22 / 375
第2章 幼女誕生編
22話 勿論憶えてますよ!
しおりを挟む
何故こうなってしまったのでしょうか?
ただ帝都に入ろうとしただけなのに、どうしてこんな大事になってしまうのかと、揺れ動く馬車の中から窓の外を眺めながら黄昏て思う。
だってそうでしょう、たかがワンちゃん1匹出しただけですよ!?
それなのに何故か冒険者ギルドに連行されているし。
そのせいで多大なる注目を受けるしで、もう嫌になってしまうと言うものです。
俺は目立つつもりなんて全く無いと言うのに、まぁ商人として目立つのはいいでしょう。
その方が集客効果も見込めますからね。
しかしです、決してこのような形で目立つ事は望んでいません。
もし俺の存在が公にでもなったら面倒な事になる事が目に見えていますからね。
勇者召喚を行なったアレサレム王国側からしてみれば死んだと思っていた俺が生きている事は面白く無いでしょう。
仮にあの王達が俺に、「よくぞ生きて戻った、我々はお前を歓迎しよう」なんて言われたに日には流石の俺もキレてしまうかもしれませんしね。
はぁ、面倒ですね……聞く話によると、あのワンちゃん達は群れで行動する魔物のようですし。
田舎から出てきた設定の俺が、たまたま仕留めたなんて言っても信じてもらえないでしょう。
もしかしたら、亜空庫を使えると言う事で納得してもらえるかもしれませんけど……それだと残りの群れはどうしたのか? と言う事になりますし。
どこでコイツを狩ったのか? と言う質問にも答えようがありませんからね。
まぁ、この世界の人々に通じるのかは不明ですが、俺には黙秘権というものがあります。
最悪の場合は……やりたくは無いけど逃げる手段はあります。
まぁ、そうなるともう後戻りはできないので、したくは無いですけど。
とは言え、この手は目くらましにもなりますからね。
ここで俺が何らかの問題を起こしても後々問題にはなら無いので、楽と言えばそれまでなのですが……
流石に俺の矜持がそれを邪魔します。
この手段は本当にどうしようも無くなるまで、心の内に閉まっておく事にしましょう。
さて、そんな事を考えているうちに目的地に到着したようで、軽く揺れていた馬車が停止する。
「こちらへ」
そう受付嬢さんに言われるまま馬車から降りると、そこには立派な作りの建物。
見た目の雰囲気から、貴族の屋敷などでは無い事は明らか。
では何なのか? それは勿論、冒険者達が集う場所、つまりは冒険者ギルド!!
何と俺の心を擽る素晴らしき響き! これぞファンタジー、これぞ異世界!!
「何をやっているのですか!
早くこちらに来てください!!」
しかし、そんな感動の余韻に浸っている俺に冷たく現実に引き戻す声が浴びせられる。
それに応じてオルグイユとコレールから少し苛立ちと殺気が漏れましたが……気付かれてい無い様なので良しとしましょう。
尤も、2人には後ほどお説教をする必要があるかもしれませんけど。
因みにフェルは馬車の揺れでうとうとていたので、今は俺の服の裾を握って反対の手で目を擦っている。
フェルは超絶美少女ですからね。
うん、凄まじき破壊力です。
こんなの現役ヒキニートの俺にすれば卒倒モノですが、侮るなかれ。
フッフッフ、俺だって成長するのです。
地下迷宮でフェルと過ごした日々のおかげで、この程度では俺動揺もしない程に成長しました!!
地球にいた時からは想像もでき無い程の成長です。
機嫌が悪くなった2人を諌めつつ、受付嬢の後を黙ってついて行くと、応接室だと思われる部屋に通された。
暫く待っていると、初老の男が入って来る。
ずっしりとした体格で筋肉隆々。
その鋭い目には確かな力強さが宿っているのが見てとれる。
この人、あの草原にいた大多数の騎士達より強そうですね。
あの騎士達がこの世界に於ける高水準だとは流石に思え無かったですが……これで確信が持てました。
「ヘルハウンドを仕留めたと言うのは君か?」
「えぇ、どうやらそうみたいです」
厳しい表情で俺を一瞥し、少し驚いたように目を開く男に軽く微笑みを浮かべながらそう答える。
さて、今この人が驚いたのはどっちに対してでしょうか?
ヘルハウンドを仕留めたのが俺みたいな子供だった事か、はたまた部屋にいるのが俺だけだからでしょうか?
因みに俺は今仮面をつけています。
今更かも知れませんが、今後の降り掛かるであろう様々な可能性を考えると……まぁ、これは必須です。
「私の名はギルクス。
現在はここで冒険者ギルド、ネルウァクス帝国帝都支部のギルドマスターをしている」
「俺はコウキと言います」
「しかし驚いたな……ヘルハウンドが討伐されたと聞いた時もそうだが、来てみれば討伐者はまだ少年ときた。
それに彼女の報告では君の他に3人いたはずなのだが?」
ギルドマスターは俺の言動を見逃さないと言った様子で、スッと目を細める。
観察されているのがよくわかる、不躾な視線ですね。
俺が若いからと言って舐めているのでしょうか?
こんなあからさまな、観察する視線に気付かないはずも無いと言うのに。
「彼女とは、俺をここまで案内したあの人ですか?」
「そうだ」
「では、その人の勘違いか何かでは無いでしょうか?
この部屋に案内されたのは俺1人だけですからね」
「それはあり得ない」
「何故そう言い切れるのです?」
「彼女がこの支部の副ギルド長を務める者だからだ。
そんなミスは犯さない」
まさか、あの受付嬢が副ギルド長だったとは。
この人も信頼を置いている人のようですし、俺の言い分を聞き入れる事は無さそうですね。
まぁ、苦しい言い訳なのはわかりきっていた事です。
あの外壁付近では俺達4人の姿を見た人が多数いますし、何故か俺達は目立っていたので証言はすぐに取れるでしょう。
まぁ、だからと言って、3人の事を紹介するつもりはありませんけど。
「まぁ、貴方があの人を信頼している事はわかりましたが、俺には何の事なのかわかりませんね」
俺にはこの場で顔バレしても、どうにかする手段が一つだけありますが……フェル達は厳しいでしょう。
ここで3人を見られる訳にはいきません。
「ふむ、まぁいい。
君が何を隠そうとしているのか、今は追求しないでおこう。
それよりも今はヘルハウンドだ」
口ではそう言いながらも、俺の内面を探ろうとする視線を向けて来るギルドマスターに軽く肩を竦める。
「一つ聞いてもよろしいですか?」
「何だ?」
「何故俺が態々、ヘルハウンドについて話さなければならないのですか?」
するとギルドマスターは虚をつかれた様に目を見開く。
全く何をそんなに驚く事があるのでしょうか?
「何だと?」
「ですから、俺が貴方にヘルハウンドについての情報を提供する事で俺に何か利益はあるのですか? と聞いているのです」
「ふざけるな!
ヘルハウンドは一体ですら厄介で、群れで行動する魔物だ。
村や街が簡単に壊滅する事態に発展しかねないのだぞ!!」
「そんな事はわかっています。
しかし、それは俺が貴方達に教える理由にはなりません。
それとも、貴方は一般市民に命令できる権利でも持っているのですか?」
「そんな事は関係無い、人命がかかっているのだ。
貴様にはそんな事もわからないのか!」
「いえいえ、その程度の事は勿論理解していますよ。
ですがそれは、俺がヘルハウンドについて話さなければならない事にはなりませんよね?」
「き、貴様には人の心や道徳心と言うものは無いのか?」
「何を言うのですか、俺はその情報に対しての対価を求めているだけですよ?
尤も、貴方が言う道徳心なんて言う物は生きる為に捨てましたけどね」
俺の目を見てギルドマスターが息を飲む。
これで引き下がってくれたらいいのですけどね。
まぁ、非道に思うかもしれませんが、実際にはヘルハウンドなんて何処にも出没していないのだから誰も殺される事は無い。
そもそも俺は地上に出てからヘルハウンドに遭遇していませんし、適当に答えるとボロを出す可能性もあります。
だからこれで、諦めてくれると楽なのですが……まぁ諦めてはくれないでしょうね。
はぁ、どうしましょうか?
最善はこのまま向こうが引き下がってくれる事、次いで実力行使でしょうか?
最悪なのは、俺が持ちかけているこの交渉にギルドマスターが乗ってくる事です。
そうなったら掛け金を際限無く釣り上げていくしか無いのですが……そんな事をすれば俺の評判は死んだも同然ですからね。
ギルド側が実力行使に出てくれれば、正当防衛が成り立つので、俺としてはラッキーですね。
ギルドマスターを叩きのめした後、副ギルド長と一緒に少し記憶を改ざんさせてもらうだけで穏便にすみます。
「どうしても答える気は無いのだな?」
「はい、貴方が相応の対価を提示しないと話になりません。
俺は商人なので情報は高価な商品と同じなのですよ」
「そうか残念だ。
非道な考えしか持てない貴様はやはり吸血鬼と言う事か」
「は?」
えっと、何を言っているのかなこの人は?
吸血鬼? 誰が、俺が?
あっ、確かに今の俺は吸血鬼でしたね……べ、別に忘れていた訳ではありませんからね! 勿論憶えていますよ!
「とぼけても無駄だ。
現身の水晶をどうやって誤魔化したのかは知らないが、その白い肌に赤い瞳、この私を騙せると思うな」
「えっと、本当に何を仰っているのかわからないのですが。
そもそも吸血鬼は日光の下に出られないのでは無いのですか?
冒険者ギルドのギルドマスターである貴方がそんな事も知ら無いなんて事ありませんよね?」
「ふん白々しい、現身の水晶を誤魔化せたのだ、何らかの方法があったのだろう。
しかし、私の目は誤魔化せんぞ。
恨むならばここで私に出会った自身を
恨む事だ」
ギルドマスターのその言葉と共に、部屋の外に待機していた人達が部屋の中に雪崩れ込んでくる。
「茶番は終わりだ、悪しき吸血鬼よ」
部屋に入って来た部下から受け取った大剣を俺に向けながら、ギルドマスターは高らかに宣言した。
ただ帝都に入ろうとしただけなのに、どうしてこんな大事になってしまうのかと、揺れ動く馬車の中から窓の外を眺めながら黄昏て思う。
だってそうでしょう、たかがワンちゃん1匹出しただけですよ!?
それなのに何故か冒険者ギルドに連行されているし。
そのせいで多大なる注目を受けるしで、もう嫌になってしまうと言うものです。
俺は目立つつもりなんて全く無いと言うのに、まぁ商人として目立つのはいいでしょう。
その方が集客効果も見込めますからね。
しかしです、決してこのような形で目立つ事は望んでいません。
もし俺の存在が公にでもなったら面倒な事になる事が目に見えていますからね。
勇者召喚を行なったアレサレム王国側からしてみれば死んだと思っていた俺が生きている事は面白く無いでしょう。
仮にあの王達が俺に、「よくぞ生きて戻った、我々はお前を歓迎しよう」なんて言われたに日には流石の俺もキレてしまうかもしれませんしね。
はぁ、面倒ですね……聞く話によると、あのワンちゃん達は群れで行動する魔物のようですし。
田舎から出てきた設定の俺が、たまたま仕留めたなんて言っても信じてもらえないでしょう。
もしかしたら、亜空庫を使えると言う事で納得してもらえるかもしれませんけど……それだと残りの群れはどうしたのか? と言う事になりますし。
どこでコイツを狩ったのか? と言う質問にも答えようがありませんからね。
まぁ、この世界の人々に通じるのかは不明ですが、俺には黙秘権というものがあります。
最悪の場合は……やりたくは無いけど逃げる手段はあります。
まぁ、そうなるともう後戻りはできないので、したくは無いですけど。
とは言え、この手は目くらましにもなりますからね。
ここで俺が何らかの問題を起こしても後々問題にはなら無いので、楽と言えばそれまでなのですが……
流石に俺の矜持がそれを邪魔します。
この手段は本当にどうしようも無くなるまで、心の内に閉まっておく事にしましょう。
さて、そんな事を考えているうちに目的地に到着したようで、軽く揺れていた馬車が停止する。
「こちらへ」
そう受付嬢さんに言われるまま馬車から降りると、そこには立派な作りの建物。
見た目の雰囲気から、貴族の屋敷などでは無い事は明らか。
では何なのか? それは勿論、冒険者達が集う場所、つまりは冒険者ギルド!!
何と俺の心を擽る素晴らしき響き! これぞファンタジー、これぞ異世界!!
「何をやっているのですか!
早くこちらに来てください!!」
しかし、そんな感動の余韻に浸っている俺に冷たく現実に引き戻す声が浴びせられる。
それに応じてオルグイユとコレールから少し苛立ちと殺気が漏れましたが……気付かれてい無い様なので良しとしましょう。
尤も、2人には後ほどお説教をする必要があるかもしれませんけど。
因みにフェルは馬車の揺れでうとうとていたので、今は俺の服の裾を握って反対の手で目を擦っている。
フェルは超絶美少女ですからね。
うん、凄まじき破壊力です。
こんなの現役ヒキニートの俺にすれば卒倒モノですが、侮るなかれ。
フッフッフ、俺だって成長するのです。
地下迷宮でフェルと過ごした日々のおかげで、この程度では俺動揺もしない程に成長しました!!
地球にいた時からは想像もでき無い程の成長です。
機嫌が悪くなった2人を諌めつつ、受付嬢の後を黙ってついて行くと、応接室だと思われる部屋に通された。
暫く待っていると、初老の男が入って来る。
ずっしりとした体格で筋肉隆々。
その鋭い目には確かな力強さが宿っているのが見てとれる。
この人、あの草原にいた大多数の騎士達より強そうですね。
あの騎士達がこの世界に於ける高水準だとは流石に思え無かったですが……これで確信が持てました。
「ヘルハウンドを仕留めたと言うのは君か?」
「えぇ、どうやらそうみたいです」
厳しい表情で俺を一瞥し、少し驚いたように目を開く男に軽く微笑みを浮かべながらそう答える。
さて、今この人が驚いたのはどっちに対してでしょうか?
ヘルハウンドを仕留めたのが俺みたいな子供だった事か、はたまた部屋にいるのが俺だけだからでしょうか?
因みに俺は今仮面をつけています。
今更かも知れませんが、今後の降り掛かるであろう様々な可能性を考えると……まぁ、これは必須です。
「私の名はギルクス。
現在はここで冒険者ギルド、ネルウァクス帝国帝都支部のギルドマスターをしている」
「俺はコウキと言います」
「しかし驚いたな……ヘルハウンドが討伐されたと聞いた時もそうだが、来てみれば討伐者はまだ少年ときた。
それに彼女の報告では君の他に3人いたはずなのだが?」
ギルドマスターは俺の言動を見逃さないと言った様子で、スッと目を細める。
観察されているのがよくわかる、不躾な視線ですね。
俺が若いからと言って舐めているのでしょうか?
こんなあからさまな、観察する視線に気付かないはずも無いと言うのに。
「彼女とは、俺をここまで案内したあの人ですか?」
「そうだ」
「では、その人の勘違いか何かでは無いでしょうか?
この部屋に案内されたのは俺1人だけですからね」
「それはあり得ない」
「何故そう言い切れるのです?」
「彼女がこの支部の副ギルド長を務める者だからだ。
そんなミスは犯さない」
まさか、あの受付嬢が副ギルド長だったとは。
この人も信頼を置いている人のようですし、俺の言い分を聞き入れる事は無さそうですね。
まぁ、苦しい言い訳なのはわかりきっていた事です。
あの外壁付近では俺達4人の姿を見た人が多数いますし、何故か俺達は目立っていたので証言はすぐに取れるでしょう。
まぁ、だからと言って、3人の事を紹介するつもりはありませんけど。
「まぁ、貴方があの人を信頼している事はわかりましたが、俺には何の事なのかわかりませんね」
俺にはこの場で顔バレしても、どうにかする手段が一つだけありますが……フェル達は厳しいでしょう。
ここで3人を見られる訳にはいきません。
「ふむ、まぁいい。
君が何を隠そうとしているのか、今は追求しないでおこう。
それよりも今はヘルハウンドだ」
口ではそう言いながらも、俺の内面を探ろうとする視線を向けて来るギルドマスターに軽く肩を竦める。
「一つ聞いてもよろしいですか?」
「何だ?」
「何故俺が態々、ヘルハウンドについて話さなければならないのですか?」
するとギルドマスターは虚をつかれた様に目を見開く。
全く何をそんなに驚く事があるのでしょうか?
「何だと?」
「ですから、俺が貴方にヘルハウンドについての情報を提供する事で俺に何か利益はあるのですか? と聞いているのです」
「ふざけるな!
ヘルハウンドは一体ですら厄介で、群れで行動する魔物だ。
村や街が簡単に壊滅する事態に発展しかねないのだぞ!!」
「そんな事はわかっています。
しかし、それは俺が貴方達に教える理由にはなりません。
それとも、貴方は一般市民に命令できる権利でも持っているのですか?」
「そんな事は関係無い、人命がかかっているのだ。
貴様にはそんな事もわからないのか!」
「いえいえ、その程度の事は勿論理解していますよ。
ですがそれは、俺がヘルハウンドについて話さなければならない事にはなりませんよね?」
「き、貴様には人の心や道徳心と言うものは無いのか?」
「何を言うのですか、俺はその情報に対しての対価を求めているだけですよ?
尤も、貴方が言う道徳心なんて言う物は生きる為に捨てましたけどね」
俺の目を見てギルドマスターが息を飲む。
これで引き下がってくれたらいいのですけどね。
まぁ、非道に思うかもしれませんが、実際にはヘルハウンドなんて何処にも出没していないのだから誰も殺される事は無い。
そもそも俺は地上に出てからヘルハウンドに遭遇していませんし、適当に答えるとボロを出す可能性もあります。
だからこれで、諦めてくれると楽なのですが……まぁ諦めてはくれないでしょうね。
はぁ、どうしましょうか?
最善はこのまま向こうが引き下がってくれる事、次いで実力行使でしょうか?
最悪なのは、俺が持ちかけているこの交渉にギルドマスターが乗ってくる事です。
そうなったら掛け金を際限無く釣り上げていくしか無いのですが……そんな事をすれば俺の評判は死んだも同然ですからね。
ギルド側が実力行使に出てくれれば、正当防衛が成り立つので、俺としてはラッキーですね。
ギルドマスターを叩きのめした後、副ギルド長と一緒に少し記憶を改ざんさせてもらうだけで穏便にすみます。
「どうしても答える気は無いのだな?」
「はい、貴方が相応の対価を提示しないと話になりません。
俺は商人なので情報は高価な商品と同じなのですよ」
「そうか残念だ。
非道な考えしか持てない貴様はやはり吸血鬼と言う事か」
「は?」
えっと、何を言っているのかなこの人は?
吸血鬼? 誰が、俺が?
あっ、確かに今の俺は吸血鬼でしたね……べ、別に忘れていた訳ではありませんからね! 勿論憶えていますよ!
「とぼけても無駄だ。
現身の水晶をどうやって誤魔化したのかは知らないが、その白い肌に赤い瞳、この私を騙せると思うな」
「えっと、本当に何を仰っているのかわからないのですが。
そもそも吸血鬼は日光の下に出られないのでは無いのですか?
冒険者ギルドのギルドマスターである貴方がそんな事も知ら無いなんて事ありませんよね?」
「ふん白々しい、現身の水晶を誤魔化せたのだ、何らかの方法があったのだろう。
しかし、私の目は誤魔化せんぞ。
恨むならばここで私に出会った自身を
恨む事だ」
ギルドマスターのその言葉と共に、部屋の外に待機していた人達が部屋の中に雪崩れ込んでくる。
「茶番は終わりだ、悪しき吸血鬼よ」
部屋に入って来た部下から受け取った大剣を俺に向けながら、ギルドマスターは高らかに宣言した。
21
お気に入りに追加
2,156
あなたにおすすめの小説

俺は善人にはなれない
気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る
神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】
元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。
ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、
理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。
今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。
様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。
カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。
ハーレム要素多め。
※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。
よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz
他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。
たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。
物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz
今後とも応援よろしくお願い致します。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる