました。

「おぉっ、やっと来たか!!
 お前も見てみろよ、黒龍に霊鳥の嬢ちゃんに吸血鬼の女王だぞ!」

 巨乳美女さんが誰もいないお城の入り口の方に向かってそう声を上げる。
 すると、空間が揺れて一人の女性が姿を現わしました。

 黄金色の髪に白いもふもふが見える耳。
 そして、着ている着物から溢れそうな巨乳!!
 モフミミさんも巨乳美女さんもいい勝負ですね……

「そんなに大きな声を出さ無くても聞こえていますよ。
 先程も突然飛び出して、貴女はもう少し落ち着きを覚えてください」

「やはりあの結界は貴女でしたか九尾殿」

 九尾ですか?
 確かに言われてみれば、モフミミさんの背後にたくさんの尻尾らしきものが見えますね。

「ええ、黒龍殿もお元気そうで何よりです」

 柔らかな微笑みを浮かべて、軽く会釈を交わすコレールとモフミミさん。

 う~ん、なんかモフミミさんは扇子を持ってそうなイメージ……あっ、持ってるんですか。
 着物の袖から扇子が……どうやってあんな場所に……謎ですね。

「霊鳥殿に吸血女王殿もお元気でしたか?」

「ん、吾は、元気」

「ええ、九尾さんもおかわりなさそうで何よりです」

 どうやら、巨乳美女さんだけで無く、モフミミ美女さんも旧知の仲の様です……
 これは、ますます困りました……こんな時どうすればいいのでしょうか?

 あっ、モフミミさんと目が合ってしまいました。
 くっ!  何故こんな時に限って僕の盾こと、コレールが近くにいないんですかっ!?

 突然の事態に硬直していると、モフミミさんが優し気な微笑みを浮かべて手を振って来ました。

 えっ?  この場合はどうするのが正解なのですか?
 くっ、こんな所でも人見知りの弊害が……

 と、取り敢えず手を振り返しておきましょう。
 うんうん、それが良いですね、そうしましょう……あっ。
 な、何でしょうか?  皆んなが僕の事を見ているのですが……

「おいおいおいっ!
 何だ何だ、あの嬢ちゃんは!?」

「ふふふ、私の結界を破ったのはあの子ですか?」

「ええ、九尾殿の結界を破ったのはお嬢様です」

 コレールが僕の事をお嬢様なんて呼ぶから、余計に巨乳美女さんとモフミミ美女さんの注目を集めてしまいました。

 初対面の美女2人に凝視される。
 はっきり言ってツライ!  出来れば早く空気と化したいのですが……

「ん、エルは、吾の妹」

「妹っ!?
 マジかよっ!  てか、霊鳥の嬢ちゃんに妹いたのか?」

「ふふふ、なかなか面白い事になっている様ですね。
 吸血女王殿……は」

「グフっ、ぐへへ……ルーミエル様!  あぁなんてお可愛らしいのでしょうっ!!」

「む、無理そうですね。
 黒龍殿、ご説明をお願いしても?」

「ええ、お嬢様のお許しさえあれば喜んで」

 あっ、モフミミ美女さんが残念な状態のオルグイユを見て苦笑いを浮かべました。
 その気持ちは非常によくわかりますよ。
 普通にしていれば出来る秘書ってイメージですからね……まぁ、アレを見てしまったらそんな事は言えないのですけど。

「では、立ち話も程々にして、お城の中でお話致しましょう」

 そう言って踵を返したモフミミさんの後を追って、僕達は白亜のお城に足を踏み入れました。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました

遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。 追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。 やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

処理中です...