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第25章 女神降臨編

448話 教えて差し上げに

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「アナ、スタシア様……?」

 跪き、頭を垂れたまま女神アナスタシアを見上げて、ミカエルが唖然と呟く。
 それはもう目を見開いて愕然と。

 さっきまでのラスボス感というか、余裕と自信に溢れる態度からはかけ離れた様子だけど……そんな反応になる気持ちもわかる。
 だって……

「うふっ、どうかしたのですか?
 私の可愛いミカエル」

 女神アナスタシアのこの豹変ぶりっ!
 急に狂ったように笑い出したと思ったら、綺麗な金色の髪が真っ黒に……それもどこか濁ったような黒に染まったし。
 なにより!  纏っている雰囲気が全く違うっ!!

 さっきまでは清廉、といえばちょっと違うけど。
 どこか神聖で澄んだ感じの、優しさを感じさせる雰囲気だったのに!
 今は邪悪というか、狂ったような狂気を感じるっ!!

 イメージとしてはさっきまでが天使で、今が悪魔って感じだけど……七魔公の方々をはじめとする、私が出会ったことがある本当の悪魔族デーモンの皆様とも違う。

「これは……」

 どちらかというと、頭のネジが外れて狂った人。
 そう、いうならば……ちょっと違うけど乙女ゲームの中の、嫉妬に狂った悪役令嬢である私に近い。

「い、いえ、ただ……」

「あぁ、私のこの姿に驚いたのですね?
 うふふっ、驚かせてしまってごめんなさい、なんでもないから気にしないでください」

「か、かしこまりました」

 いやぁ~、さすがに気にするなってのは無理があると思うんですけど……

「ですが……ミカエル、それにウリエル、ガリエル、ファエル。
 4人とも、本当によくやってくれました」

「とんでもありませんっ!
 我らは貴女様にお仕えする者!  我らが主人にして、この世界の真なる神であらせられる貴女様を、忌々しき者共の手からお救いするのは当然の事でございますっ!!」

 おぉぅ……さっきまでは澄ました顔をして、冷たい視線で私達を見ていたクールな印象のファエルさんが、髪を振り乱して恍惚とした表情を。

「ファエルの言う通りです。
 我々は貴女様にお仕えする身、貴女様を悪き者共からお救いする事こそが我らが使命であり、宿願だったのですから」

 さすがと言うべきかなんと言うべきか、少しは女神アナスタシアの豹変のショックから立ち直ったらしい。
 落ち着いた様子ながらも、どこかファエルと同じく嬉々とした表情を浮かべるミカエルさん。

 他の二人も似たような感じだし、ぶっちゃけ親に褒められて喜んでる子供にしか見えない。
 てか!  この豹変ぶりはもういいのっ!?  もう納得できちゃったのっ!?

「むしろ貴女様をお救いするのに、これほどまでの時間がかかってしまい不甲斐ないばかりです……どうか!  愚かな我らに相応しき罰をっ!!」

「「「罰をっ!!」」」

 うわぁ……話には聞いてたけど、主人である女神アナスタシアに対して従順すぎるというか、天使族エンジェルって本当にこんな感じなんだ。

「そんな事を言わないでください。
 貴方達は私の大切な、可愛い子達なのですから。
 私をあの場所から救い出してくれた事に感謝こそすれ、貴方達を罰するなんてできるはずもありません」

「「「「アナスタシア様っ!!」」」」

 ええっと……なにこの状況?
 会話に割って入っていいのかな?

「うふふっ、それでは行きましょうか」

「えっ」

 行くって、どこに……

「この世界に住むすべての人々に私が……真の神が戻った事を教えて差し上げに」

「ちょっと待っ──」

 なんの予備動作も、予兆もなく本当に一瞬で掻き消えたっ!?

「うそでしょ……」
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