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第3章 帝国ギルド編
31話 Fランク冒険者です!!
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「どうかしたのですか?」
ここで慌ててはいけない。
地球では世界を股にかけて利益を上げる様な奴らと対等以上に渡り合ってきたのだ。
この程度で慌てる訳もない。
「いえ、書類に問題がある訳では無いのでご心配なく」
受付で全くサイズの合っていない椅子に足を宙に浮かせながら座る僕の目線に合わせて、言い聞かせる様に優しく言ってきますが……
書類に問題が無い、イコール……僕自身に問題があるって事じゃないですかっ!
何故バレたのですかっ? 衛兵さんに身分証まで発行してもらったと言うのに……
はっ! くっ、やっぱりこの容姿をどうにかしないと流石に無理がありましたか……しかし、ここで引く訳には行きません!!
ここで動揺を晒せば、自ら自分の正体を自白した様なもの。
ここは落ち着いて完璧に対応して見せるのです! 僕なら出来るはず、地球での経験を思い出せっ!!
「わかりました」
ふっふっふ! やりきりましたよ。
全く動揺を表に出さず、完全に落ち着きを持った声。
どうですか? これが僕の実力です!
ルーミエルは気づいていない。
完璧に隠し切ったと思っていても、実はやり切ったと言う表情が顔に出ていた事を。
そして、それを見ていた周囲の人たちが微笑ましげに彼女を見ている事も……
「ありがとうございます。
ではこちらに」
「はい」
受付嬢さんと秘書? さんの案内についていく為に、椅子から軽く飛び降りて軽やかに着地を決めました。
その際、着ていたこれまた白いワンピースの裾が軽くめくれ上がる。
やっぱり少し動きづらいですね。
因みに、今僕が着ているワンピースはフェルの羽毛の繊維を白く着色し加工した物らしいです。
なんでもそこいらの国にある国宝以上の価値があるとかなんとか……
これも何故か過保護になったオルグイユ達が用意してくれた物です。
あっ! だから帝都に来てから、あんなにも視線を集めていたのでしょうか?
まぁ、伝説にすら語られ、神獣と呼ばれるフェルの羽毛を使ってますからね。
見る人が見ればその価値を見抜く事は容易いでしょう。
なるほど~、どうりで、納得できました!
一人で、うんうんと頷きながらギルド職員の後をついて行く幼女。
そんな彼女の姿を見て、むさ苦しい冒険者ギルド内が、和やかな空気に包まれた。
尤もその事を本人が知る事は無かった……
「はい、果実水でよかったかしら?」
「あっ、ありがとうございます」
「いいえ、こちらから頼んだのですから、この程度当然の事です」
これは一体どう言う事でしょうか?
てっきり前回と同様にギルドマスターの所に連れて行かれると思っていたのですが……通された場所は普通の面談室? みたいな場所でした。
しかも、前回は用意してくれ無かった飲み物を当然と言って出してきますし。
この飲み物も、罠かと一瞬警戒しましたが……どうやら毒は入って無い様ですし。
前回の様に、この部屋の周囲に誰かを待機させている気配は感じません。
つまりは、今僕と相対しているのは最初の受付嬢さんと、出来る秘書風の方の2名のみという事になります。
それはつまり……この2人で僕を拘束、又は倒す自信があるという事に他なら無いのではないでしょうか?
見た感じ受付嬢さんは普通の一般人に見えますが……この秘書さんの方はそれなりの実力者の様ですしね。
「あの……それでお話は?」
「あら、そうだったわ。
あなたの仕草があまりに可愛らしかったモノだから……」
最後の方が小さ過ぎてなんて言っているのか聞き取れませんでしたが。
ヤバイですね……この人からは、オルグイユと同じ気配がします。
これは注意が必要かもしれません!
「それでお話なのだけれど……本当に冒険者になるつもりですか?」
「えっ? そうですけど」
全く今更何故そんな事を……まさかっ、これは僕を油断させるための策略! しかし、気付いてしまえばなんて事はありません。
「ハッキリ言って、辞めておいた方がいいですよ。
そもそも、冒険者なんてむさ苦しい下品な男ばかりです!
貴女のような可憐な少女が……幼女がその中に入ればどうなる事か!!
……すみません、少し取り乱しました」
「い、いえ、お気になさらずに」
「それに冒険者は常に死の危険が付いて回る仕事です。
少し厳しい事を言うようですが、確かに冒険になるための年齢制限はございません。
ですが冒険者は子供のお遊びでやっていける程甘いものではありません」
「わかっています。
僕は決してお遊びで冒険者になろうとしている訳ではありません」
「……わかりました。
貴方がそこまで言うのであれば、私達にそれを止める事は出来ません。
しかし、何か困った事があったらすぐに我々ギルドに相談してくださいね?」
「わかりました」
「さてと、そう言えばまだ自己紹介をしていませんでしたね。
私はネルウァクス帝国支部で副ギルドマスターをやっております、エメルです」
「僕はルーミエルと言います。
よろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。
ではルーミエルさんこちらをどうぞ」
そう言って差し出されたのは黒の鉄板に白で僕の名前が入れられ、枠を銅で細工された一枚のカード。
これはいわゆる冒険者証や冒険者カードと呼ばれるものでしょう。
てか、この人も副ギルドマスターですか……では前回の女性は一体?
まぁ、副ギルドマスターは2人制なのかも知れませんね。
まぁ、そんな事より冒険者カードです!
思っていたよりも作りが凝ってますね。
フッ! 僕の琴線に触れる素晴らしいデザインです!!
それにしても……ああっ、これをこの手で持つ時が来ようとは思っていませんでした。
感動モノですよ!
「こちらが冒険者カードと呼ばれる物です。
身分証にもなりますので、失くさない様にして下さいね。
もし紛失した場合は、再発行にお金がかかりますのでご注意して下さい」
まぁ、取り敢えずこれで身分証を得る事は出来ましたね。
これでいきなり吸血鬼め、とか言って絡まれる事は避けられるでしょう。
「では次にランクについて説明させて頂きます。
まず冒険者カードは上から順にアダマンタイト級・オリハルコン級・ミスリル級・白金級・金級・銀級・銅級と7つの階級に分類されます。
よく言われるSランク冒険者が、アダマンタイト級冒険者に該当します。
ルーミエルさんは銅級ですのでFランクになりますね。
ここまではよろしいですか?」
「はいっ、問題ありません!」
うん、自分でもわかります。
僕は今、かつてない程にテンションが上がってますよ!
だって冒険者ですよ、冒険者! これでテンションが上がら無い筈がありませんよ!!
「では、続けますよ。
ランクを上げるためにはギルド職員の推薦を得る必要があり、Cランク以上では試験に合格する必要があります」
「わかりました。
1つ聞きたいのですが、受ける依頼の制限はないのですか?」
「はい、制限はありません。
ですが、だからと言って身の丈に合わない依頼を受けると命を落とす事になります。
ルーミエルさんも気をつけてくださいね?」
「はい、わかりました」
確かに冒険者になったからと言って調子に乗っていたら死ぬ事になりますからね。
地下迷宮の魔物達のように。
「では、説明はこれでお終いですが。
本当っに、無理をしたらダメですよ! 他の冒険者に何かされたらすぐに我々に相談して下さいね?」
「わかりました」
「では、お時間を取って申し訳ありませんでした。
出口まで送りましょう、こちらです」
そう言って席を立つエメルさんと受付嬢さん……あれ?
「あ、あの、話ってそれだけですか?」
「えっ? そうですけど」
すると、エメルさんは少し驚いたようにそう言いました。
まさか、本当にこれで終わりなのですか? これでは警戒してた僕がバカみたいです……
「あっ、ごめんなさいね。
いきなり奥に呼ばれたら怖いわよね、ごめんなさいね。
悪気は無かったのよ」
「い、いえ」
どうやら、僕が冒険者になると言った事に対して、心配してくれていただけの様ですね。
「色々とありがとうございました」
出口まで送ってくれたエメルさんと受付嬢さんに礼をして冒険者ギルドを後にしました。
う~ん、やっぱり地下で過ごした時間が長かったせいか、前回の事があったからか、人を見る目が鈍っていますね。
けどまぁ、今は冒険者になれたから別にいいでしょう!
これで僕も遂に今日からFランク冒険者です!!
ここで慌ててはいけない。
地球では世界を股にかけて利益を上げる様な奴らと対等以上に渡り合ってきたのだ。
この程度で慌てる訳もない。
「いえ、書類に問題がある訳では無いのでご心配なく」
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書類に問題が無い、イコール……僕自身に問題があるって事じゃないですかっ!
何故バレたのですかっ? 衛兵さんに身分証まで発行してもらったと言うのに……
はっ! くっ、やっぱりこの容姿をどうにかしないと流石に無理がありましたか……しかし、ここで引く訳には行きません!!
ここで動揺を晒せば、自ら自分の正体を自白した様なもの。
ここは落ち着いて完璧に対応して見せるのです! 僕なら出来るはず、地球での経験を思い出せっ!!
「わかりました」
ふっふっふ! やりきりましたよ。
全く動揺を表に出さず、完全に落ち着きを持った声。
どうですか? これが僕の実力です!
ルーミエルは気づいていない。
完璧に隠し切ったと思っていても、実はやり切ったと言う表情が顔に出ていた事を。
そして、それを見ていた周囲の人たちが微笑ましげに彼女を見ている事も……
「ありがとうございます。
ではこちらに」
「はい」
受付嬢さんと秘書? さんの案内についていく為に、椅子から軽く飛び降りて軽やかに着地を決めました。
その際、着ていたこれまた白いワンピースの裾が軽くめくれ上がる。
やっぱり少し動きづらいですね。
因みに、今僕が着ているワンピースはフェルの羽毛の繊維を白く着色し加工した物らしいです。
なんでもそこいらの国にある国宝以上の価値があるとかなんとか……
これも何故か過保護になったオルグイユ達が用意してくれた物です。
あっ! だから帝都に来てから、あんなにも視線を集めていたのでしょうか?
まぁ、伝説にすら語られ、神獣と呼ばれるフェルの羽毛を使ってますからね。
見る人が見ればその価値を見抜く事は容易いでしょう。
なるほど~、どうりで、納得できました!
一人で、うんうんと頷きながらギルド職員の後をついて行く幼女。
そんな彼女の姿を見て、むさ苦しい冒険者ギルド内が、和やかな空気に包まれた。
尤もその事を本人が知る事は無かった……
「はい、果実水でよかったかしら?」
「あっ、ありがとうございます」
「いいえ、こちらから頼んだのですから、この程度当然の事です」
これは一体どう言う事でしょうか?
てっきり前回と同様にギルドマスターの所に連れて行かれると思っていたのですが……通された場所は普通の面談室? みたいな場所でした。
しかも、前回は用意してくれ無かった飲み物を当然と言って出してきますし。
この飲み物も、罠かと一瞬警戒しましたが……どうやら毒は入って無い様ですし。
前回の様に、この部屋の周囲に誰かを待機させている気配は感じません。
つまりは、今僕と相対しているのは最初の受付嬢さんと、出来る秘書風の方の2名のみという事になります。
それはつまり……この2人で僕を拘束、又は倒す自信があるという事に他なら無いのではないでしょうか?
見た感じ受付嬢さんは普通の一般人に見えますが……この秘書さんの方はそれなりの実力者の様ですしね。
「あの……それでお話は?」
「あら、そうだったわ。
あなたの仕草があまりに可愛らしかったモノだから……」
最後の方が小さ過ぎてなんて言っているのか聞き取れませんでしたが。
ヤバイですね……この人からは、オルグイユと同じ気配がします。
これは注意が必要かもしれません!
「それでお話なのだけれど……本当に冒険者になるつもりですか?」
「えっ? そうですけど」
全く今更何故そんな事を……まさかっ、これは僕を油断させるための策略! しかし、気付いてしまえばなんて事はありません。
「ハッキリ言って、辞めておいた方がいいですよ。
そもそも、冒険者なんてむさ苦しい下品な男ばかりです!
貴女のような可憐な少女が……幼女がその中に入ればどうなる事か!!
……すみません、少し取り乱しました」
「い、いえ、お気になさらずに」
「それに冒険者は常に死の危険が付いて回る仕事です。
少し厳しい事を言うようですが、確かに冒険になるための年齢制限はございません。
ですが冒険者は子供のお遊びでやっていける程甘いものではありません」
「わかっています。
僕は決してお遊びで冒険者になろうとしている訳ではありません」
「……わかりました。
貴方がそこまで言うのであれば、私達にそれを止める事は出来ません。
しかし、何か困った事があったらすぐに我々ギルドに相談してくださいね?」
「わかりました」
「さてと、そう言えばまだ自己紹介をしていませんでしたね。
私はネルウァクス帝国支部で副ギルドマスターをやっております、エメルです」
「僕はルーミエルと言います。
よろしくお願いします」
「はい、こちらこそよろしくお願いします。
ではルーミエルさんこちらをどうぞ」
そう言って差し出されたのは黒の鉄板に白で僕の名前が入れられ、枠を銅で細工された一枚のカード。
これはいわゆる冒険者証や冒険者カードと呼ばれるものでしょう。
てか、この人も副ギルドマスターですか……では前回の女性は一体?
まぁ、副ギルドマスターは2人制なのかも知れませんね。
まぁ、そんな事より冒険者カードです!
思っていたよりも作りが凝ってますね。
フッ! 僕の琴線に触れる素晴らしいデザインです!!
それにしても……ああっ、これをこの手で持つ時が来ようとは思っていませんでした。
感動モノですよ!
「こちらが冒険者カードと呼ばれる物です。
身分証にもなりますので、失くさない様にして下さいね。
もし紛失した場合は、再発行にお金がかかりますのでご注意して下さい」
まぁ、取り敢えずこれで身分証を得る事は出来ましたね。
これでいきなり吸血鬼め、とか言って絡まれる事は避けられるでしょう。
「では次にランクについて説明させて頂きます。
まず冒険者カードは上から順にアダマンタイト級・オリハルコン級・ミスリル級・白金級・金級・銀級・銅級と7つの階級に分類されます。
よく言われるSランク冒険者が、アダマンタイト級冒険者に該当します。
ルーミエルさんは銅級ですのでFランクになりますね。
ここまではよろしいですか?」
「はいっ、問題ありません!」
うん、自分でもわかります。
僕は今、かつてない程にテンションが上がってますよ!
だって冒険者ですよ、冒険者! これでテンションが上がら無い筈がありませんよ!!
「では、続けますよ。
ランクを上げるためにはギルド職員の推薦を得る必要があり、Cランク以上では試験に合格する必要があります」
「わかりました。
1つ聞きたいのですが、受ける依頼の制限はないのですか?」
「はい、制限はありません。
ですが、だからと言って身の丈に合わない依頼を受けると命を落とす事になります。
ルーミエルさんも気をつけてくださいね?」
「はい、わかりました」
確かに冒険者になったからと言って調子に乗っていたら死ぬ事になりますからね。
地下迷宮の魔物達のように。
「では、説明はこれでお終いですが。
本当っに、無理をしたらダメですよ! 他の冒険者に何かされたらすぐに我々に相談して下さいね?」
「わかりました」
「では、お時間を取って申し訳ありませんでした。
出口まで送りましょう、こちらです」
そう言って席を立つエメルさんと受付嬢さん……あれ?
「あ、あの、話ってそれだけですか?」
「えっ? そうですけど」
すると、エメルさんは少し驚いたようにそう言いました。
まさか、本当にこれで終わりなのですか? これでは警戒してた僕がバカみたいです……
「あっ、ごめんなさいね。
いきなり奥に呼ばれたら怖いわよね、ごめんなさいね。
悪気は無かったのよ」
「い、いえ」
どうやら、僕が冒険者になると言った事に対して、心配してくれていただけの様ですね。
「色々とありがとうございました」
出口まで送ってくれたエメルさんと受付嬢さんに礼をして冒険者ギルドを後にしました。
う~ん、やっぱり地下で過ごした時間が長かったせいか、前回の事があったからか、人を見る目が鈍っていますね。
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