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第22章 神の国編

408話 最後の3つ目

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 なるほど。
 この国に辿り着いた事で決定された私達の運命は、将来的にこの国の国民になる事ね。

「……ん?」

 ちょ、ちょっと待って!
 それって……

「私達がこの国の!  伝説の神の国の住人になるって事ですかっ!?」

「そっ、この国に辿り着いた者は、将来的にこの国に住む事になる。
 それが決まり……というか、ほぼ間違いなくそうなるわだよね~」

 なっちゃうんだ。
 私達がこの国に……伝説の神の国である、悪魔王国ナイトメアの住民にっ!!

「はっ!  で、でも……」

 私とお兄様はイストワール王国の公爵令嬢と公爵令息だし。
 人類最強の一角であるSランク冒険者でもあって、不本意ながら私は未だ王太子であるセドリックの婚約者。

 フィルなんて、四大国の中でもネフィリル帝国と並んで超大国と称されるレフィア神聖王国の第一王子。
 つまりは超大国の、次期国王筆頭なわけだし。

 他のみんなだって、イェーガーさんみたいに家庭があったり。
 そうじゃなくてもSランク冒険者っていう立場上、色々としがらみがあるはず。

「そう簡単に、私達がこの国に移り住む事は……」

「うんうん、ソフィーくんの懸念も尤もだね。
 けど問題ないよ、言ったでしょ?  将来的にって」

 た、確かに将来的にっておっしゃっていたけど。
 それでも難しいと思うのですが……

「ふふふ、キミ達はこんな噂や都市伝説を聞いた事はないかな?
 歴史にその名を残すような有名人が、突然ある時を境に姿を消した。
 または、死後にその遺体が消失した」

「ぇっ……」

 それって、確か初めて世界三大学園の学園交流会に参加した時に、王立神聖レフィア学園のサークルの人達が発表してた。
 って!  まさかっ!!

「そう、その都市伝説は事実であり。
 ある時を境に姿を消すのは、この国に移住したから。
 死後に遺体が消失するのは、蘇生してこの国に来たからだよ」

 ま、マジですか。

「と、いうわけで!  キミ達も何も今すぐに移り住んでもらう必要はないし、こっちもそんなつもりはないよ……多分」

 多分?

「まっ、それを決めるのはあの子だからね。
 実際に生前や死後にこの国に来た彼らも、移住したのはあの子に勧誘されたからだしね」

 あの子って……

「中には合意されてないけど、強引に連れて来ちゃった事もあったし。
 残念だけど最高神たる私でも、あの子を止める事は不可能に近いんだよね~」

 それってどういう?
 この国に来る人を選べる人物って言えば、真っ先に思い浮かぶのはこの国の頂点に立つ者。
 つまりは女王である魔法神ティフィア様だけど……

「キミ達は今回、この国に辿り着いた事であの子の目に留まることが確定したってわけだよ。
 まぁSランク冒険者として活躍してるキミ達ならいつかはあの子に勧誘されてただろうし、真実を知るのが少し早くなっただけなんだけどね」

「なるほど、それが私達の運命だという話はわかりました。
 しかしそれではまるで私達が、既にこの国へ来る事が決まっているような言い方ですが……まだ誰もこの国へ移住するとは言っておりませんよ」

 ミ、ミルバレッドさん!?

「ふふふっ、だって実際にキミ達がこの国へ来る事は決まったようなものだからね。
 確かに人類最強の一角である、Sランク冒険者のキミ達は強い」

「ッ~!!?」

 な、なに、これ?  ネフェリアス様からゾッとするような。
 まるで世界そのものを目の前にしたような、計り知れない絶対的な存在感が……

「けどそれは人間が辿り着けるレベルの中ではの話。
 今のに気づいているのもルミエくんとガルスくんの例外を除けば、ソフィーくんだけみたいだし。
 最高神である私でも止められないあの子から、キミ達が逃れられるはずがないでしょ?」

「閣下そのくらいに。
 ソフィーちゃんが怖がっていますから」

 ノ、ワール、様……

「っと、ごめんごめん。
 ちょっと悪ふざけがすぎたね」

 一瞬で、何事もなかったかのようにネフェリアス様から発せられていた存在感が霧散した。

「い、いえ、大丈夫です」

 うぅ、情けない!  ちょっと声が震えちゃった……!!

「まっ!  そういうわけで、気に入ったモノは何があっても手に入れるって子だからね。
 幸か不幸か、あの子に気に入られちゃったのなら、残念ながらキミ達に選択肢なんて存在しないんだよ」

 なるほどね。
 だからこの国に辿り着いた事で、私達の運命が決まったって事か。
 うん、それはわかったんだけど……

「あの……先程からおっしゃっている、あの子というのはもしかして」

「この国の女王。
 キミ達でいうところの、魔法神ティフィアの事だね」

 やっぱりっ!!

「さて、キミ達の運命についての説明も終わり、みんなもあの子の事が気になってるようだし……そろそろ、最後の3つ目。
 この世界の真実を、あの子……悪魔ちゃんの事を教えてあげよう!」
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