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第3章 帝国ギルド編

36話 実験開始です!

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 目の前に存在するのは、地球では伝説上の存在とされ創作上の存在。
 硬い鱗を持ち、その翼は大空を飛翔し、その一撃は人間など一瞬にして肉塊に化す。

 そう、それはドラゴン!
 今目の前にて、そのドラゴンが元気に空を飛び回っているのです!!

 冒険者ギルドの応接室にてドラゴンを見てみたいと主張した直後、流石にそれは……と、エメルさんが反対しました。

 それに対して、コレールとエメルさんとの間で一悶着ありましたが。
 最終的にはコレールを説得する事は不可能と判断したエメルさんが折れました。
 そして、無事にドラゴン関連の依頼を受注する事に成功したのです!

 まぁ、その間、僕はケーキとの壮絶な格闘を繰り広げていた訳ですけど。
 そんな経緯を経て、ドラゴンを初めて目にした感動は確かにあります、けど……思っていた程ではありませんでしたね、非常に残念です。

 ドラゴンを見れるって舞い上がってましたけど、今にして思うと竜の完全な上位存在である龍。
 コレールを見ているのだから、竜を見て物足りなく思うのも当然の事です。

 今にも襲って来そうなドラゴン、先日コレールが仕留めたと言う火竜。
 確かにその姿に力強さは感じますが、その身体はコレールよりも小さく、コレールの様な見るものを圧倒する優雅さも存在しません。

 どうしてもコレールと比べれば見劣りする。
 はっきり言って、コレールの二番煎じ感が凄まじいと言う訳です。

 タイミング良く、竜の緊急討伐依頼などあるはずも無い。
 だから常に出されている、竜の素材を集めるための依頼を受けて、態々こんな遠い場所まで来たと言うのに……非常に残念です。

 因みに、今いる場所は帝都から馬車で片道二週間程度の位置にある岩山。
 この岩山には数多くの竜が生息しており、人外魔境と言っていい場所です。

 まぁ、僕達はコレールの転移と言うズルをしているので、まだ帝都を出て30分程度ですけど。
 僕達の後を追って来ていたギルド員さんには、少し可哀想な事をしてしまったかも知れません。

 うまく撒いたと思いますけど……まぁ、最悪の場合見られても別に構わないんですけど。
 転移魔法を使える人は珍しいですが、全くいない訳じゃ無いですしね。

「むぅ……」

「如何なされましたか?」

 竜に対する期待を裏切られて、軽くショックを受けていると、コレールが心配そうに聞いて来ました。

 これはいい機会です。
 この気持ちは誰かに聞いてもらうべきでしょう。

 膨れ上がった期待を見事に裏切られた、この悲しみを誰かと共有して少しでも軽くしたいですからね!

「非常に残念です、竜は一体どれ程素晴らしいのだろうと期待していたのですが……
 はっきり言ってコレールの方がカッコいいですし、何というか肩透かしを食らった様な気持ちなのです!!
 僕のこの悲しみをわかってくれますか?」

「わ、私の方が……か、カッコいい……
 ふふふ、そうでしょうとも!
 お嬢様の深い悲しみ、心中お察し致します。
 アレらはお嬢様を悲しませ、更にはお嬢様を前に服従の姿勢も見せぬ愚かな者です。
 私が始末してご覧に入れましょう」

「う~ん……あの竜は僕が仕留めます。
 今の僕の力がどれ程通用するのか見極めたいですからね」

 とは言え、本当に一体だけで足りるのでしょうか?
 この依頼はずっと出されてる様ですし……

「しかし、そうですね。
 依頼は火竜一体の素材の納品ですが、それ以上でも買い取るとありました……
 僕は色々と試したい事があるので、その間に出来るだけ火竜を討伐して欲しいのですが」

「御意に、必ずやお嬢様のご期待に添える結果をご覧に入れましょう」

「では、よろしくお願いしますね」

 僕がそう言うと、コレールは嬉々としてその場から姿を消しました。
 転移ってやっぱり便利ですよね。

「さて、実験開始です!」

 う~ん、見た感じだと火竜に滅光魔法は過剰でしょう。
 取り敢えず、身体と刀に魔力を纏わせての強化。
 これでどれ程、通用するか試してみましょう。

「では、行きますよ」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 結果から言って、僕ってやっぱり結構強いんじゃないでしょうか?

 既に息絶えて横たわっている火竜との戦闘を通して僕が抱いた感想がこれです。
 はっきり言って、火竜はかなり弱かったです。
 地下迷宮でアッサリと勝ったヒュドラよりも弱かったですね。

 刀魔闘術を用いて魔力を纏った斬撃を飛ばしただけで、スパッと綺麗に翼を切り裂きましたからね。
 アレには流石に驚きました。

 まぁ、強さ的に言えば、地下迷宮で初めに遭遇したワンちゃんと五分と言ったところでしょう。

 まぁ火竜と言っても所詮は災厄級。
 B級冒険者であれば十分に太刀打ち出来る程度の強さですからね。

 やはり、自分が強いなんて過信する訳には行きませんね。
 この程度の事が出来る人なんて、それこそ星の数程いるでしょうからね。

「やっぱり、僕には攻撃手段が少ないですね……後で各属性魔法を買っておくとしましょう」

 さて、コレールはどこに行ってしまったのでしょうか?
 テンプレを奪われた怒りはまだ収まってませんし。
 こっちから呼ぶのは何と言うか……僕のプライドが許しません。

 よって、コレールが戻ってくるまで、この場所で待たなければなら無いのですが…暇ですね。

 火竜は既に仕留めましたし、近くに他に竜はいない様ですし……
 まぁ、仮にいたとしても、無駄な殺生はしたくないので、特にどうする事もありませんが。

「う~ん、各属性魔法は後で買うとして……滅光魔法以外のオリジナル魔法の開発でもするとしましょうか!」

 どんなのが良いかなぁ……地球の様々な知識を持っているから、イメージは立てやすいと思うのですが。

 取り敢えず、威力重視でいくと超新星爆発が最も凄いですかね?
 まぁ、あんなの出来るとはとても思えませけど。

 ブラックホールみたいな物は既に暗黒魔法で再現出来ますし。
 尤も、威力で言えば本物には遠く届きませんが……

 メジャーな物で言えばあとは……やっぱり核ですね。
 人類が作り上げた、その気になれば星すらも破壊する叡智の結晶。

 とは言え、これも火系統の魔法で再現出来そうですね。
 他にも噴火、地震、竜巻、全て各属性系統で再現可能です。

 となれば、やっぱりアレしか無い様ですね!
 核すらも遥かに上回る破壊力を誇り。
 過去に地球の生物を大量絶滅に追い込んだとされる、自然現象。

「さてと、実験開始といきましょう!!」
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