上 下
419 / 460
第23章 世界会議編・序章

419話 来ちゃったわ!

しおりを挟む
「「「「「────!!!」」」」」


 名実ともに誰もが認める、美しく気品に満ち溢れた完璧なカーテシーを披露する後ろから……空気を震わせるようなどよめきが響き渡る。

「随分な騒ぎになってるみてぇだが……いいのか?」

「問題ありません」

 王都の住人はもちろん騎士団の騎士達や、王宮にいる各国の王をはじめすると重鎮達。
 とにかく!  王都レ・フィーアにいる人々を安心させるために、この映像と音声を魔法で投影して生中継してるわけだけど。

 まさかの明日から始まる世界会議に、八魔王が一角である獣魔王レオン陛下が参加されるって聞いて驚くのは当然!
 けどそれは、さっきまでの恐怖と不安に満ちたパニックじゃなくて、純粋な驚愕からくるもの。

 騒ぎにはなるだろうけど、そもそもが世界会議の時期は世界中から各国の王達や重鎮が集結することもあって、毎日がお祭り騒ぎみたいな感じだし。
 それで何か問題が起こるわけでもないしね。

「それでは、私達が王宮までご案内いたします」

 本来なら各国の王族や重鎮達が到着した場合、外壁の正門で待機している騎士達が護送をしつつ王宮まで送り届けるんだけど……さすがに魔王であるレオン陛下の案内を任せるのは、ちょっと可哀そうだもん。

 まぁ、何はともあれ!  フィルとフィルのお父様……つまりは、レフィア神聖王国の現国王陛下との打ち合わせで決めた、事前の予定通り!
 これでちゃんと、レオン陛下の事は周知できたはず!!

「ふふっ」

 事前に今回の世界会議には魔王の一角が参加するなんて発表すると、大騒ぎになるのは確実!
 それに信じてもらえない可能性が高いって事で、事前に公表はしなかったわけだけど。

 実際にその目で見てもらってから、私達Sランク冒険者が動く事で混乱を治めつつ、今回の会議には史上初めてとなる魔王の一角が出席するという事実を周知する。
 この完璧な作戦を立案したのは、何を隠そうこの私っ!

 うんうん!  我ながら素晴らしい作戦だったわ!!
 さてと……これで獣魔王レオン陛下紹介大作戦は、無事に完遂されたわけですし。
 王都中に投影してる、映像と音声を切ってっと。

「あの、ソフィーちゃん」

「イヴさん、どうかしましたか?」

「もしかして、さっき言っていた教団の襲撃を受けた4組のうちの、最後の1つって……」

「いかにも!  レオン陛下が率いる、獣王国ビスバロニスです。
 けど真なる魔王であるレオン陛下を襲うなんて、教団もおバカさんですよね~」

「うん、そうよね。
 この状況だし、それ以外にあり得ないわよね」

 あ、あれ?  イヴさん……?
 なんで疲れたように目頭を揉みながらため息を……

「あのな、お嬢。
 お嬢が獣魔王レオン殿と面識があるのは知ってたけど……こんな重要な事はせめて、事前に言っておいてくれ」

「えっ、私言ってなかったでしたっけ?」

 ま、またまた~、ロイさんったら冗談ばっかり。
 さすがに今回のことは、みんなにはしっかりと伝えて……ないな、うん。

 そういえば、フィルとフィルのお父様と3人でしてた打ち合わせ。
 ひと段落してフィルのお父様が自ら、ご用意してくださった秘蔵のワインを一口飲んだところから記憶がない。

 まぁ自動迎撃用の魔法を常時展開してるし、フィルにイタズラされた心配はないけど……目が覚めたら、いつのまにか王宮内に用意されていた私の部屋のベッドの上だった。
 それからファナに怒られて……

「「「「「「「「「「言ってない」」」」」」」」」」

「うっ、ごめんなさい……」

 なんだかんだで、伝えるのを忘れてたわ。

「と、とにかく!  早くレオン陛下達を王城に案な……」

「ソフィー!」

「ほわっ!?」

 こ、この声は!

「カ、カリンさん!?」

「ふふふっ、久しぶりね」

「はい、お久しぶりです……じゃなくて!!」

 いきなり抱きつかれたらビックリするとか、色々と言いたい事はあるんだけど。
 それよりもっ!!

「どうしてカリンさんがここにっ!?」

「うふっ、お父様にお願いして来ちゃったわ!」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた

八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』 俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。 レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。 「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」 レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。 それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。 「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」 狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。 その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった―― 別サイトでも投稿しております。

悪役令嬢ですが最強ですよ??

鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。 で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。 だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw 主人公最強系の話です。 苦手な方はバックで!

“絶対悪”の暗黒龍

alunam
ファンタジー
暗黒龍に転生した俺、今日も女勇者とキャッキャウフフ(?)した帰りにオークにからまれた幼女と出会う。  幼女と最強ドラゴンの異世界交流に趣味全開の要素をプラスして書いていきます。  似たような主人公の似たような短編書きました こちらもよろしくお願いします  オールカンストキャラシート作ったら、そのキャラが現実の俺になりました!~ダイスの女神と俺のデタラメTRPG~  http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/402051674/

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

処理中です...