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第24章 世界会議編
422話 世界会議 開幕
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5年に一度、幾人もの王達が歩く白き道。
普段は硬く閉ざされている、巨大な両開きの白い扉を潜り、白き道と呼ばれる廊下を進むと……再び巨大な純白の扉が姿を現す。
もはや封印ともすら呼べるほどに、張り巡らされた無数の結界。
厳重な警備がなされている、第二の扉のさらに奥。
白き道の終着点、そこに広がるは……
「こ、これが5年に一度。
世界会議の初日にのみ、評議会に属する全ての国々の王達が集い、会議の開始を宣言する場所……」
今まで歩んで来た、白き道よりもなお神聖な空気に満ちた空間。
巨大な純白の円卓とそれを囲う無数の席。
そしてその円卓の奥、この空間の最奥。
巨大な円卓を、各国の王達が座る席を見下ろす位置に設置された……神聖なる白亜の玉座。
「美しい……」
この光景に魅せられたかのように、唖然と率直な感想をこぼす若き王の姿に、共に白き道を歩いて来た老王が微笑ましげに笑みを浮かべる。
「えぇ、本当に。
あれが我々、評議会の王達であっても……たとえ四大国の国主達であっても、決して座る事が許されない神座。
主神であらせられる女神、魔法神ティフィア様が座す席」
「しかし、本当に階段すらないとは。
いったいどうやって、魔法神様はあの神座にお座りになられるのか」
「なんでも、資格ある者。
つまりは魔法神ティフィア様が一歩踏み出すと、その歩みに合わせて透明な階段が出現するとか。
まぁ尤も、その伝説を直接目にした者は、もはやこの世に殆ど残っていないのですが」
「今回の会議に出席される王達の中でも、その光景を目にしたのはネフェリル皇帝陛下と大賢者マリア女王陛下。
そして冒険者ギルド協会の総統ガルド様、この御三方だけですからね」
そうしてまた、神聖な光景に見入りそうになり……
「おっと、いつまでもここに居ては後続の皆の邪魔になってしまう。
そろそろ我ら席に着きましょうか」
老王が朗らかな笑みを浮かべて促す。
「そ、そうですね。
申し訳ありません」
「いえいえ、お気になさらず。
それよりも……そろそろ、おいでになられますぞ」
「おいでに……とは、いったい?」
「その伝説を目にした御三方を含めた、四大国の王達と特に影響力の強い主要国の王達がです」
老王がそういった瞬間──円卓の間に足踏み入れてきた者達の姿に、円卓の間が静まり返る。
「あはは……流石にちょっと気まずいですね」
ヴァリエ騎士王国が国王。
白を基調とした騎士服に身を包み、金の髪に青い瞳をした男装の麗人。
騎士王アリアナ・キューレ・ヴァリエ。
「えぇ、皆さんをお待たせしてしまったようで、心苦しいです」
教国こと、ティフィア教国が教皇。
白く長い髭を撫でながら、申し訳なさそうに眉を下げる、優しげな面持ちの老人。
教皇カロン・レ・ヴィル
「ったく、だから先に行って待ってようって、提案したのによ」
冒険者ギルド協会を統べる総統。
鍛え上げられた肉体を持ちながらも、苦労人のようにやれやれとため息をつく男。
冒険者ギルド協会総統ガルド・アルバーン
「な、なぜ私まで……」
そんな面々と共に、若干頬を引き攣らせながらこめかみを抑える金髪碧眼の美丈夫。
イストワール王国が国王エルヴァン・エル・イストワール。
「まぁまぁ、細かいことはいいじゃない!」
イストワール王の肩を叩きながら、楽しげに笑う真紅の髪に金色の瞳をした美女。
四大国が一角、商業と流通の中心地にして商人の聖地と呼ばれる海洋商業国家アクムス王国を統べる赤き王。
女王アルバ・ジョン・アクムス。
「アルバさん、イストワール王が困っているわよ」
苦笑いを浮かべる、艶やかな黒い髪に金色の瞳をした妖艶な美女。
四大国が一角、魔導学園都市王国を統べる女王にして、伝説の英雄が1人。
魔導学園都市王国が女王、大賢者マリア。
「あはは、まぁそれでこそアルバちゃんだからね」
そう言って微笑ましそうな目で微笑む、黒髪黒目の美青年。
四大国が一角にて超大国と称される、ネフェリル帝国を統べる伝説の英雄が1人。
ネフェリル帝国が国王、現人神ショウ・アラキ・アクムス。
「お前なぁ、もうちょっとアイツの事も考えてやれよ。
こんな場所でちゃん呼びはねぇだろ」
呆れたように苦笑いを浮かべる、短い金色の髪と金の瞳、鍛え上げられた肉体。
その場にいるだけで他者を圧倒する、まさに覇王といった風貌の美丈夫。
人類国家と国交を持ち、強国として知られる獣王国ビスバロニスを統べる獣王であり、不可侵存在として恐れ畏れられる魔王。
八魔王が一柱、獣魔王レオン。
そして……
「それでは……」
全員が席に着いたことを見届けてから、口を開いたら金色の髪に淡い青色が混じったような綺麗な銀色の瞳をした美青年。
「これより、世界会議を開始します。
皆さん、存分に語り合うとしましょう」
四大国が一角にして、この世界会議の主催国。
ネフェリル帝国と並んで超大国と称される、レフィア神聖王国が国王ルフィール・セア・レフィアが会議の始まりを告げた。
普段は硬く閉ざされている、巨大な両開きの白い扉を潜り、白き道と呼ばれる廊下を進むと……再び巨大な純白の扉が姿を現す。
もはや封印ともすら呼べるほどに、張り巡らされた無数の結界。
厳重な警備がなされている、第二の扉のさらに奥。
白き道の終着点、そこに広がるは……
「こ、これが5年に一度。
世界会議の初日にのみ、評議会に属する全ての国々の王達が集い、会議の開始を宣言する場所……」
今まで歩んで来た、白き道よりもなお神聖な空気に満ちた空間。
巨大な純白の円卓とそれを囲う無数の席。
そしてその円卓の奥、この空間の最奥。
巨大な円卓を、各国の王達が座る席を見下ろす位置に設置された……神聖なる白亜の玉座。
「美しい……」
この光景に魅せられたかのように、唖然と率直な感想をこぼす若き王の姿に、共に白き道を歩いて来た老王が微笑ましげに笑みを浮かべる。
「えぇ、本当に。
あれが我々、評議会の王達であっても……たとえ四大国の国主達であっても、決して座る事が許されない神座。
主神であらせられる女神、魔法神ティフィア様が座す席」
「しかし、本当に階段すらないとは。
いったいどうやって、魔法神様はあの神座にお座りになられるのか」
「なんでも、資格ある者。
つまりは魔法神ティフィア様が一歩踏み出すと、その歩みに合わせて透明な階段が出現するとか。
まぁ尤も、その伝説を直接目にした者は、もはやこの世に殆ど残っていないのですが」
「今回の会議に出席される王達の中でも、その光景を目にしたのはネフェリル皇帝陛下と大賢者マリア女王陛下。
そして冒険者ギルド協会の総統ガルド様、この御三方だけですからね」
そうしてまた、神聖な光景に見入りそうになり……
「おっと、いつまでもここに居ては後続の皆の邪魔になってしまう。
そろそろ我ら席に着きましょうか」
老王が朗らかな笑みを浮かべて促す。
「そ、そうですね。
申し訳ありません」
「いえいえ、お気になさらず。
それよりも……そろそろ、おいでになられますぞ」
「おいでに……とは、いったい?」
「その伝説を目にした御三方を含めた、四大国の王達と特に影響力の強い主要国の王達がです」
老王がそういった瞬間──円卓の間に足踏み入れてきた者達の姿に、円卓の間が静まり返る。
「あはは……流石にちょっと気まずいですね」
ヴァリエ騎士王国が国王。
白を基調とした騎士服に身を包み、金の髪に青い瞳をした男装の麗人。
騎士王アリアナ・キューレ・ヴァリエ。
「えぇ、皆さんをお待たせしてしまったようで、心苦しいです」
教国こと、ティフィア教国が教皇。
白く長い髭を撫でながら、申し訳なさそうに眉を下げる、優しげな面持ちの老人。
教皇カロン・レ・ヴィル
「ったく、だから先に行って待ってようって、提案したのによ」
冒険者ギルド協会を統べる総統。
鍛え上げられた肉体を持ちながらも、苦労人のようにやれやれとため息をつく男。
冒険者ギルド協会総統ガルド・アルバーン
「な、なぜ私まで……」
そんな面々と共に、若干頬を引き攣らせながらこめかみを抑える金髪碧眼の美丈夫。
イストワール王国が国王エルヴァン・エル・イストワール。
「まぁまぁ、細かいことはいいじゃない!」
イストワール王の肩を叩きながら、楽しげに笑う真紅の髪に金色の瞳をした美女。
四大国が一角、商業と流通の中心地にして商人の聖地と呼ばれる海洋商業国家アクムス王国を統べる赤き王。
女王アルバ・ジョン・アクムス。
「アルバさん、イストワール王が困っているわよ」
苦笑いを浮かべる、艶やかな黒い髪に金色の瞳をした妖艶な美女。
四大国が一角、魔導学園都市王国を統べる女王にして、伝説の英雄が1人。
魔導学園都市王国が女王、大賢者マリア。
「あはは、まぁそれでこそアルバちゃんだからね」
そう言って微笑ましそうな目で微笑む、黒髪黒目の美青年。
四大国が一角にて超大国と称される、ネフェリル帝国を統べる伝説の英雄が1人。
ネフェリル帝国が国王、現人神ショウ・アラキ・アクムス。
「お前なぁ、もうちょっとアイツの事も考えてやれよ。
こんな場所でちゃん呼びはねぇだろ」
呆れたように苦笑いを浮かべる、短い金色の髪と金の瞳、鍛え上げられた肉体。
その場にいるだけで他者を圧倒する、まさに覇王といった風貌の美丈夫。
人類国家と国交を持ち、強国として知られる獣王国ビスバロニスを統べる獣王であり、不可侵存在として恐れ畏れられる魔王。
八魔王が一柱、獣魔王レオン。
そして……
「それでは……」
全員が席に着いたことを見届けてから、口を開いたら金色の髪に淡い青色が混じったような綺麗な銀色の瞳をした美青年。
「これより、世界会議を開始します。
皆さん、存分に語り合うとしましょう」
四大国が一角にして、この世界会議の主催国。
ネフェリル帝国と並んで超大国と称される、レフィア神聖王国が国王ルフィール・セア・レフィアが会議の始まりを告げた。
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