最強幼女は惰眠を求む! 〜神々のお節介で幼女になったが、悠々自適な自堕落ライフを送りたい〜

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第2章 幼女誕生編

25話 だってカッコいいですからね!!

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 さて、単に巨大組織を作ると言っても、無から有は生み出せません。

 つまり!  何が言いたいのかと言いますと!!  
 金です。
 作り上げた組織を運営するための資金がある程度必要なのです。

 日本であれば企業を立ち上げる場合、銀行に資金を借りるもの。
 しかし、果たしてこの世界に銀行なんて言う制度があるのだろうか?

 この世界、アニクスは科学の力で文明を発展させた地球とは違い、魔法によって文化が構成されている世界です。
 それに帝都を見ている限り、単純な技術は地球に遠く及ば無いでしょう。

 まぁ、そこに魔法と言うイレギュラーが関与するので一概には何とも言えませんが。
 見たところ、この世界は異世界ファンタジーの定番テンプレである中世ヨーロッパ程度の文明のようです。

 テンプレが違っていたら、それはそれで面白かったでしょうが……やはり俺としては忠実にテンプレが遵守されていて何よりです。

 話がかなり逸れてしまいましたが、結局何を言いたいのかというと……資金源がありません。
 無一文です。

 さっき3人に金さえあれば大抵のことができるなんて言っても現実はこれです。
 帝都で魔物の素材を得ることができていれば多少の資金はあったのですが……

 まぁ、今はそんな事どうでもいいでしょう。資金の事に関しては、幾らでもやりようはあります。

 正体を隠して魔物の素材を売ってもいいですし、裏の世界の住人に流してもいい。
 やりたくはありませんが何処かの国に犠牲になってもらう、なんて方法もあります。

 まぁ、最後のは今の俺達の戦力では不可能でしょうけど……
 でも神獣と呼ばれるフェルとコレールに加えてオルグイユもいるし、案外どうにか……考え無かった事にしましょう。

 資金について問題が無いとすれば、どんな問題があるのか。
 それは簡単です、ズバリ組織名です!

 拠点の問題もありますが、この迷宮を使うつもりなのでそれで解決です。
 よって残る直近の問題は組織の名称という事になります。
 後は、最も大きな問題が一つ……

「フェル、そろそろ降りてもらっていいですか?」

 そう、その問題とは……俺の膝の上に我が物顔で踏ん反り返っているフェルさん。
 苦笑いを浮かべる俺をチラッと一瞥し……

「やだ」

 と、一言だけ発して小さく首横に振りました。
 因みに、このやり取りは今ので5回目です。

 何故こんな事になっているのかというと、時間は少し遡り。
 この迷宮を出て燃やされた草原にいた時です。

 俺も忘れていたのですが、フェルは忘れてはいなかった。
 そう、あの楽しい昼寝タイムに、ネコになったオルグイユを俺が抱いていた事に起因します。

 確かにあの時、フェルにまた今度ですって言いましたが……まさか本当にこうなるとは思っていませんでした。
 まぁ、そんな訳でフェルは今、俺の膝の上でご満悦という訳です。

 そんなフェルをコレールは微笑ましそうに眺め、オルグイユは軽く苦笑いを浮かべながら見ています。

 まぁ、フェルもそのうち満足して退いてくれるでしょう。
 それよりも今は組織の名称を決める必要があります。

「じゃあフェルはそのままで、それじゃあ会議を始めるとしましょう。
 議題は結成する組織の名称です」

 その言葉を聞いて、フェルが完全に脱力したように俺にもたれかかってくる。
 無理やり退かせられると思って警戒していたようですね。
 まぁ、そんな事はしませんけどね。

 という訳で始まった会議……と言っても屋敷のリビングで、お茶を飲みながらソファーで話しているだけですけどね。

「因みに帝都を去る時にギルドマスターに名乗った名前、ノワールを組織での俺の名前とするつもりです。
 本名を使えば、直接表舞台に立つつもりは無いとは言え、どこかでバレる恐れがありますからね」

「成る程、では組織の名称も主様の偽名に準ずるものが良さそうですね」

「確かにそれもいいかと思いますが、ノワールと言うと黒と言う意味だそうです。
 色に準ずる名称だと多少ありきたりでは?」

 確かにオルグイユの言う通りかもしれません。
 まぁ色を基にした名称の組織がこの世界にあるのかは不明ですが。

 けどまぁ、世界にはファンタジーお馴染みの冒険者ギルドを始め様々なギルドがありますからね。 
 色を使った名称の組織もそれなりにあると考えるべきでしょう。

 まぁ、だからと言ってどうと言う事も特に無いですけど。
 俺のイメージで言えば◯◯の庭とかありそうです。

 う~ん、ノワールを基に考えても庭、ガーデンに繋げるのは難しいですね。
 ダークガーデンとか、黒の庭とかも良いと思いますけど、流石に単純すぎてなんか嫌です。
 せっかくならもっと凝ったカッコいい名称がいいです。

「俺としては七つの大罪を基にしたいですね」

 コレールとオルグイユの名前も七つの大罪に関連して付けましたし。
 組織の幹部として名を連ねるであろう3人の名前に関連深い七つの大罪を基に作るのが一番いいと思います。

 まぁフェルだけは七つの大罪には関連してませんけど、フェッニックスであるフェルも七つの大罪に関係がありますからね。

 でもそうなってくると、あと4人信頼出来る仲間が欲しいですね。
 まぁそんな存在は早々と居ないでしょうけど。

「申し訳ありません主様、その七つの大罪というのは何の事でしょうか?」

「えっ、コレール知らないんですか?  オルグイユは知ってますか?」

「いえ、永きに渡って生きてきましたが、聞いた事がございません」

 何という事でしょう。
 まさかこの世界に七つの大罪と言う概念が無かったとは知りませんでした。
 異世界モノでは結構定番なのですが……

 けどまぁ、今になって考えてみると当然ですね。
 ここは地球とは別の、全く違った世界なのですから。

「う~ん、七つの大罪とは俺がもといた世界にあった概念の一つです。
 人間を罪に導く可能性があるとされる七つの感情や欲望の事を七つの大罪と言います」

 元々は8つだったとか、内訳が違ったりとか色々あった気がしますが。
 現在は傲慢・憤怒・嫉妬・怠惰・強欲・暴食・色欲の7つだったはずです。

 そして、七つの大罪と対を成す七つの美徳と言うものもありましたけど……影の組織、裏の世界の組織であれば美徳よりも大罪の方がカッコいいです!

 それに、俺は美徳って言うイメージではありませんしね。
 だって自堕落な生活を目標に掲げてますし。
 そう言うのは勇者達に任せておけばいいのです。

「どうですか、世界の裏側で暗躍する組織にいいと思います。
 それに何よりも、カッコいいですからね!」

「素晴らしいアイデアです。
 私に異論はありません、主様の御心のままに」

「私も同様です」

 これでコレール達の同意も取れました。
 さて、先程述べた様にパッと思いつくイメージは〇〇ガーデンか◯◯の庭です。
 でも単純に罪の庭とかは嫌ですね……そもそも俺達は罪人ではありませんしね。

 ここは悪魔で行くとしましょう。
 七つの大罪には悪魔の関連が強いですし、何よりもカッコいいですしね!

「七つの大罪の七大罪はそれぞれに対応する悪魔達が存在するとされています。
 そこからとって悪魔の庭と言うのはどうでしょうか?」

 うん、自分で言ってて、とても厨二チックだと思います。
 でも仕方無いですよね?  だってカッコいいですからね!!

「確かにそれならば、暗躍する組織としてのイメージにも合います。
 それに主様の同郷の者達が、主様と関連付ける事も無いでしょう」

「ふふふ、各国からすれば我々は確かに悪魔の様な存在になるかもしれませんし、いいのではないでしょうか」

 そう言って2人で頷くコレールとオルグイユ。
 流石ですね、組織が及ぼすであろう影響までもを考慮するとは。

 悪魔の庭、デモンガーデンですか……う~ん何と言うか語呂が気に入りませんね。
 もうこの際です。
 一度、ガーデンと庭から離れた方がいいかもしれません。

 となると悪魔と関連性のある言葉でカッコイイ感じのもので……ここは一度原点に帰って考えるべきですね。

 悪魔と言えば、夢の中に出て来て悪魔を見せるなどと言う話もありますし。
 悪夢、ナイトメア……素晴らしい響きですっ!!
 これしかありませんよね?  これで決定ですよね!?

「では、まだ構成員もいませんが……ここに我々、ナイトメアを結成しようと思います!」

「御身の御心のままに」

「かしこまりました」

 コレールとオルグイユの2人が恭しく礼をする。
 2人の目が微笑ましいものを見るような優しいものになっていた気がしましたけど……まぁ気にしないでおきましょう。

「フェルもそれでいいですか?  あれ?」

 膝の上に乗ってふんぞり返り、俺にもたれかかっていたフェルさんは……いつの間にか小さな寝息を立てていました。

「う~ん、まぁ仕方無いですね。
 今日は色々とありましたからね」

 フェルの赤い髪を撫でてあげると、心なしか気持ちよさそうな表情に。
 うん、いきなり迷宮に追放された時は見返してやるって思いましたけど……感謝しなければなら無いかもしれませんね。

 あの国王が、俺を見せしめに追放してくれなかったら今の俺は無かったでしょうからね。
 さてと……明日からの暗躍が楽しみですね!!
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